もしも、お目にかかれたら
もしも、お目にかかれたら、ひと言御礼を申し上げたい方。
私は今、そんな方や方々、皆さんのやさしさに救われています。
それは、お会いしたこともお話したことも無い方々。
そして、おそらくこれからもお目にかかることも無いであろう皆さんです。
今日はそんな皆様に、手紙を書いてみます。
拝啓 遠い街の皆さん
いつも、娘がお世話になります。
また今日も1日、あの子が無事に過ごせたこと、本当にありがとうございます。
一生懸命に育てたつもりが、美味しい野菜の選び方も、宅急便の出し方も知らないまま、一人暮らしを始めた娘です。
小さな冷蔵庫に小さな台所、それでも、自分でお弁当作ったよ、とそれでも嬉しそうです。
この間は、駅前のドラッグストアで買ったヘアオイルを母の日に送ってくれました。
『休みの日に、少しずつお店を開拓しているの』と、こんな風に知らない街の新しい毎日を、娘が楽しんで過ごせるのも、きっと皆さんが見守って下さるおかげですね。
そう思うと、あの子に会えない寂しさや、そばで励ましてやれないもどかしさも、皆さんのやさしさに救われる思いです。
『お母さんは、髪が長くないからワンプッシュね。毛先からもみ込むように!
シャンプーして、ぬれた髪につけるんよ』
最近パサついてきた髪に、言われたとおり潤いプラスしながら、娘の暮らす遠い街を思いうかべます。
遠い街の皆さん。
どうか、まだまだ不慣れな娘です。
よろしくお願い申し上げます。続けて休みがとれたなら、私もおじゃまさせて下さいね。
まだ見ぬ皆さんに思いを馳せながら、先ずはお礼まで。
かしこ
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