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【本】2022年初の読了−『ルビンの壺が割れた』

あけましておめでとうございます。
昨年はnoteやtwitterなど、様々な方の深い&広い知識やご意見に刺激を受けました。ありがとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

2022年も大好きな読書・お風呂・旅行を楽しみたいな、と思いながら、まず読了した1冊が衝撃的過ぎました。。。「ルビンの壺が割れた」宿野かほるさんの作品です。
ネタバレはしません、個人的な感想となりますが、もし良かったら読んでください。

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 物語はフェイスブックで昔の恋人とつながってメッセンジャーでのやり取りが始まり。フェイスブックは個人的に「時と空間を超えるすごいコミュニケーションツール」だと思っているだけに始まりの文章も、フェイスブックあるあるなのではないでしょうか?
という私も、かつての恋人ともフェイスブックでつながった経験があるだけに、気持ちがわかるな~と思いながら読み進めていきました。

 登場人物は2人のみ。メッセンジャーのやり取りは”お互いの今の人生に干渉しすぎてはいけない”という大人な雰囲気の文章で、個人的な妄想としてはその後どんな人生を歩んだのか語り合うのかな~と思いながら読んでいくと、「あらま、そうくる?、えー!そうだったのですね」と衝撃の語りが次から次へ。。。
 先が読めない展開、メッセンジャーの会話なのでスイスイ読めてしまう事、展開が割と早い事から、1時間半くらいで読了できます。

 そして最後は帯にもあるような大どんでん返しが。絵は見たことがあるのですが「ルビンの壺って、改めて何?」と調べてみました。

「ルビンの壺」は1915年頃、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形。認知心理学の知覚研究の中に「図と地の分化(分離)」というものがあるそうです。1つのまとまった形として認識される部分を「図」、図の周囲にある背景を「地」と呼び、図と地の分化によって初めて形を知覚する、というもの。ルビンは『視覚的図形』の中で「共通の境界線を持つ2つの領域があり、一方を図、他方を地として見るとする。その結果、直接的知覚的経験は両領域の共通の境界線から生じ、1つの領域のみか、一方が他方よりも強く作用する行動形式効果に特徴付けられる。」と主張しています。「ルビンの壺」では壺のように見える部分を図として認識すると、2人の横顔のように見える部分は地としてしか認識されず、逆もまたしかり。決してこの2つが同時には見えないというものです。

この本のタイトル、表紙の絵、男女が向かい合っていながらも、壺にも見え、そしてその壺には亀裂が入っている。まさしく、図と地の分化ですね。はい、新年早々、割れました。物語の中で、読者には主人公二人のそれぞれの視点から描かれた主観的な情報しか提示されず。だからこそ、読者が想像する主人公像が様々存在し、最後にどんでん返しとなるのです。
再度読んでみると、恐ろしい伏線があちらこちらに書かれていて、認知がいかに歪められるか、を再認識します。

2022年最初の読了本がこの本だったのは、吉と出るのか凶と出るか。。。


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