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【自伝】頭の良い兄のこと〜幸せの在り方〜

母から聞いた話です。
兄が小さい時、まだ私が生まれる前の事、父の自己顕示欲の発散相手は兄でした。
何もしていない兄の頭をいきなり叩いていたそうです。
小さい兄は男の人に怯えるようになっていて、お友達の家に遊びに行くと「お父さんいない?」と聞いていたそうです。
私は兄が叩かれている姿は見たことがないので、私が生まれるまでの事だったのかなと思います。

兄は長男という立場なので貧乏にも関わらず家庭教師に来てもらい勉強を頑張っていました。
中学までは成績は良くなかったのですがその後はメキメキ伸びて首席で卒業、一般で言う勝ち組の人です。
とても努力をしていたので当然の結果だなと納得できます。
父は成績の悪かった時代のことをずっと頭に残して、地位、財産を一人で築き上げとっくに父を追い越しているにも関わらず死ぬ間際まで「あいつは大丈夫なのか」と言っていました。

兄は尊敬できる人ではあるのですが、一度も羨ましいとは思ったことがありません。
仲が悪い訳ではないけれど良い訳でもない。
絆、結びつき、接点がなく兄妹でありながら他人という感覚です。
それは家族全員に言える事なんですけれどね。
ただ他の家族と比べると私へのあたりは強くなかったです。
庇ったり味方してくれた事はないですけれど。

勝ち組の兄を羨ましいと思わない理由に彼の中にも両親から受け継いだ闇を感じるからです。
兄は結婚して家族がいますが小さい子どもが犠牲になるニュースを見聞きしても何も感じないと言います。
心を痛めて涙を流している人達を見るとバカバカしいと思うそうです。
そう思うのは兄の自由ですが私は気の毒にと思います。
人から羨ましがられる暮らしをしている兄ですが、心は満たされているのかな?と思ってしまいます。

兄が極悪非道とか犯罪者とかそんなことは一切なく、真面目に働いている努力家の人であることは事実なので、私の貧しい心がそう思わせているだけかもしれませんけどね。

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