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第8話 見たんですか?

 相談内容を聞き終わったところで、スマホは返却された。

「ところで、尾張さん。」

「何かしら。紀美丹君。」

「中見たんですか?」

「どっちだと思う?」

 そう言う尾張さんをしかめっ面で睨んでいると、根負けしたのか、

「カマをかけただけよ。」

 と、釈明し始めた。

「にしても、なんで、連続ログイン記録更新するってこととか、スマホのパスワードのこととか分かったんですか?」

「簡単な類推よ。あなたみたいなゲーム廃人の割に、基本的なところで危機意識が足りてない単純思考な人間の考えそうな事は大体わかるわ。」

「ゲーム廃人じゃないです。あと、誰が単純思考ですか。」

 別にいいじゃないですか。誕生日。パスワード覚えるのめんどうなんですよ。

「というか、そこまで、他人の思考をトレース出来るなら、相手の感情だってわかるんじゃないですか?」

 そういうと、尾張さんは微妙な表情で、

「リーマン予想が解けるパソコンでも、人の感情は理解できないのよ。」

 と、本当に嫌そうに言うのだった。

「尾張さんってやっぱり、アンドロイドなんですか?」

「そう言われると思ったから、言うの嫌だったのよ。」

「なんかすいません。」

 その後、不機嫌になった尾張さんにちょくちょく嫌味を言われつつ、椎堂さんへの対応について、話を進めた。

「あなたの心を揺さぶる物語を。」  あなたの感情がもし動かされたなら、支援をお願いします。  私達はあなたの支援によって物語を綴ることができます。  よろしくお願いします。