見出し画像

バイト先に来たWOWな客三選

今のテイクアウト専門からあげ屋でバイトを始めてからもうすぐ2年になる。もともと家の近くの店舗で働いていたが、そこが潰れてしまったので今は片道40分かかる同チェーン店舗に赴いている。

⇧まだ前の店舗が潰れる前に書いた記事

2年も働いていれば変な客にも遭遇する、とおもいきや、ネット上で語られるようなヤバいクレーマーや迷惑客が来店したことは今まで一度もない。どちらかというと働いている側のほうが頭おかしい人が多い。が、それはまた今度書くとして、今回は全然迷惑とかじゃないけどちょっとだけびっくりした、つまりWOWな客を紹介していく。


①明らか反社のやつ

もう明らかに反社。完全に反社会的勢力。白のスーツにものすごく高そうな腕時計。そして怖いサングラス。龍が如くに出てきそうな人が来店してきてしまった。もう心臓バクバクですよ神。ミスったら何されるかわかったもんじゃない。ちょうどその時期漫画『闇金ウシジマくん』を読んでいて、その登場人物のヤクザが怖すぎて読むのをやめていたが、そのバチが当たったのかと思った。


小学館のホームページに「ターゲット 小学生高学年」と書かれている。
絶対読ませないほうがいい。


その反社はじっくり商品を眺めた後、からあげ8個と2割引きの串揚げ4本、焼き鳥8本を注文した。注文点数が多すぎる。うちの店は注文を受けた商品を一個一個レジに打ち込むので非常にミスが起こりやすい。例えば、2割引きのうずらの卵の串揚げが2本だったら、レジに「2」「×」を入力して、「うずら」と書かれたボタンを押す。そのあと「20」と「割引」を入力する。2割引きのうずらの卵の串揚げだけでレジに正しい順番で5回入力しないといけない。2年近く働いているのでガニサス慣れているが、それでもたまにミスってしまう。注文点数が多いとミスの可能性が高まる。もしレジの途中でミスに気づいたら、最初からやり直さないといけない。そうすると長時間お客さん待たせることになってしまう。普段は「客なんか待たせとけ」の精神でミスらないようにゆっくりやっているが、今回の相手は反社である。しかもなんかチラチラ腕時計を見ている。


早くやらないとヤバいけど待たせてもヤバい…


結局何事もなく、商品を受け取ったあと「ありがとう。」とだけ言って反社は帰っていった。普通の客だった。特段優しいとかはなかった。怖いけどいっぱい買ってくれたからプラマイ0、いやギリマイナスの普通の客だった。




②高身長でイケメンのやつ

うちの店のメイン層は主婦かサラリーマンなのだが、その客は珍しく若い男の大学生くらい歳の人だった。そしてモデルみたいなスタイルで、めちゃくちゃイケメンだった。「モデルみたいなスタイルで、めちゃくちゃイケメンだ。」と思った。その人は白Tに黒いカーディガンというシンプルなファッションだった。身長高いやつはシンプルでも決まっていた。
そして、注文された商品を渡してレシートとお釣りを返した時、パッとそのTシャツを見たらアホみたい大きくと「リトルトゥース」と書いてあった。

おそらくこれ


リトルトゥースとは、人気深夜ラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』のリスナーの呼称である。
外見とラジオリスナーであるということのギャップと、「こいつ、めちゃくちゃリトルトゥースアピールするじゃん」と思ってしまい、吹き出しそうになった。というかほぼ吹いていた。勤務中はマスクをしているので、おそらくバレてないと信じたい。




③閉店ギリギリに来て何も買わないカップル


うちの店は閉店時間後30分後に退勤しなければならないというルールになっている。正確に言うと、閉店時間から30分経つと、時給が発生しなくなる。しかし、30分で退勤するのは至難の業で、本部に送るメールやレジ閉め、明日の朝のための準備など、やることが山ほどある。しかもそれを1人でやらなくてはならない。
なので、閉店時間よりも前に店の明かりを消して、締め作業に入ることが多い。これはバイトだけでなく、店長もやっている。なんなら店長は早く帰りたいので、率先して閉めている。この前提を覚えておいてもらいたい。

ある日、いつものように早めに閉めようとしていたらそのカップルは現れた。この時点で僕はちょっとムカついている。あんたらが来なければ5分早く帰れるのだよ。そしてそのカップルは商品を吟味し始めた。商品といっても閉店間際、売れ残りなので、ロクなのが残っていない。その日はいなり寿司と冷えた焼き鳥だけだった。

彼らが店に来てから3分経過。3分も悩む客なんてそういない。
どうやらいなり寿司を買うようだ。「いなりにしようか」と、2人で話している。
しかし突然彼女の方が「あ、家にご飯あった!」と言い出した。てめえ余計なこと思い出してんじゃあないよ。なんで買う直前になって思い出すんだよ。店に来る前に思い出しておけよ。家にあるご飯は冷蔵しておいて、今日はいなり寿司買って食え。

そんな願いは届くことなく、彼らはまた悩み始めた。

店に来てから6分経過。まだ悩んでいる。そんなに悩むならもう買うなよ。というか、彼らはこの6分間ずっと悩んでいるわけではない。なんか普通にイチャイチャしている。なんかずっとくっついている。なんかお互いの明日の予定とか確認しあってる。なんか普通にイチャイチャしている。なんか普通にイチャイチャしている。なにこれ。

こっちは朝から大学行ってわけわからん講義受けて、おばちゃん教授に同じ質問何回もされて何回も答えて、いつも座れるはずの電車で座れなくて、ただでさえ暑い日なのにレジのすぐ近くにフライヤーとヒートランプがあるから死ぬほど暑くて、1日の最後カップルがイチャついてるのを見せられている。どういうこと?異世界転生漫画の異世界転生する前かよ。





結局、閉店時間に設定しておいた僕のスマホのアラームが鳴ると、察したのか彼らは「また来ますー」と言って帰っていった。なんだよ。そこは気を遣えるのかよ。根っからの悪人であれよ。閉店時間に帰られたらそっちが悪者じゃなくなるじゃねえかよ。


どうせ家に帰って「今日も楽しかったね」とか言うんだろ。そして寝て朝起きて昨日のことなど忘れて楽しく過ごすんだろ。こっちはwithout彼女かつイライラしてるっていうのに。洗い物しすぎて荒れちゃった手もなかなか治らないし。普通に足しんどいし。電車の中の広告はルッキズム推進してるし。前にいるおじさん水着着た女子が踊ってるTikTok見てるし。そんなの見るよりバキ童チャンネル見た方が100倍楽しいよ。あと蒸し暑い。満員電車しんどい。



この日を思い出していたら、だんだんイライラが再燃してきた。イライラしたことを思い返すことによってまたイライラしている。そして今のイライラを未来の僕が思い出してまたイライラするはず。イライラの永久機関が完成しちまったなアア~!! これでノーベル賞は俺んモンだぜ~!!
























ノーベル賞をとった犬 ノーベルマン









⇧ドーベルマンとノーベルをかけていて非常におもしろい















こんなこと考えてないとやってられんのですわ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?