青山泰

Aoyama Tai。ライター&編集者。山口県生まれ。慶応大学法学部法律学科卒業。週刊…

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Aoyama Tai。ライター&編集者。山口県生まれ。慶応大学法学部法律学科卒業。週刊誌で事件取材、皇室取材などを担当。月刊誌や季刊誌、医学書や実用書の編集も。裁判リポートを通じて、法廷で繰り広げられる迫真のヒューマン・ドキュメントを届けたいと思っています。

最近の記事

青山泰の裁判リポート 第16回 「お前、頭おかしいよ!」被告人は、被害者の姉を罵倒した。

全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 法廷と傍聴席の間に、3人の警備職員が傍聴席の方を向いて立っていた。 東京地裁429号法廷は警備法廷といわれ、過激派や暴力団関係者などの公判が開かれる。 傍聴希望者が定員に達しなかったので、抽選はなかった。 法廷の入り口で手荷物を預け、厳重なボディチャックを受ける。 裁判は混乱が予想された。 2024年2月14日、控訴審の法廷は、開廷時間が少

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    • 早朝散歩で見つけた飲食店”ネーミング”の謎。

      早朝の散歩が好きだ。 途中で徐々に空が白んでくると、新しい一日の始まりを実感できる。 そして散歩のあとの朝食は、実に美味しい。 仕事で地方へ行った時も、ぶらぶら散歩をしていた。早朝の繁華街は人が少なく、喧噪の舞台裏を見ているような気がした。 さまざまな飲食店があるが、同じ名前のお店はめったにない。 オーナーの思いが詰まった店名から、願望や狙いを想像するのは楽しい。 「ぜひ入店したい」と 思わせるネーミングとは? 栃木県塩原温泉を散歩していたら「湯香里」というスナックを

      • 青山泰の裁判リポート 第15回 “客引き行為”って、犯罪なの? 常習だと実刑判決も!

        全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 男性A(42歳)は新宿歌舞伎町の路上で通行人に声をかけ、明確に拒否したのに、つきまとって執拗(しつよう)に客引きをして現行犯逮捕された。 Aが声をかけた相手は、取り締まりのために巡回していた私服の警察官だった。 違反したのは、東京都迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)で、禁止されている“客引き行為”だ。

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        • 青山泰の裁判リポート 第14回 「バレなければいいと思った」 卑劣で悪質な性犯罪とは――

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 内田直彦被告(仮名・犯行当時23歳)は、開廷前からハンカチで目を押さえて泣いていた。 一重まぶたで眉の太い青年は、素朴で真面目そうに見えたが、その犯行は卑劣で悪質だった――。 会社の研修で初めて一緒になった女性2人と男性3人の5人で、研修当日に飲酒。女性の一人が酔っぱらって帰宅できなくなったため、皆で東京都新宿区の男性同僚宅に泊まることにな

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        青山泰の裁判リポート 第16回 「お前、頭おかしいよ!」被告人は、被害者の姉を罵倒した。

        • 早朝散歩で見つけた飲食店”ネーミング”の謎。

        • 青山泰の裁判リポート 第15回 “客引き行為”って、犯罪なの? 常習だと実刑判決も!

        • 青山泰の裁判リポート 第14回 「バレなければいいと思った」 卑劣で悪質な性犯罪とは――

          青山泰の裁判リポート 第13回 なぜ2人の女性は、自宅に“放火”したのか?

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 「食べている時がいちばん幸せ。お母さんのおいしいステーキとか。 お母さんから『あんたが料理すると火事にしちゃうから』と言われたけど、(知的)障害者に対する差別だと思って、(自分で)料理しようと思った」 法廷でそう証言したのは山城有里被告(仮名・41歳)。 少しウエーブがかかったおかっぱ頭で、紺と白のボーダーTシャツに紺のスラックス姿。 裁判

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          青山泰の裁判リポート 第13回 なぜ2人の女性は、自宅に“放火”したのか?

