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*・゜゚・永遠のネコ*・゜゚・*

夏から積読していた漱石センセイの「吾輩は猫である」をやっと読了した。
結末は知っていたので、読み終わるのが寂しく、のばしのばしにしていた。

まるでひと夏を吾輩とともに苦沙味先生の家で過ごしたかのようだ。

「呑気とも見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする。」
秋の日暮れの情景から、この名文が審判のフィナーレのラッパのごとく、吾輩の最期が語られていく。

タロットに例えるならば、世界。
必ずしも思い描いた世界ではないけれど、思ってもみなかった世界だけれど、完成、到達の地。
この世界を受け入れたならば、ゼロの地点へと戻る。
タロットのゼロは、愚者。
混沌としたどこにでも行ける、あたかも何にでもなれる生命体の世界へと還っていく。

「もうよそう。勝手にするがいい。
がりがりはこれぎり御免蒙るよ。」

死への抗いをやめ、安寧の世界へと入っていった吾輩を静かに見送る。

バイバイ、吾輩。
日本文学史上に燦然と輝く永遠のネコ。
吾輩のことをずっと忘れない。


〜Tarot of the Magical Forest 〜
メーカー:Lo Scarabeo/ITALY
イラスト:Leo Tang
カードサイズ:120×66mm


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