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【法律相談】休業要請を無視して感染拡大!店は訴えられる?

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

東京都が、緊急事態宣言に伴う措置として、休業を要請する施設の一覧を公開しました。他の自治体でも同様の動きがあります。

基本的に休止を要請する施設では、商業施設は床面積が1000m2超の施設が対象。ペットショップ、ペット美容室、宝石類や金銀の販売店、住宅展示場、古物商、金券ショップ、古本屋、おもちゃ屋、鉄道模型屋、囲碁・将棋盤店、DVD/ビデオレンタル、アウトドア用品、スポーツグッズ店、ゴルフショップなどが対象となる。

とのことです。

ここで疑問なのが、
休業要請を無視して感染者が出たら損害賠償責任を負うのか
ということです。

また、逆に、
休業要請の対象外店舗から感染症が出た場合、店舗は責任を負うのか
ということも問題となります。

国や都道府県が休業要請の対象外としているからといって、医学的に安全であるとは限りませんからね。

感染拡大させた場合の責任の法的根拠

感染拡大のケースとして、感染者自らが行動を自粛せずに感染拡大してしまった場合と、店舗や会社経営者が、感染者の立ち入りを制限しなかったために感染拡大してしまった場合がありますが、ここでは後者のみを想定します。

店舗オーナーや会社経営者には、労働安全衛生法(安衛法)上、職場における労働者の安全と健康を確保すべき立場にあります。また、来店者に対しては付随義務として安全に配慮する義務があります。

店舗・事業所の責任者が注意を怠り、労働者や来店者を感染させてしまった場合、民法415条の債務不履行責任(安全配慮義務違反)か、民法709条の不法行為責任に基づく賠償義務を負担しなければならない可能性があります。

ただし、感染者が出たとしても、責任者に故意又は過失がなければ賠償義務は負いません。

責任者に過失ありと判断されるケース

ここでいう過失(民事上の過失)とは、一般に、予見可能性があったにもかかわらず損害の発生という結果を回避すべき義務を怠ったことを意味します。

新型コロナウィルスの感染に当てはめて考えると、「感染者の発生という結果の予見可能性があり」、かつ「感染者の発生という結果を回避すべき義務を怠った」という2つの要素の双方を充足した場合に、過失ありと判断されることになります。

すなわち、
1 そもそも感染症の発生が予見不可能であった場合や
2 感染症発生は予見できたが、結果回避義務を果たしていた場合
については、民事上の責任を負わないことになります。

このうち、休業要請があったかどうかは、予見可能性判断と関係してきます。

国や都道府県が休業要請しているということは、感染拡大が懸念されるという予見可能性があったことになりますから、仮に要請を無視して感染者が出た場合、結果回避義務を果たしていたかが厳密に判断されることになるでしょう。

休業要請がない業種でも、昨今の状況を踏まえれば、予見可能性がなかったとは言いにくいでしょうから、結果回避義務を果たしていたかが問われることになるでしょう。
ただ、国から休業要請がなかったということは、感染者発生の可能性は相対的に低かったのではないかという抗弁をしていくことになるのでしょう。

感染拡大をさせないための注意について

最後に、店舗・事業者の責任者がどのような注意をしておくべきかについて検討します。

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症についての基本的対処方針を公表していますから、こういった方針をよく検討した上で感染拡大を防止するための対応をすべきでしょう。

また、例えば医療機関であれば院内感染を防止するためのガイドラインに従うなど、その業界で何らかの指針がある場合にはそれに従うべきでしょう。

感染症法16条は、国と都道府県に対して「発生状況や予防に必要な情報を積極的に公表しなければならない」と定めていますが、企業等はその主体ではありません。
しかし、感染者又は感染疑いのある者が出た場合には速やかに保健所等に報告すべきでしょう。その上で発生状況の公表をするかどうかについては関係機関や専門家等に相談して対応を判断すべきでしょう。

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リリース時に朝日新聞にも紹介されました!

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