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第20話 幕間:世界が終わった日

 その日は嵐だった。

 前日の深夜から降り出した雨が、時間を経るごとに勢いを増し、学校に着いた時には、濡れネズミのようになっていた。

 今日は、どんな話をしようか。来月の流星群に向けて、細かい予定を詰めないとなぁ。
 そんな事を考えていた。

 濡れた靴を履き替え、出来る限りの水分を切ったあと、教室に向かう。

 教室のドアを開いて、中を見渡す、いつもは誰よりも早く教室に来て、文庫本を開いている尾張さんが、今日に限っては、見あたらなかった。

 珍しい事もあるなぁ。まぁ、こんな天気だし、そりゃあ、遅れる事もあるかな。なんて、そう思っていた。

 ホームルームが始まる時間になっても、尾張さんは学校に来なかった。

「今日は、休校になった。」

 担任のその言葉を僕たちは最初、喜んだ。

 まぁ、嵐がひどくなりそうだしなぁ。でもそれならもっと早く連絡して欲しかった。

 その後の担任の言葉を、帰り支度を始めた僕は、話半分でしか聞いていなかった。

「その、みんな、ショックだろうが聞いてくれ。」

 そりゃあショックですよ。本当どうやって帰ろう。

「尾張が、昨日亡くなった。」

 休校は、その対応のためだ。そう、担任が言い放った。

「はぁ?」

 意味がわからなかった。

「あなたの心を揺さぶる物語を。」  あなたの感情がもし動かされたなら、支援をお願いします。  私達はあなたの支援によって物語を綴ることができます。  よろしくお願いします。