『論語と算盤』から考えた理想のプロジェクトチームとは?
渋沢栄一著『論語と算盤』によれば、人が目指すべき究極の姿を『全き人』と呼ぶそうだ。
それは1人の人格に智情意という以下の三つが整っていることを指す。
1.智 知識や知恵、広義には技術
2.情 情愛。他者への思いやりの心
3.意 意志の強さ、やり抜く力、自己節制、承認欲求の克服など
人間が成長するとは、この三つを調和させながら高めていくことにある。ごく稀に一部の能力に秀でて他のバランスを欠いて成立する人がいるが、そんな人は極めて稀である。大抵の人間は常にこの三つをどうバランスさせながら成長させていくか?を考えるのが必要だということだった。
何となく諸先輩方や書籍から学んできたことが、何とも言えない粒度で言語化されていて、共感度が高く心に残った。
翻ってプロジェクトチームを擬人化して考えると、同じようにこの三つをバランス良く高めていく心構えが必要だと感じる。
1.智 知恵や技術
プロジェクトマネジメントなど各種方法論や過去の英知に裏向けられたノウハウ等による生産性と品質向上
2.情 仲間を思いやる心
協調性、道の真ん中より向こうまで掃く、心理的安全性、人を育てる姿勢
3.意 意欲、意志、モチベーション
成功へのコミットメントや熱意、最適や更なる目標や高みを追求する姿勢
これらプロジェクトの智情意をどう高みに導くか?リーダーの腕の見せ所だろう。
理想的なプロジェクトの表現方法は色々はあると思うが、こうした捉え方がしっくり腹に落ちる人もいるのかもしれない。私はそうだった。
これどう実現するか?もちろんそれは簡単なことではない。
夏目漱石の『草枕』の冒頭にこうある。
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
1人で整えるのも難しい智情意をチームで実現するわけだから、簡単な訳がない。
でもだからこそチーム作りは面白いし、やりがいがある。これからも真正面から向き合っていきたい。
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