元禄2年創業は本当?八ツ橋訴訟の京都地裁判決
こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。
京都銘菓・八ツ橋の大手「聖護院八ツ橋総本店」(京都市左京区)が元禄2(1689)年創業とうたうのは虚偽だとして、ライバル店の老舗「井筒八ツ橋本舗」(同市東山区)が、創業年などの表示中止と600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(久留島群一裁判長)は10日、請求を棄却した。
上記の報道では、根拠となる条文の適示がありませんが、差し止めと損害賠償を求めていることから、おそらく不正競争防止法に基づく請求であると思われます。
不正競争防止法
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
20 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
(差止請求権)
第三条 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 (略)
(損害賠償)
第四条 故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
今回の訴訟騒ぎには伏線があった。2017年5月に、京銘菓八ツ橋工業協同 組合が「聖護院八ッ橋総本店」に対して、今回と同様の「根拠のない表示」の中止を求めて、京都簡易裁判所に調停を申し立てた。しかし、「聖護院八ッ橋総本店」が「民事紛争に該当しない」と主張し、調停は不成立となっている。そのため、今回の「井筒八ッ橋本舗」はこうした流れに決着をつけるために訴訟に持ち込んだ。組合内部での「聖護院八ッ橋総本店」のここ10年ほどの積極的な宣伝手法に対する反発が続いていたことが背景にある。
八つ橋は八つ橋で、どこで買っても一緒、というイメージもありますが、積極的に新しい味を生み出そうという姿勢は、どこかで敵も作ってしまうものなのかも知れません。
いつの創業なのか、という事実が消費者の消費行動を左右するファクターなのかというのは微妙な問題です。
例えば、ある法律事務所が創業して間もないにもかかわらず、創業100年ですと言って宣伝するのは、不正競争に該当する可能性が高く、一般消費者に対する優良誤認を与える表示にも該当するでしょう。
しかし、八つ橋販売店の創業が100年前なのか200年前なのか、というのは、消費者にとってそれほど重要ではない情報のようにも思います。
原告の方で事実に関する立証を詰め切れなかった可能性もありますが、観光客の多くは京都の伝統的なお菓子といえば八つ橋、というブランドイメージで八つ橋を買っているという部分もありますので、控訴審でひっくり返る可能性もあるのではないかと思います。
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