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スマート法律相談のアップデートIRについて

こんにちは、スマート法律相談開発者の弁護士の勝部です。

本日、共同開発をしているトレードワークス様よりスマート法律相談の新バージョンに関するIR発表がありました。

リーガルテックサービス「スマート法律相談」の新バージョンをリリース(IRリリースより)

■ スマート法律相談の課題と2019年リリース後の開発過程

スマート法律相談のシステムは、まだまだシード期のプロダクトなので、いつ収益化するとか、どのような部分を強みにしていこうかという点はまだまだ流動的です。

ただ、このシステムで実施したいことは明確にあり、それは、「『法律相談』という業務のアップデート」です。

2021年現在、全国には約4万人の弁護士がおり、営業日に毎日最低1件の相談をしていると考えても年間1000万件くらいは法律相談業務が発生していることになります。
弁護士に相談したくても様々な事情で出来ない方のニーズも含めると、ものすごい量のニーズがあることは間違いなく、その一部は、単位会(各都道府県の弁護士会)、地方自治体、法テラスなどにおいても実施されています。

しかしながら、法律相談のやり方は50年以上前から余り変わっておらず、電話などで予約を受けて、口頭で相談を聞き、必要に応じて六法や書籍等で調査をした上で相談に対する回答を実施することになります。

この過程のほとんどはアナログ的なオペレーションに終始しており、ブラッシュアップする余地が多くあるのではないか、というのが開発に着手したきっかけです。

そして、法律相談がアナログであることによって生ずる様々な弊害こそが、スマート法律相談が解決したい課題、ということになります。

■ 新型コロナで変わった相談の傾向

スマート法律相談は、当初「離婚」や「相続」などの相談ジャンルの下に相談したい事項を紐づけた上でデータを管理し、それらに対応する回答をできる限り多く用意して自動回答できる範囲を広げるという設計思想のもとシステムを組んでいました。

しかし、その後、新型コロナの感染拡大によって大幅に相談傾向が変わったため、この考え方自体を改めざるを得ませんでした。

「新型コロナの給付金」や「緊急事態宣言」といったトピックは、当然ながら当初用意していた相談ジャンルのどこにも該当しないものです。

このような傾向は新型コロナに限ったことではなく、今後も情勢の変化によって、様々なトピックが法律相談の中身としてホットになったり廃れたりということは出てくるものと思われます。

こういった状況に鑑み、当初の設計思想から徐々にマイナーチェンジし、また、一部外部のAIシステムを使って動作させていた部分も設計を改め、LINEのインターフェース以外は完全に内製のシステムにアップデートいたしました。

■ LINEのインターフェースについて

スマート法律相談は、通信アプリ「LINE」のチャットインターフェースを利用しています。これは、開発初期の段階で様々なメッセージアプリのインターフェースを試した結果、同社のインターフェースが最も優れていると判断したためです。

このLINEにおいては、先々週の3月17日に、一部のデータを日本国外で保管していたと発表するに至りました。

同社の管理方法(拠点において暗号化した上でデータを保管していた)に鑑みれば、直ちに大きな問題につながるとまでは言えないと考えておりますが、やはり他社サービスにデータベース管理を依存せざるを得ないというのは運営上の問題につながりかねません。

新たなスマート法律相談では、(別にこういった事象を見越していたわけではありませんが)個別の質問内容はLINEのサーバーには残る形ではなく、弊社管理に係るサーバーのデータベース上に保管され、質問と回答のやり取りは弊社のDBから表示される形態となっています。

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(新システムの個別質問画面)

開発パートナーのトレードワークス様は金融・証券会社向けのサーバー関連開発や保守に強みを持つ会社であり、クラウドを使わない完全内製サーバーの立ち上げにも長年の強みを持つ会社です。

LINE社の事象は決してLINE社のみの問題ではなく、日本のほとんどの企業がサーバーの内製化や専門エンジニアの確保に課題を抱えている状況です。弊社も、今後本格的に法律相談特化システムを構築していくにあたって、インターフェースも含めた内製化も見据え、トレードワークス様とともにブラッシュアップを図っていきたいと考えております。

■ 今後の展開について

現在、スマート法律相談はすぐに収益化等を考えて開発をしておらず、法的問題で困っているユーザーと弁護士をどうやってつなぐのがベストかという点に注力し、内部テストを繰り返しています。

もっとも、その点に関するテストや収益化のポイント等についても徐々に整理されつつありますので、適切な時期を見極めて一気にプロダクトをブラッシュアップしたいと考えております。

まだまだ道半ばではありますが、今回の開発リリースに協力して下さった全ての方に感謝いたします。

今後も引き続き開発を進めて参ります。


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