宣材写真で自分の何を見せるのか?
クライアントさんはモデルを選考する際、応募者から送られてきた写真の中の「何を」見るのでしょうか?
まずは、
このモデルはどんな顔立ち、スタイルをしているのか?
を見たいはずです。更に、
今回の企画にこのモデルを使ったらどんな感じの上がりに
なるのだろう?
というのも気になるところです。
そう考えると宣材写真で見せるべき2つの要素があることがわかります。
A:自分の顔立ちやスタイル
B:お仕事の上がりイメージ
それぞれについて説明します。
A:自分の顔立ちやスタイルを見てもらう
自分がどんな顔立ちなのか、ボディバランスは、脚の形は、など自分のヴィジュアルスペックを見てもらうというのが宣材の目的のひとつです。更に、そのモデルさんならではの雰囲気や個性が写っていることも大事です。
キレイな顔立ちでスタイルの良いプロのモデル達の中から選ばれないと仕事が取れない訳ですから、自分の中の、ほんの少しでも競争力のある部分を見つけることが重要です。
例えば、まっすぐでバランスのよい脚、首から肩にかけての美しいライン、人懐こい魅力的な笑顔、透明感のある肌、などなど、他のモデルと比べて強みのある要素を写真に写し込まなければなりません。
写真は撮り方によってゆがんで写ることがあります。というよりアングルやレンズの特性を気にしないで撮った場合は、ゆがむのが普通です。
ですので、特にAの目的の写真は、見た目のとおりの顔やボディバランスを写すことに気を使う必要があります。
さらに言えば、顔が写っている写真と言っても、ちょっとした顔の傾き加減、カメラの位置やアングルによっても写真で見た時の雰囲気や写り方は変わります。そのモデルさんの見せたい特徴が一番写り込む角度やアングルで撮られた写真を見せたいですね。
宣材写真と言うと、単に人物を写せば良い、と軽く見ている人が多いように思いますが、実は「人物をゆがみなく、しかもその人のベストなアングルでしっかり撮る」ことはそれほどやさしいことではないと感じています。モデルさんからプロのスタジオで撮ってもらった宣材写真を見せてもらうことがありますが、プロポーションが台無しに写っている写真をよく拝見します。
B:お仕事の上がりイメージを見てもらう
「このモデルが実際に広告などのお仕事で撮影したら、どのようなイメージになるのだろう」というのをクライアントさんに見てもらうための宣材です。
つまり、自分が取りたいお仕事のイメージに近い写真を予め撮影して、取りたい案件が来たらその写真を送るのです。クライアントさんから見れば、募集している企画のイメージにピッタリの写真であれば、嬉しいはずです。
このBの目的用に撮影する場合、自分に合うタイプ(学生、OL、ママ など)向けによくあるような広告のシーンを設定して、そのシーンに合った衣装、ヘアメイク、背景の写真を撮るようにするのです。
コートを着た写真はボディラインがほとんど隠れてしまうので、Aの要素は低くなりますが、アパレル系の広告イメージを見てもらうためにはアリ、ということになります。
揃える順番
モデルになりたての時は、まずはAの自分自身をしっかり見せる写真が必要でしょう。
以前書いた「宣材写真の種類」という記事の「最初の2枚」がまさにこのAを見せる写真です。
Aを見せる競争力のある写真が撮れれば、書類が通る回数も増えてくるでしょう。
次の段階ではBを揃えていきます。
お仕事をいくつかこなしていくうちに、自分の強み、クライアントさんから評価されるポイントが見えてくると思います。そのポイントを活かすシーンを描いて、それを写真にしていきます。
しかし、実際には1枚の写真の中にAB2つの要素が混じっていることも多いです。写真というのは、撮る人撮られる人が意図していなかったものが、結果的に写り込むことがあります。
例えば、Bの目的でOLさんのお仕事イメージを狙って撮影した写真が、全身のボディバランスや脚のラインがキレイに写っていれば、それはそのモデルさんの全身のスタイルを見せるAの目的でも使える写真になる、ということです。
このように、1枚の宣材写真の中には上記2つの要素が混在していることが多いです。
とは言えそれはあくまで結果的にそうなった、ということです。撮影の企画段階では、今回ABどちらの要素をより多く入れるかを考えながらイメージに落とし込んでいく方が、やりやすい思います。
そしてある程度BOOKの枚数が揃った時に、Aの要素とBの要素がどちらも把握できるようなポートフォリオができていること、を目標にするのがよいのではないかと思います。
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▽宣材撮影