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第4話 理解してない

「一体、なんて送ったんですか?」

「べ、別に普通に謝っただけなのだけれど。」

 と、珍しくオロオロと所在無さげにしている尾張さんはちょっと涙目になっていた。

「・・・・・・かわいい。じゃなくて、あの、メッセージ見せてもらってもいいですか?」

「え、ええ。」

 どうやら、僕の失言は聞こえていなかったようで、尾張さんはスマホを見せてくれる。
 そこには、こう書いてあった。

『この前は、ごめんなさい。すこし配慮にかける発言だったわ。学校のテストは授業を聞いていれば、特に問題なかったから。貴女がテストに向けて、とても努力していたなんて、知らなかったの。でも、紀美丹君に貴女の努力の事を聞いて、本当に悪い事をしたと思っているわ。テスト前は、みんな勉強しているものなのね。とても反省しているわ。今度からは、猫動画じゃなくて、兎動画を見るわ。』

 なるほど。

「尾張さん。貴女って人は。」

「?」

 キョトンとするな。

「全く理解してないじゃないですか!」

「失礼ね。ちゃんと、反省しているわ。つまり、椎堂さんは私がテスト前に努力をしなかった事を怒っているのでしょう?だから、ちゃんと、いつも見ている猫の動画ではなく、兎の動画を見て見聞を広めようとしてるじゃない。」

「いや、テスト勉強してください。」

「完璧に理解している事を繰り返すなんてただの怠慢じゃない。」

 正論で返された。

「いや、というか、椎堂さんが怒っているのは、そこじゃないと思います。」

「えっ?」

「いや、えっ?じゃなくて。」

 本当にわかっていないのか。

「この文章だと、椎堂さんのへし折ったプライドをさらに粗塩で揉んでるようなものじゃないですか。」

「プライド・・・・・・。また、プライドね。みんな、そんなにプライドが大事なのかしら。」

 くだらないわ。と、尾張さんは呟く。

「実力の伴わないプライドなんて、吹けば飛ぶようなものを何故わざわざ守ろうとするのかしら。」

 そんなものに囚われて他人に当たっても、なんの意味もないのに。
 そう吐き捨てる尾張さんは、ならないスマホをジッと見つめ続けていた。

「あなたの心を揺さぶる物語を。」  あなたの感情がもし動かされたなら、支援をお願いします。  私達はあなたの支援によって物語を綴ることができます。  よろしくお願いします。