気候変動に取り組める国なんてないね

異常な夏の暑さ、線状降水帯による洪水、大型台風の直撃、そして今冬のドカ雪など目の当たりにすると、温暖化の影響じゃないかと、日本に住んでいても感じているだろう。実は世界各地で同様の問題が生じているけど、日本以外のローカルな温暖化問題を知る機会は少ない。今回、米国のコロラド川で加速的に悪化している水不足の話題を取りあげて、気候変動の問題を考えるのと一緒に、英語の勉強をしてみよう。

コロラド川は、米国の南西部を流れていて、コロラド川流域にある7つの州(カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラド、ユタ、ワイオミング、ネバダ)と30の自治権のある部族、そしてメキシコに水を供給する世界で最も管理された河川の1つである。この流域の発展を目的として、この7つの州を中心に、コロラド川協定 (Colorado River Compact) が結ばれたのが1922年、今年は100周年記念にあたる。もともと、この協定では、毎年1500万 acre-feet (1 acre-footとは、1 footの水を1 acreの土地に供給することで、米国の平均 2から3世帯の年間供給量、1 acre-foot = 0.326 million gallons)の供給をコロラド川流域で分け合う事になっていた。2002年に供給量は既に1200万 acre-feetに落ちていて、現在は380万 acre-feetまで落ち込んでいる! もともと1500万 acre-feetから割り当てられた水量を合法的に使う事が許されているため、各州は、いくら減ろうが自分らが使う水の量は合法的だと主張して、使い続けようとする深刻な状況になっている。

ここまでで、私が理解しづらかった英語表現を取りあげよう。

the drought equivalent of Don Lemon in a rain slicker, weathering gale-force winds in a megastorm.

2000年から続いているミード湖での旱魃に例えた表現。以前にも話したが、1つのセンテンスに複数の知らない単語があると、一見で理解できる確率がかなり低下する。知らない単語が、「Don Lemon」「slicker」「gale-force」だった。そのため「weathering」の意味を捉え間違えてしまった。「weather」に「困難から切り抜ける」という意味があるのを知っていながら、「gale-force」が分からなかったので、思いつかなかった。Don Lemon氏を調べると、米国で有名なニュースアンカーなのは理解できた。しかし、なぜ、「この旱魃はまるで、レインコートを着たDon Lemon氏が超大型の嵐の中で強い風を乗り越えることに等しい」なんでしょうね。文章の意味が分かっても、そこに含まれるウィットまで理解できなかった。

そして、文法が弱い私は、当然のように倒置を使って書かれている文章も、すーっと頭に入ってこない。

But beneath the trade-conference technicalities flowed an undercurrent of panic.

この文章は、「But an undercurrent of panic flowed beneath the trade-conference technicalities.」ですよね。何度か読み返して頭に入ってきた。

単語でも、知らない言葉がいくつか、「hash out」は、イメージとして、hashから、「さっさと結論を出した」ような感じがするが、真逆だ。「じっくり論じて出した」意味で、じっくり話し合われて納得の上に出されている。

「pitch」という単語の意味も知らなかった、「salesmen pitched pipe systems to municipal officials.」は、「セールスマンは市の職員にパイプシステムを売り込んだ」となる。つい先日覚えた言い回しに「be hawking A」なんて表現も他の記事にありました。

じゃあ、コロラド川の問題に戻ろう。コロラド川最大の貯水池がミード湖、そして2番目がパウエル湖で、このパウエル湖の水量が今や危険なレベルに近づいているという。2023年に電力供給ができないレベルまで水量が落ち込んでしまう可能性が10%になっていて、2025年になれば、ネバダ、カリフォルニア、アリゾナ、そしてメキシコに全く水の供給ができなくなる可能性もあるという。

過去20年間、かなり激しい話し合いが続けられ、水利権に絡む業界団体(interests)が水の使用量削減で合意したにも関わらず、年間130万 acre-feetの削減しかできていない。Central Arizona Projectの統括部長であるBuriman氏が、今年の1月に次のように言っている。

We think we've got things under control. We look up six months later, and it turns out we don't.