          青山泰の裁判リポート 第12回 「股間がかゆいから、かいてただけ」と被告人は卑猥な行為を否定した。

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 「刑務所は私には合っていない。いじめられたこともある。 自分は病気だと思う。病院に行ったこともあるが、すぐに通わなくなった」 弁護人からの質問に刑務所生活の辛さを吐露したのは、川口典夫被告(仮名・61歳)だ。 黒縁メガネにパジャマのようなトレーナー姿。小柄で、年齢よりかなり年上に見えた。 住所不定で職業は占い師。以前は有名な芸能人の専属占い

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          青山泰の裁判リポート 第12回 「股間がかゆいから、かいてただけ」と被告人は卑猥な行為を否定した。

          青山泰の裁判リポート 第11回 “老老介護”の果てに、80歳夫が85歳の妻を絞殺するまで…。

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 2024年6月12日、法廷の山下憲一被告(仮名・80歳)は、グレーのジャケットに黒のスラックス、白シャツにブルーのネクタイ姿。身体をほんの少し左に傾けた前かがみの姿勢で、被告人席に座っていた。 初公判では、50人近い傍聴希望者が法廷に入れなかった。 “介護疲れ”が原因の殺人事件として、注目されていたからだ。 7年前から、被告人は一人で料理、

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          青山泰の裁判リポート 第11回 “老老介護”の果てに、80歳夫が85歳の妻を絞殺するまで…。

          青山泰の裁判リポート 第10回 大学病院の医師は、アルコールに薬物を混ぜて、性的暴行を繰り返した。

           全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 私立大学病院の内科医・飯塚敏彦被告(30歳・仮名)は小柄で細身、丸刈り頭に黒ぶち眼鏡姿で、憔悴しているように見えた。 後輩の研修医・広瀬洋一被告(28歳・仮名)と東京都目黒区の居酒屋で知り合いの女性2人と飲酒。 二次会のカラオケ店で飲み物に催眠作用のある薬物を混ぜて、意識がなくなった女性をタクシーで港区内の自宅に連れ込んだ。 昏睡状態の女

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          青山泰の裁判リポート 第10回 大学病院の医師は、アルコールに薬物を混ぜて、性的暴行を繰り返した。

          青山泰の裁判リポート 第9回 元公務員の67歳男性は、なぜ息子の妻の首を3度も刺したのか?

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 被害者は、法廷別室から声だけで証言した。 その内容が、衝撃的だった――。 「『お前は死ぬんだよ』と、強くはっきりした口調で言われたのを覚えています。このまま殺されるんじゃないかと思った。 もう抵抗できないと、あきらめの気持ちになった。 車から上半身を引きずり出された。首の後ろからのどのあたりまで深く刺されてスライドされるように。 その後は

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          青山泰の裁判リポート 第9回 元公務員の67歳男性は、なぜ息子の妻の首を3度も刺したのか?

          青山泰の裁判リポート 第8回  “性的姿態撮影罪”ってどんな犯罪?  加害者たちの残念な言い訳とは……

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 2023年7月13日、「性的姿態撮影等処罰法」が施行された。 身体の性的な部位や下着などを、相手の同意なく撮影したり、盗撮したりする犯罪だ。 撮影だけでなく、盗撮画像の保管や、第三者への提供なども処罰される。 典型的なケースが、公共交通機関、店舗、地下道、エスカレーターや階段などで、ばれないように女性のスカート内を撮影する盗撮行為だ。進学塾

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          青山泰の裁判リポート 第7回 1パック322円のミニトマトを万引きした女性は、なぜ懲役2年の実刑になったのか。

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 「万引きは女性に多い犯罪」というイメージがある。 実際には、令和3年に刑法犯で検挙された女性のうち、万引き犯は約54%(男性の場合は約22%)。 65歳以上の高齢者に限れば、検挙された女性の約72%が万引きによるものだ(令和4年度 犯罪白書)。 小森圭子被告(仮名・85歳)は、法廷に入るとき傍聴席をちらっと見て、裁判官に向かって深く一礼した

