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『組織に「成長」と「成果」をもたらすマネジャーの教科書』をあらゆる人に激しくおすすめしたい3つの理由

学生時代の友人で、現場に密着し成果にコミットするマネジメントコンサルティングで定評のあるペネトラ・コンサルティング株式会社株式会社熱中する組織の安澤氏が3冊目となる著作を上梓されたということで、早速手に取らせてもらいました。

読んだ感想を一言で言えば、「マネジメントスキルの言語化に果敢に挑戦し、それに見事に成功した知恵の結晶」と言えるでしょう。友人であるが故の身内贔屓と思われてもおかしくありませんが、組織のマネジメントに関わる方ならどんな方にも参考になる一冊だと思います。

自分事で恐縮ですが、約15年以上に渡って組織マネジメントに携わっています。組織の規模としては、小さくは2人のチームから、今のARI社で400人を超える組織のマネジメントまで、またプレイングマネジャーや経営者としてマネジメント専任での形、外部から他社の組織マネジメントを支援する形など、様々な形がありました。

途中自分でも書籍(アンディ・グローブ氏の「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」やラリー・ボシディ氏& ラム・チャラン氏の「経営は実行」が好きです)で理論を得ながら、自身の実践と整合性が取れる内容を取捨選択しつつ、自分なりに、(まだまだ全く出来るようになったとは思えないのですが)、「何となく理屈はわかった気になりかけていた」のは正直ありました。非常に恥ずかしい限りです。

ただこの本を手に取ってみて、自分の理論が再確認に出来たこともありますが、新たな学びや不足が明らかになったことも多々ありました。

書籍名に「教科書」という言葉があるの通り、これから組織マネジメントに挑戦する方々が手元に置きたい実践的入門書として最適なのは間違いありませんが、マネジャーとして経験値をお持ちの方が自身のマネジメントの在り方・やり方を振り返るきっかけ役としても、本書が大きな力になってくれることでしょう。

またマネジメントを行う立場でない人にとっても等しくお薦めしたいです。マネジャーの教科書と聞いて自分には関係ないと思う人もいるかもしれませんが、マネジメントとはどういう行為なのかを知ることは、マネジメントを支える立場としても非常に重要だと思っています。この点は、幹事を経験した人が多い宴会と、そうじゃない宴会、どちらが仕切るのが大変かという例えで良く話をすることが多いのですが、現在もそして将来もマネジメントを志向しない人にとっても、チームをうまく運営するコツを知ることは、チームで何かを成すことが多い現代社会において、決してマイナスになることはありません。

ということであらゆる方にお薦めの本社、詳細は是非手に取っていただいた時のお楽しみとしたいのですが、自分なりにこの本をお薦めしたい理由を3点ほどまとめてみたいと思います。

1.心の問題とプロセスの問題の両面を扱う絶妙なバランス感

メンバーがいきいきやりがいを持つこと、財務的具体的成果を上げる、この両面を実現させるためには、不確実性の要因となる人の心の問題と、再現性を生むためのプロセス/ルールの問題を同時にバランスよく取り扱う必要があります。
本書では、そのテーマへの解決策となる組織メソドロジーとして、「エネルギーを高めるための3つの原則と5つの力」という枠組みを提案しています。

安澤 武郎; 中島 賢一; 壽田 幸義. 組織に「成長」と「成果」をもたらすマネジャーの教科書. セルバ出版.2022 より引用

安澤氏の経歴も影響しているかもしれませんが、理系的な要素と体育会系な要素、左脳と右脳、精神性と科学的アプローチの両面のバランス感が、自身現場で必要だと思う感覚に似ていて、非常に納得感がありました。

2.現場の苦労に寄り添った提案

とりわけミドルマネジメントに当たる方々は、様々な制約の中で、日々現実と格闘し心を砕いている方が多いことは間違いありません。(自身もその一人)
そうした方々の心に届くように、教科書とはいっても理想論を語るだけではなく、納得感を引き出すための現場に寄り添った提案が多くあります。

例えば、組織を率いる上で、そもそも部下を「性善説」と「性悪説」どちらで捉えるべきかというテーマがあります。本書では、人間の持つ多面性に言及しつつ、善悪ではなく「心の弱強」という軸を打ち出し、「性弱説」という提案をしています。自分自身非常に腹落ちをした考え方でした。

人間の本性は「元来善であるが弱い」とする考え方で、次のようなものです。
『人はみな「よい仕事をしよう」と思っている。しかし、多くは普通の人間であり、当然のごとく弱さも持っている。だから、人は時には失敗し、よい仕事ができないことがある』

安澤 武郎; 中島 賢一; 壽田 幸義. 組織に「成長」と「成果」をもたらすマネジャーの教科書. セルバ出版.2022 より引用

3.日本語へのこだわり

最後にこれはあくまでも私の主観ではありますが、安易にカタカナ言葉に逃げずに、丁寧に日本語で文脈からしっかり説明したい意図を説明しようという印象を受けました。
実際「はじめに」では以下のような記述もあり、意味合いや考え方を丁寧に解説しようとする際の著者陣のこだわりだったのかなと推察しました。

本書では、「手法・やり方」だけでなく、その背後にある「意味合い・考え方」を丁寧に解説いたしました。本物のマネジャーとして活躍するためには、背後にある考えこそ重要だからです。

安澤 武郎; 中島 賢一; 壽田 幸義. 組織に「成長」と「成果」をもたらすマネジャーの教科書. セルバ出版.2022 より引用

下記の安澤氏ご本人の本著作にかける想いも是非参考にされてください。

以上、書籍のご紹介でした。

自分も本書で得た気付きを早速明日からの行動に活かしつつ、自分の周りのメンバーにも薦めていきたいと思います。

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