初めにコントロールできると思えたのが不思議に思えるぐらい暢気なコメントに思える。今夏を過ぎ、とうとうアメリカ合衆国開拓局は、コロラド川流域の州に対して、更に200万から400万 acre-feetの新たな削減案を練り出すために数ヶ月の猶予を与えたが、結局合意は得られなかったところ、この12月に入ってCRWUA (Colorado River Water Users Association) の年次大会が開催された。

この年次大会に集まる顔ぶれは今までと同じ。以前はどうやって水利用を削減できるか協力して話し合われていたが、今はそんな雰囲気じゃないという。

ここから後半の話を読むと、コロラド川の水不足の問題を見れば、国際的に気候変動問題に取り組んでいるIPCCが直面している危機的状況の縮図になっていると感じた。同じ川に依存して同国の州であるにも関わらず、意見は対立して問題解決の糸口は見えてこない。IPCCが抱える問題は更に複雑で如何ともし難いのは当然のことだろう。このコロラド川問題をみれば分かるだろう。

米国では名目上、水利権は、早い者勝ち(first-come, first-served)で与えられる。南カリフォルニアのAll-American Canalが、アリゾナのCentral Arizona Projectより10年早く作られたので、水利権も南カリフォルニアが1番で、アリゾナは2番になっている。この違いの意味合いは大きい。アリゾナの水供給が0になるまで南カリフォルニアの供給は止められないということ。各州の水の割り当てに絡んで周囲の部族の利権も絡んでいるため、政治的に激しい駆け引きと論争を巻き起こしている。

今年のCRWUAの年次大会は、今の状況を作りだしてしまった犯人探しの様相を呈しているという。市政は、農業部門が水を使いすぎていると文句を言い、農業部門は市の人口は増えているし、水を大量に必要とする冬レタスの需要を増やしているじゃないかと反論する。コロラド川上流の4州(コロラド、ニューメキシコ、ユタ、ワイオミング)は、水源の4分の3を下流の3州(アリゾナ、ネバダ、カリフォルニア)が使っていると抗議し、水の削減を最もしているのはアリゾナやカルフォリニアだと主張する。水利権を巡って、罵り合いと擁護合戦、原文では、「a game of water-rights chicken」と表現されている。

コロラド川を巡る水利権の取り合いは、ある意味、人間の性の表れだと思う。Southern Nevada Water AuthorityのEntsminger氏の次の言葉が印象的だった。

We’re going to continue to see this tragedy of the commons manifest itself as we all continue to act in our own best interest, and the greater good suffers.

水不足は心配ではあるが、やっぱり自分が生きていくために必要な水は使い続けるしかない。しかし、結局それが自分を苦しめる事になる。まるで今の温暖化問題と同じだろう。あなたは、自分が苦しむほどCO2排出を制限できますか?普通の人は、無駄と思うCO2を削減するだけだ。しかし、それでは意味が無い。コロラド川の状況も同じだろう。この年次大会で次の言葉があるように、40日後に、結果が見えてくるということだ。

We probably had our best meeting of 2022 within the last week. But I would say that the next forty days are going to tell the tale of whether that was just a flash of optimism.

40日後と言えば、来年の1月末か2月の事だろう。このコロラド川流域の水不足問題は、世界の温暖化問題の縮図だ。だから、この問題に対処てきるのなら温暖化問題への取り組みにも光明を見いだせるかもしれない。

それでも、憂慮すべき他の要因もあって、最後のパラグラフで締めくくられていた。陰謀論を唱える輩だ。新型コロナ感染症も存在しないと言い張る人がいるけど、気候変動の問題でも大きな障壁になりそうだ。ミード湖でマリーナを営むキャプテンのコメントだ。目の前で湖面が下がっていくのを何十年にも渡り見続けている。湖岸が余りにも遠くなったという理由で昨年6つのボートハウスが営業を辞めた。しかし、彼は心配していないという。彼には、元諜報員と名乗る近隣者がいて、水不足は気候変動を訴えるために政府が作り出したものだと言う。本当に水が不足するような事態になれば、"彼ら" が介入して元に戻してくれるはずと思っている。"彼ら" が誰なのか言わないし、どうやって元に戻すのか分からない。しかし、全てコントロールされている事を確信しているように見える。

気候変動問題は止められないだろう。人類は行きつくところまで行くのかもしれない。直接身の回りに影響が出始めて行動し始めても遅く今行動しないといけない。しかし、人間の性はそれを拒む。


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