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ないものねだり-無いものは無いのです!

将来を予測できたとしたら、その予測をもとに現在から何ができるかを考える、といった考え方があります。人間はすべての情報を把握し、アクションはその理解のものに進んでいる、みたいな話と似ている面もあるかもしれません。どちらにしろ前提条件である、将来の予想なり、全ての情報の把握、というのが途轍もなく難しいのです。

2020年3-4月に北海道大学の西浦教授による、コロナウイルス感染拡大の予測の数理モデルは、その後の緊急事態宣言による力強い接触自粛を促す根拠の1つとなり、またWithコロナ時代の外出、対面や飲食という様々な形態への変化が及びました。幸いに、その数理モデルで出された最悪シナリオとして、無対策だと、85万人以上の重傷者が発生、半分以上が死亡、には全く近づかず、やはり何かしらの対策取ってて良かった、と思います。
一方であまりにも数のインパクトが大きく、実際は近似値でもなく、過大過ぎで人々を煽りすぎ、という批判もあったようです。

批判は正確な将来予測への期待の裏返しでもあるが、そもそもSIRモデルをはじめとする数理モデルには限界がある。
現実に即した計算結果を得るには、精緻なデータが不可欠。日本には、新興感染症を想定した毎日の感染者や重症者の正確な数値を記録するデータベースも最近までなく、感染者や周囲の人の行動を把握するデータも取得も限られる。数理モデルを現代社会に合わせて高度化できていない。

また緊急事態宣言中は、西浦教授のモデル以外も自らモデルを作らないと、という意見が多くみられました。東洋経済も上記のように、感染データと共に、実効再生産数(実際の社会において、1人の感染者が平均で何人を直接感染させるか、を予測する数字)を出しております。2020年8月5日時点ですと、全国では1.34、東京では1.23、だそうです。(感染拡大はしているものの、緊急事態宣言時の全国で2.2、といった水準ではなさそう)

地震だと、天気や感染症よりも、より難易度が高い予測となると思います。2020年7月30日午前中に東京都の鳥島近海であった地震を元に、関東全域に緊急地震速報が出ました。幸いにも実際の地震は関東までは来ませんでしたが、気象庁がお詫びする、という事態に。
『備えあれば憂いなし』ということから考えると、緊急地震速報はビックリするけど、万が一の際への準備の一環でミスが起こった、と考えるとこの国で住んでいることのコストの一部というか、安全な生活の一部と考えてあげても、と思います。

予測は効果ない・実数に近くないと色々と批判が出ますが、少なくとも我々の生活のガードレール、というか予測幅を提供してくれている、と考え、その幅を超えすぎないように、我々もちゃんと反応・対応していく必要があるんだな、と感じました。


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