第113回:直近の厚労省改正法案のおさらいと予算の方向性を探る

1.新しい法律に関わる予算を知っておくとビジネスにもプラス

国会が6月に閉会しました。政府が提出した法案は61本が、国会議員が提出した法案は8本が成立しています。国会で通った法案を確認することはとても大事です。新しいルールがどのようなものになるかを確認するだけでなく、8月末に各省庁が財務省に提出する概算要求の中身にどのような予算が盛り込まれるかを予想することも可能になるからです。

過去の一例をご紹介します。2023年から道路交通法が新しく変わりました。電動キックボードに乗るために免許が不要とされ、ヘルメットをかぶることが努力義務とされるなど、新しいルールが作られたのです。この電動キックボードに関わる新しいルールに伴い、2023年の予算には電動キックボードに関わる新たな予算が作られています。国土交通省では電動キックボードの自賠責保険の加入に関する周知、広報予算が確保されました。また、保安基準に適合しないキックボードの市場調査や、安全性が担保されているかの確認手法を策定するための予算も確保されました。

法律は強制性の強い政策手段なので、その内容は最低限必要な範囲に限定されることが多いです。そのため、補足的な手段として予算を活用することが多くあります。このことがわかっていれば、ビジネスにも応用することが可能です。

例えば自賠責保険の周知広報について予算がついたということは、その予算が外注される可能性があります。安全性の確認手法構築のための予算が積まれていることをいち早く知っておけば、その手法の中に必要な内容を盛り込むための活動を民間サイドで考えることもできます。

このように、法律と予算は密接な関係があります。この記事を読まれている政府関係者の方々は、新しいルールがどのようになるかということを把握するだけでなく、今後その法律が施行されることに伴いどのような予算がつくかをぜひ知っていただきたいと思います。場合によってはその新しい予算を使って皆さんの事業を伸ばすことも可能になるかもしれません。今回の記事では、2024年に国会で成立した新しい法律をいくつかご紹介し、その内容を説明するとともに、どのような予算が新設されることが想定されるかについても解説していきます。

(執筆:西川貴清)



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