早朝散歩で見つけた飲食店”ネーミング”の謎。第1回
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早朝の散歩が好きだ。
途中で徐々に空が白んでくると、新しい一日の始まりを実感できる。
そして散歩のあとの朝食は、実に美味しい。
仕事で地方へ行った時も、ぶらぶら散歩をしていた。早朝の繁華街は人が少なく、喧噪の舞台裏を見ているような気がした。
さまざまな飲食店があるが、同じ名前のお店はめったにない。
オーナーの思いが詰まった店名から、願望や狙いを想像するのは楽しい。
「ぜひ入店したい」と
思わせるネーミングとは?
栃木県塩原温泉を散歩していたら「湯香里」というスナックを見つけた。
「湯の香りの里」とは、何とも情緒あふれるネーミングではないか。
ママさんが「ゆかり」という名前なのだろうが。
心も体も温めてくれそうな店名だな、と思った。
しかし入店はしなかった。
夜の散歩だったら、間違いなく扉をくぐっていただろう。
東京都荒川区に「三姉妹」というお店が。
三人の姉妹で営業しているに違いない。
母親が早く亡くなり、しっかり者で独身の長女が調理を担当し、奔放な次女はヤンキーな彼と結婚したが、離婚後お店の手伝い。
苦労をほとんど知らない三女は常連客のアイドル的存在だが、姉二人のチェックが厳しくて、誰もちょっかいを出せない。
妄想はどんどん膨らんでいったが、この店にも入ったことはない。
店先を通るたびに、どんなドラマが潜んでいるのだろうか、と想像できる貴重なお店だった。
三姉妹が、美人かどうか、若いかどうかは、重要な問題ではない。
店先に赤ちょうちんが何個もぶら下がっている昭和のラーメン屋のようなたたずまい。あるとき気づいたら、店の建物ごと取り壊されていた。
実際に行かなかったからこそ、自分で物語を想像して楽しめたのかもしれない。
オーナーのキャラが
想像できるネーミングは?
東京都北区で見つけた「ポテト姫」。
ママさんのイメージは、茶目っ気があって、元気いっぱい。
この店には何度か行ったことがある。飲み屋というより、ジャガイモ料理が自慢の小料理屋。会社帰りに軽くアルコールを飲みながら食事するお店だった。ママさんも気さくでチャーミングな人だったが、残念なことに体調を崩して閉店してしまった。
「純子」というスナック。
ありがちな店名だが、入り口扉に骨を咥えたワンちゃんのイラストがあり、「待ってるワン」と吹き出しが。その脇に貼り紙には「お客様大募集。履歴書不要、老若男女不問、お酒、歌の好きな方」と丁寧な文字で書かれていた。
いずれ行きたいと思っていたが、場所がわからなくなってしまった。
「ボイン」というスナックは、ママのタイプも、客層ターゲットも明確なネーミングだ。ただ数年後に通りかかった時には、「青山」(せいざん)という名前のお店に変わっていた。
そのほかにも、飲食店には遊び心が感じられるネーミングが多い。
「サーティン・ラブ」はテニス好きの店主で、「BMW」(ベンベ)はドイツ車好き、「アルバトロス」はゴルフ好き。「サイドステップ」という美容院は……。
「三匹のこぶた」「泣いた赤鬼」「雨ニモマケズ」など、童話や昔話系の可愛いネーミングは、一度聞いたら忘れられないので、競合さえしなければお勧めかも。
「猫に小判」というお店は
どんな店が分かりますか?
店名は「読みやすい(発音しやすい)」「分かりやすい」「覚えやすい」のが基本だそう。そして7文字以内。今回の店名はすべて当てはまっている。
逆に、名前からどんなお店かを想像するのも、”謎解き”みたいで面白い。
たとえば「おたまじゃくし」という名前のお店は、カラオケスナック。
おたまじゃくしは音符を表している。
山口県岩国市で「猫に小判」という名前の店を見つけた。
飲食店ではないが、何のお店かお分かりだろうか。
正解は、リサイクルショップだった。