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07_企業が今も新卒採用を続ける理由と面接官がチェックするポイント4選

こんにちは。チェンジマネジメントコンサルタントの江田泰高です。

これまでのnoteでは、チェンジマネジメントの重要性や、そもそもなぜ変化する必要があるのかについて説明してきました。何度も申し上げているとおり、企業は今、大きな変化の波に飲み込まれようとしています。しかし昭和から今もなお、「新卒採用」の文化は残っています。その理由を紐解きながら、就職活動のコツについてもお伝えしていきます。

 1. 新卒採用をする意義とは?

新卒採用とは、大量に採用した新入社員を同じカリキュラムで育成をして、定年まで働いてもらうのが前提のシステムです。

海外の場合は、日本のようなポテンシャル採用はほとんどなく、大学で学んだ専門知識をもとに就職することが一般的です。将来的には日本の新卒採用のあり方も変わってくるかもしれませんが、現時点では、新卒採用が続いていくという考え方が濃厚です。

では、なぜ新卒採用をするのでしょうか?

一見、企業側の新卒採用にメリットはほとんどありません。大前提として、新入社員を即戦力として現場に導入することができないからです。むしろ即戦力として育成するために多大なコストがかかります。その一方で、最低限の給料は与えなければなりません。

企業側として、若い働き手が欲しいのであれば、2年目3年目の社会人を中途で雇うこともできますし、経験値のある派遣社員を即戦力として雇用することも可能です。すなわち、新卒採用をする理由は、単純に労働力が欲しいというわけではないのです。

私が考えるに、企業が新卒社員に求めているニーズは大きく3つあります。

① 会社として新しい風が欲しいから

同じメンバーが長い間、同じ会社にいると、どうしても組織自体が硬直化して、考え方が古くなったり、フットワークが重くなったりします。こうなると、変化に対応できない会社となってしまいかねません。

新卒社員のもつエネルギーや柔軟な発想は、組織を活発にする1つのカンフル剤としての役割があります。

② 中堅社員を管理職として育成できるから

新入社員が入ることによって、3年目から5年目ぐらいの中堅層が、若手社員を指導する機会を得られます。管理職になってからはじめて部下を持つのでは、マネジメントのスキルが身に付いていないままで、大きな失敗をしかねません。継続的に新入社員が入社し、先輩社員が後輩社員を指導することによって、マネジメントに必要な能力を段階的に身に付けられるのです。

③ 忠誠度の高い社員を確保できるから

現代は、転職の市場がオープンになっています。優秀な人材が別の会社で活躍する道を選ぶことは少なくありません。特に中途で入社した社員は、過去に経験している分、転職のハードルが低いといえます。

つまり、会社が危機的な状況に追い込まれたとき、優秀な人材が全員逃げてしまう可能性があります。海外の企業では、倒産危機の報道があった直後に多くの社員が引き抜きにあって、立て直しが困難になり、ついには倒産してしまう事例もあります。

しかし、新卒で入った社員は、会社に少なからず愛着があります。困難な状況に追い込まれた際でも、会社を守ろうと残ってくれるメンバーが多いのです。だからこそ、たとえ即戦力にはならなくても、忠誠度の高い社員をしっかりと育成していく新卒採用を続けることが重要なのです。

2. 面接官が学生を見るポイントは?

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では、企業側は採用において学生のどのようなところを見ているのでしょうか?

