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第81話 世界の終わりを君に捧ぐ 急 2

 他の店舗でもいくつかお土産を購入した後、小腹が空いてきたので、屋台で軽く軽食をとる事にする。

「次はどこに行きましょうか?」

 アルマさんが、料理に口をつけながら、そう聞いてくる。

「そうですね、尾張さんはどこか行きたいところありますか?」

「そうね。砂漠の中にあるオアシスっていうものには少し興味があるわね。」

 尾張さんは口元に指を触れさせる。

「オアシスですか。つまり、水着ということですよね。」

「なんでそうなるのよ。水辺から風景を眺めるだけに決まってるでしょう。」

「いえ、泳げますよ?」

 アルマさんが、尾張さんの言葉を否定する。

「やっぱり水着じゃないですか。」

「泳ぐとは言ってないでしょう。」

 尾張さんがまだグダグダと言っているが、とりあえずオアシスまで行くことになった。

「それじゃあ、行きますか。」

「そうね。」

 座っていた椅子から立ち上がる。その時、背中にドンッと衝撃を受け、つんのめる。

 僕にぶつかってきたのは、顔を大きな布で隠した人物であった。

 その人物は、現地の言葉で何事か叫ぶと、狂気に満ちたような目で周囲を見回す。

 その言葉を聞いた周囲の人々は、ざわざわと騒ぎ出すと一斉に逃げ惑う。

「紀美丹君!!」

 訳もわからず、困惑している僕を尾張さんの緊迫感に満ちた声が現実に引き戻す。

 その人物は、また繰り返し何かを叫ぶと手に持ったスイッチを押す。

 眩い閃光と爆音が鳴り響いた。

 彼の仕事のことはあまりよく思っていない。
 必要な事だと分かってはいるけれど、それでも彼が自ら危険に飛び込むことを手放しで喜べるほど彼らとの付き合いは短くはなかった。

 昼食をとるために入った馴染みの定食屋さんで、サバ味噌定食を頼んでお冷に口をつける。

 何となく見ていたテレビでは、外国での自爆テロを取り扱っていた。

 あれ?この国、紀美丹君達が行くって言ってた。

 複数の邦人の安否が不明だとアナウンサーの女性が告げる。

 自然とコップを掴む手に力が入り、氷がカランと音をたてる。

「あなたの心を揺さぶる物語を。」  あなたの感情がもし動かされたなら、支援をお願いします。  私達はあなたの支援によって物語を綴ることができます。  よろしくお願いします。