見出し画像

調査報告書を通じた、老舗企業の違い

最近の企業内での不正や不祥事に対する、様々な調査報告書が出てきています。直近で一番インパクトがあったのは、東芝の2020年の株主総会へ向けたやり取りがみられた調査報告書でしょう。

そして昨日10月1日には、三菱電機の品質不正問題を受け、第三者による調査報告書が発表されました。詳しくは下記リンクや記事をご確認ください。

三菱電機の品質不正問題を受け、調査委員会が1日公表した報告書は、従業員が会社全体よりも「工場や製作所の利益」を優先する体質が背景にあると指摘した。…「『製作所・工場あって、会社なし』という企業風土が一つの真因だ」。…調査委員会は一連の品質不正の背景として、従業員の多くが自分の所属する組織への帰属意識を強く持ち、会社そのものに対する意識が希薄だったと指摘した。…ある従業員は調査委員会の聞き取りに対し、不正検査の問題を報告しても「『それでは、あなたたちで改善してね』と言われるだけ」と回答。「改善を提案すると、言い出した者がとりまとめになり、業務量を調整してもらえず、単純に仕事が増える」との声もあった。「是正が現場に丸投げ」されるため、現場は本社への不信感を募らせた。本社と現場の間で断絶が起き、不正が長期間見過ごされてきた。鉄道向けの空調装置や空気圧縮機で検査不正が発覚した長崎製作所(長崎県時津町)。不正について「相当数の従業員が認識していた」が、それを正そうとする機運は出てこなかった。ある従業員は「国内顧客は細かいことを言わないで任せてくれる」と打ち明けた。現場は「下手に突っ込むと生産が成り立たなくなる」と自分たちの論理を優先した。

前段として、商品の性能に問題が例えなかろうとも(今回はそのようなケースであったそうです)、確かに品質管理不正をしたこと自体はよろしくないことです。一方で2つ興味深い点があるのでは、と感じました。

①本社は工場や製造側に裁量の大きい権限を与えていた(要は現場主義だったとも言える面もある)。一方で本社はその製造側の不正を、適切な声(所謂Whistle Brower的な意見)が上がってきても、ちゃんとその意見に基づいて行動していなかった、という点。

②記事は本社vs工場のような図式で見ているが、調査報告書が問題提起していたのは、社内風土に加えて、この品質管理不正問題をどれだけ適切に、対外的(株主や客先)に報告、ディスクローズしていたか、という点。

今回の品質管理不正の件を発端として、トップは引責辞任され、改革をされるということですが、私は内部のものでないのでよくわかりません。一方で東芝様のケースと比べると、と言ってはいけないのでしょうが、今回の印象として三菱電機様はしっかりとされている会社(現場中心で考えている会社、第三者報告もちゃんと受け止めようとする姿勢、不正やディスクローズの問題はありながらも社内で改善可能である点等も踏まえる)と感じました。あとはその後の改善をちゃんと社内で適切に評価できるか、今後も不正の目が現場で出た際には、ちゃんと本社が踏み込めるか、という本社と現場のバランス面の問題であるのかな、と感じました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?