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【詩】ナニコレ

急にわたしの胃の底の方から湧いた

湧いてきた❗️

なに……エモイワレヌ気持ち?
不愉快じゃないよ
でも気持ちよくもない

もう手の届かない【懐郷】のような
暗闇の中にキリトラレタ景色がモヤのようにあってわたしはソレを遠くから眺めるしかないような

どこかに繋がっている
泣き出しそうな

さっきまでなかったんだよ
ほんとに急に
聞いてる? 誰か ねぇ

発展の見込みのない郊外の端の灰色の一角
錆びついたシェードの金具破れた看板物言わぬシャッター割れた縁石

足音のひとつもないウラサビシイ消えた賑わい

置いてかないで

お願いします おねがいします オネガイ

その 廃れた場所に
似つかわしくない
真新しい雑貨店の光

店主は 顔もあげず
わたしの趣味でないアクセサリィを
レジの椅子で ずっと

軋む 煤けた無垢の床が
ギシ ギシと
汗ばむ 足跡そくせき

orange色の電灯の居心地の悪さに
たまらなくなってわたし
入口の泥落としのマットを
跨ぐように避けて

灰色の郊外へ

ごめんね? ごめんってば? 

ね❓

許してよ
謝ってるんだから

かび臭い『エモイワレヌ』を携えて
おうちに かえろうかな

繁華街の横断歩道赤信号🟥

雨粒が不愉快な熱気を持ち上げた
這い上がる衣服の裾の中へわたしに
どうしてか

どうしてかわたしは

あの日からうまく笑えなくなったんだ

血の染みたガーゼが
寝苦しく纏わりついてくるようで

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