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『「仕事ができる」とはどういうことか?』|読書メモ

本を通じたアウトプット。誤読も含め、楽しんでいきたいです。

一橋ビジネススクール教授の楠木健さんと独立研究家・著作家・パブリックスピーカーの山口周さんの対談形式による本です。
テーマはタイトルにもある「仕事ができる」ということはどういうことか。仕事ができる人はなぜ希少なのかという問いが原点になっています。
私自身もできれば「仕事ができる人」になりたいと思って日々過ごしているわけですが、改めて「仕事ができるとは何か」と問われると漠然としていることに気づきました。この本を通じて考えたこと、感じたことについて触れてみたいと思います。

マイ・サマリー

◆仕事ができるとは状況に関わらず人に頼りにされる「固有の価値」を持っていること
◆「固有の価値」はセンスに強くかかっている
◆センスとは「具体と抽象の往復運動」

「インサイド・アウト」と「アウトサイド・イン」

第3章では、仕事ができる人とできない人の思考様式の違いについて、「インサイド・アウト」と「アウトサイド・イン」というキーワードで語られています。仕事ができる人の思考様式は「インサイド・アウト」。完全な未来予測はできない中、情報は不完全でも、まず自分なりのロジックやストーリー、自分なりのハッピーエンドみたいなものがまず見えている。そしてその見えているものに対して、「わからなかったら後で取りに行く」というようような思考法をする人だと述べています。
一方、仕事ができない人の思考様式は「アウトサイド・イン」。最適な解がどこかに落ちているはずと外部にあるものをサーチして、そこからいいものをピックアップして問題を解決しようとする。また悪いことがあると「外側」に原因を求め「ここにいる私」が起点にならない。
つまり、「インサイド・アウト」な人は、自分のモチベーションが第一にあるのに対して、「アウトサイド・イン」な人はミッションはあってもモチベーションがないと述べています。

この本のメッセージ

・「役に立つこと」から「意味があること」に価値の源泉がシフトしている
・「意味がある」にはセンスとアートが必要となる
・センスとは「具体と抽象の往復運動」
・センスがいい人は自分が何をわかりたいと思っているかを認識している
・センスは後天的に習得することができる

「スキル」対「センス」。「スキル」は「できる・できない」が分かりやすく、英語スキル、プレゼンテーションスキル、交渉力など他者に容易に示すことができます。一方で「センス」は特定の尺度では測れず、他者へ容易に示すことができません。ゆえに「センス」が優先され「スキル」は劣後してしまうと述べられています。
一方で、社会が成熟するにつれて、「役に立つ」モノから「意味がある」モノへ求められるものが変わってきています。本でも書かれているように自動車業界の例が分かりやすいです。そのような「意味がある」ことを見出していく人がこれからは求められてくると著者は言います。わかりやすく言えば「この人じゃなきゃダメ」という固有の価値を持っている人です。平均点ではなく、独自のモノの見方や考え方、つまり「センス」を持っている人ということです。
では「センス」は一部の天才が生まれ持ったものかというと、筆者は後天的に身に着けることが可能だといいます。どうやって身に着けるのか、それは「人間を知る」ということ。人間という矛盾を抱えた生き物を観察し、どういうものかを考え続ける中に「センス」が生まれます。一朝一夕で身につくものではないからこそ、日々の積み重ねが大事だと思います。

「全体と部分」という考え方

最後に山口さんは「全体と部分」ということを書かれています。部分を十全に成立させ、機能させるためには全体も同時にとらえていく必要があると。「スキル」と「センス」は2項対立するものではなく、「スキル」は部分的な活動に結び付き機能的に働く一方で、その全体の枠組みとして「センス」が不可欠になるといいます。
大企業とベンチャー、サラリーマンと起業など2項対立でとらえがちな物事も、全体と部分という考え方でとらえてみる。そもそも「全体」とは何かといった視点で物事を考えていくと、2項対立で考えている物事も、どちらも部分でしかないということもあり得ます。目の前に見えている物事だけにとらわれるのではなく、その背後にある大きな全体をとらえていけるように物事に向き合っていきたいと思います。




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