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ふるさと納税、最高裁判決受け泉佐野など3市町の参加決定(総務省)

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

ふるさと納税の返礼品の設定に問題があったとして、大阪府泉佐野市の除外をした処分の違法性を争われた訴訟で最高裁は処分の取り消しを認める判決をしました。

これを受けて、総務省は泉佐野など3市町の参加決定をしたとのことです。

もともとどんな制度だったのか

ふるさと納税は、本来自分の居住する自治体に支払う地方税を、自分の好きな自治体を選んで支払えるというイメージの制度ですが、法律上の位置づけは寄付金(特例控除対象寄附金)です。

例えば、自治体Aに20万円の地方税を支払う義務がある場合に、自治体Bに10万円を寄付すると、その分を自治体Aへの納税から控除します、という処理をします。

制度が始まった当初は、自分が今住んでいる自治体の他に、例えば自分が生まれ育った自治体にも納税をしたいというニーズ(主に震災の際に自分のふるさとを応援するという意味合い)に応えるもので、返礼品を期待した制度ではありませんでした。

しかし、その後、自分の自治体に寄付してくれたら返礼品を返すという方法でふるさと納税を募る行動がエスカレートし、本来の趣旨からかけ離れた状態になってきました。

そこで、地方税法等の一部を改正する法律案の第1条第2項において、以下のような定めがなされました。

前項の特例控除対象寄附金とは、同項第一号に掲げる寄附金(以下この条において「第一号寄附金」という。)であつて、都道府県等による第一号寄附金の募集の適正な実施に係る基準として総務大臣が定める基準(都道府県等が返礼品等(都道府県等が第一号寄附金の受領に伴い当該第一号寄附金を支出した者に対して提供する物品、役務その他これらに類するものとして総務大臣が定めるものをいう。以下この項において同じ。)を提供する場合には、当該基準及び次に掲げる基準)に適合する都道府県等として総務大臣が指定するものに対するものをいう。
一 都道府県等が個別の第一号寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額として総務大臣が定めるところにより算定した額が、いずれも当該都道府県等が受領する当該第一号寄附金の額の百分の三十に相当する金額以下であること。
二 都道府県等が提供する返礼品等が当該都道府県等の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであつて、総務大臣が定める基準に適合するものであること。

今回の最高裁判所の判断について

このような法律に基づき、総務省が基準に適合しない自治体を対象から除外するのであればよかったのですが、総務省は、この制度が始まる直前まで趣旨に適合しない返礼をしていた自治体を対象から除外しました。

最高裁は、このように制度が始まる前になされた行為を根拠にした除外が違法であると判断しました。

激しい返礼品競争のなか、2019年の法改正で国はふるさと納税に「国が対象自治体を指定する制度」を導入。返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」として、泉佐野が堂々とやっていた「3割以上の域外産品」を牽制。さらに告示で「2018年11月から半年間に趣旨をゆがめるような募集をしてこなかったかどうかも考慮する」と過去にさかのぼって審査対象にすると宣言した。この「告示」の妥当性が問われた。

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020070100010.html

振り返って考えれば当然の判決のようですが、行政訴訟でこのような国側敗訴の結果が出ること自体、非常に珍しいことです。

近年、新型コロナの対応など、色々な場面でトップのルールメイキングの妥当性が問題となっていますが、ルールを作る側が自分達の都合のよい結論となるようにルールを作ったり、ルールの決め方自体が違法であることは許されることではありません。

ルールは競争をする際の前提条件のようなもので、ルールで許されている範囲で行動するのは悪いことではありません。泉佐野市も従来から、ルールが変わればそのルールに合わせると公言しており、新法が施行されれば新法に合わせる、それまでは新法のルールに従う必要がない、という、ある意味で合理的な行動をしていました。

これが総務省にとって印象がよくなかったようですが、法治国家であれば法律で定めたルールに従って処分をしなければならず、合理的なルールを定めて統治するのが政治家の役割のはずです。

国のやったことだから国を負けさせるわけにはいかないという論理で裁判の結論が決まることはあってはならず、その意味では画期的な判決であったように思います。

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リリース時に朝日新聞にも紹介されました!


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