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部下と張り合わない

あなたはふだん、自分でも気づかぬうちに、メンバーに対する見方を周囲に示している。「君ならきっとできる」と言うか、「絶対にできるはずがない」と言うかで、相手に意思表示している。最高の成果をあげさせたいなら、メンバーを信じていることを、あなたの言葉と行動で示さなければならない。
~『リーダーシップ・チャレンジ 9章 力を与える』 より~

リーダーシップ・チャレンジ」によると、彫刻家ピグマリオンは、自分で作った女性の彫刻に恋をしてしまい、女神アフロディーテに懇願してその彫刻に命を吹き込んでもらい、その後その女性と幸せに暮らしたそうです。

この神話から、相手に期待を高く持つことで相手の成果も高くなるという現象を「ピグマリオン効果」と呼ぶそうです。

部下を心から信頼し、励まし背中を押すことで部下のモチベーションを高めたいというのは、リーダーであれば多くの方が抱く自然な気持ちだと思います。ただそんな気持ちを制約する「ある態度」に注意が必要です。

それは「部下と同じ目線で張り合う」という態度です。

特にプレイングマネージャーとしての気質が強いときは要注意です。

例えば自分が営業マネージャーで一部現場営業としての役割も兼任しているとします。その場合、メンバーとの本来の関係は、

リーダー:部下の成果最大化をサポートする人

メンバー:営業成果を高めるべき人

という関係であるはずなのに、

リーダー⇔メンバー:営業成果を互いに意識

という関係性に無意識のうちになってしまうことがあります。

「リーダーだから一人の営業マンとしても上でなければならない」

そういう思い込みが全面に出すぎて、コミュニケーションの端々に「俺はお前より営業として上だ」という気持ちが伝わり、関係性にも影響を与えてしまいます。

例えば、部下が悩んでいた時に、その部下の成績が上がるための問題解決を全力でサポートすべきなのに、いつのまにか自分のポリシーや方法論を押し付けるようなやり取りになってしまっている時、それは上記の「ピグマリオン効果」の真逆の効果を生んでしまいます。

結局、リーダーという立場を捨て、無意識のうちに同じプレイヤー同士の立ち位置になってしまっているわけです。

この「部下と同じ目線で張り合う」状態というのは、もちろん営業に限らずあらゆる職種で発生します。プレイング度合が高いほど、そうなる可能性が高いと思います。

リーダーにとって、信頼や尊敬を集める材料としてプレイヤーとしての実績や実力はあるに越したことはありませんが、実はそれは十分条件でしかありません。あくまでもリーダーは「リーダーシップ」を発揮してなんぼ、なのです。

例えば、スポーツの世界では、世界一の選手にもみなコーチがいます。コーチを選ぶ時、プレイヤーとしての実績や実力では自分より下であっても関係ありません。自分の実力を伸ばしてくれるコーチとしての能力で選ぶわけです。

リーダーとしてメンバーを後押しする上で、メンバーと同じ立ち位置で張り合ってしまう感情は障害にしかなりません。もし部下の業績に嫉妬したり、疎ましく思う気持ちに気づいたら、その気持ちを無理に否定せず、素直に向き合いましょう。リーダーとしての自分とプレイヤーとしての自分を切り分け、リーダーとして部下の成果を心から祝福できる状態を作りましょう。

「自分に出来ることを全力でやる」という言葉はある側面正しいのですが、ことリーダーに対して言えば、目線を下げることにもつながるので注意が必要だなと感じます。

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以上、部下と(同じ目線で)張り合うべきではないということについて考えてみました。よろしければ皆さんのご意見も聞かせてください。

このnoteが皆さまのリーダーシップ向上に貢献できれば幸いです。

このnoteは?

リーダーシップに関する世界的なベストセラーである「リーダーシップ・チャレンジ」を読み進めながら、リーダーシップを「自ら実践するために学ぶ」べく、そのヒントを綴っていきます。

これまでのnoteはこちらのマガジンをご覧ください。

『リーダーシップ・チャレンジ』が示す「模範的リーダーシップの5つの実践と10の原則」

模範となる
1.自分の言葉で語り、共通の理想を確認することで、価値観を明らかにする
2.共通の価値観に従って行動することで、手本を示す

共通のビジョンを呼び起こす
3.心躍るような崇高な可能性を想像し、未来を描く
4.共通の夢に訴えて、人々を引き入れる

プロセスに挑戦する
5.自発的に行動し、革新的な改善策を外部に求めることで、チャンスを模索する
6.小さな勝利を積み重ね、経験から学ぶことで、実践しながらリスクをとる

人々を行動にかりたてる
7.信頼を築き、絆を強めることで協働を育む
8.意思決定の権限を与えることで、人々の能力を高める

心から励ます
9.卓越した成果を褒め、貢献を認める
10.共同体精神をつくりだし、その価値と勝利を讃える

「#毎日リーダーシップ」とは?

みんながリーダーシップの本質を知り、何らかの領域でリーダーシップを発揮できるようになれたら最高だなと思い、日々学んだり考えたことをこのハッシュタグ「#毎日リーダーシップ」でつぶやいています。良ければフォローしてみてくださいね。







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