結論から述べると、「長く働いてくれるか」「中核社員として会社を支えられるポテンシャルがあるか」の2つを確認します。この2つの適性を見るために、面接官は実際にどのような思考をしているのか、紹介します。

① 一緒に働きたいか

通常、新卒の1次面接は若手社員が担当する会社が多いです。2年目3年目ぐらいの社員が面接官となり、「この人は自分の同期にいるタイプか」「一緒に働いても大丈夫か」を確認します。

面接官に「一緒に働きたい」と思ってもらうためにはまず、エントリーシートやOB訪問で熱意を示すことが大事です。しっかりエントリーシートを書いていると、「うちの会社に本当に行きたいんだ」と感じてもらえ、一緒に働きたいという思いが強くなります。

一方でどの会社にも当てはまるよう内容を書いているようなエントリーシートだと、「うちの会社には興味を持っていないのかな」と感じてしまいます。エントリーシートでも自己PRでも、なぜこの業界、そしてなぜこの会社に行きたいかをしっかりと答えられることが重要になります。

もう一点、重要なポイントは協調性です。中には「僕が、僕が」と前に出るタイプの方もいらっしゃると思います。強いリーダーシップが求められているような会社、たとえばベンチャー企業だと歓迎されるかもしれません。しかし組織の大きな会社では、その人がワンマンプレーをするよりは、みんなでやっていこうという意識が強いです。しっかり協調性を持っているかどうかは、エントリーシートや面接でも重視されるポイントです。

② 再現性があるか

面接でほぼ必ずといっていいほど聞かれるのが、これまでの経験です。それは、その人が成長できる人材かを確認するためにほかなりません。特に注目しているのが「再現性」です。それらの経験が、社会人として働いたときにも役立つのかを確認しています。

つまり、単にやったことだけでなく、その中で自分がどんな役割をして、どんな成果を出したか、それを踏まえて今後どうやってそれを活かしていけるかを伝えられると、ポテンシャルある人材として評価されます。

たとえば、「あのとき、○○をしてうまくいきました。だから、御社でもこの経験を活かして、うまく進めることができます」「部活でリーダーの役割を担いました。だからこそ御社に入ってもリーダーとしてやっていくだけのポテンシャルが僕にあるんです」。これが再現性を伝える内容になります。


③ 長く働いてくれるか

長く働いてくれる人の見極め方として、大きく2つあります。

1つ目は志望度です。なぜこの業界なのか、なぜこの会社なのか、価値観とマッチしていなければ、すぐに転職されかねません。なぜこの会社で働きたいのか明確に答えられないと、「長く働き続けてくれないかも」という印象を与えてしまいます。

2つ目はストレス耐性です。ストレスを感じやすい人は、うつになったり、挫折して立ち直れなかったりして、仕事のパフォーマンスに影響することが考えられます。

具体的には、数値目標を今まで課せられたこと、リーダーとしての役割を担ったことがあるか、何かを継続した経験があるかなどを確認します。これまで何かプレッシャーがかかるような環境に身を置いていた経験をアピールできると、「うちの会社に入っても、ストレス耐性があるから大丈夫だ」と思っていただくことができます。


④ 的確なアピールができているか

面接官側も学生一人ひとりに対して、親密になって知るほどの時間はありません。面接は15分から30分ぐらいしか時間が与えられないので、人生の出来事全てを伝えることは到底不可能です。この短い時間の中でどれだけ自分を的確にアピールできるかどうかが重要な要素になります。

たとえば、面接で「自己紹介をしてください」と言われて、エントリーシートや履歴書に書いてある内容と全く同じことを話しても、面接官からすると「目の前に書いてあるから同じだよね」で終わってしまいます。

ここで、この自己紹介の中で特にアピールしたいポイントは何かを明確にしておくと差別化できます。たとえば、「私の強みは論理性、実行力です」と決まっていれば、それが印象に残るように話を組み立てましょう。

これは社会人になってから、営業やマーケティングの仕事をする段階においても重要なスキルになります。顧客が何を求めているかを意識しながら話をしなければ、単なる紹介で終わってしまいます。相手が求めていることに対して、適切な答えを伝えるトレーニングだと考えて、面接に取り組んでみましょう。

以上、今回は新卒採用をする意義と面接官がチェックしているポイントをお伝えしました。次回はより実践に寄せて、面接で使えるテクニックをお伝えします。

では、また次回、お楽しみください。


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