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          青山泰の裁判リポート 第7回 1パック322円のミニトマトを万引きした女性は、なぜ懲役2年の実刑になったのか。

          青山泰の裁判リポート 第6回 「たかがスピード違反」と侮るなかれ!道路交通法違反で、刑事事件として裁判になることも…

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 ≪飲酒運転やあおり運転はNGだけど、交通量の少ない高速道路で多少のスピード違反は問題ないのでは≫ ≪車の流れに逆らって、制限速度で走る方が危険な場合もある≫ ≪自動車の性能も上がっているので、スピードの出し過ぎだけなら危険性は少ないはず≫   SNS上では、そんな主張が散見している。  しかし、スピード違反は重大事故を招く危険性が高く、道路交

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          青山泰の裁判リポート 第6回 「たかがスピード違反」と侮るなかれ!道路交通法違反で、刑事事件として裁判になることも…

          青山泰の裁判リポート 第5回 独身と偽って婚活パーティーで知り合ったシングルマザーを、自殺に見せかけて殺害したのか?

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 2024年3月4日、東京地裁715号法廷。 渡辺被告は、両脇を刑務官に挟まれて、まっすぐ前を向いて無表情で入廷してきた。 被告人の渡辺毅(仮名・45歳)は、婚活パーティーに参加して、シングルマザーの石本真由美さん(仮名・37歳)と知り合い、2018年から交際を始めた。 2年後、真由美さんは妊娠したが、渡辺の希望で中絶。何度か別離と復縁を繰り

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          青山泰の裁判リポート 第4回 友人の10歳の娘に性的暴行を繰り返した男。卑劣すぎる犯行は、8年後にようやく発覚した。

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 2023年4月10日、東京高裁720号法廷。 被告席に座ったのは、濃いグリーン色のセーターに白いシャツ姿の中年男性。被告の青田康司(54歳・仮名)は大柄で、眼鏡をかけたロマンスグレーの紳士のようにも見えた。 青田被告は、一審で懲役5年6月の判決を受けたが、判決に不服で控訴していた。罪名は強制性交等罪(※犯行時の罪名は強姦罪)で、被害者のA子

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          青山泰の裁判リポート 第4回 友人の10歳の娘に性的暴行を繰り返した男。卑劣すぎる犯行は、8年後にようやく発覚した。

          青山泰の裁判リポート 第3回 劇団女優を夢見て上京した22歳女性は、なぜ同棲相手のホストを刺したのか?

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 2023年3月7日、東京地裁715号法廷の傍聴席は満員だった。廊下には、15人以上の傍聴希望者が列を作っている。 被告人の名前は内藤亜紀(仮名・22歳)で、罪名は殺人未遂。 法廷に現れた亜紀は黒パンツスーツに白ブラウス姿。小柄で丸顔、肩までのストレートヘアの前髪をサイドに流している。きりっとした眉が印象的な彫りの深い顔立ちの女性だ。 20

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          青山泰の裁判リポート 第3回 劇団女優を夢見て上京した22歳女性は、なぜ同棲相手のホストを刺したのか?

          青山泰の裁判リポート 第2回 母親を暴行死させた36歳の息子は、10歳から家事と育児に追われる“ヤングケアラー”だった。

          全文無料公開。スキや、フォローや、投げ銭などをしていただける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです。 ≪実の息子から50回以上も暴行を受けた母親は、意識不明のまま5か月後に死亡した≫ 検察官による冒頭陳述で、傷害致死事件の概要が読み上げられた。 2022年7月、佐久間康彦被告(仮名・犯行当時36歳)は、自宅で実母(55歳)の顔や身体を一週間にわたり、計50回以上、殴ったり蹴ったりした。被告人が「母親にしつけのつもりで暴行したが、今日は当たり

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          青山泰の裁判リポート 第2回 母親を暴行死させた36歳の息子は、10歳から家事と育児に追われる“ヤングケアラー”だった。