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マロン内藤のルーザー伝説(その6ター坊の新居)

生まれ故郷で想定外のトラブルに見舞われ、おじさんの店からの別れを決意したマロンであったが、その後お世話になるポルシェ専門店との関わりを話す前に、ター坊の新居について触れておきたい。

当然ながら戸建て屋根付きガレージを用意して憧れのター坊を迎えるのが本来望ましい姿であるが、そのような余裕のない私は近所の野天駐車場(しかも砂利)を借りたのである。私ごときに嫁いでくれた新婚の妻に「こんな新居で許しておくれ」と頭を下げるダメ亭主そのものである。

月極駐車場を借りてみて気がついたのであるが、そのような場所にビンテージポルシェターボを駐車している人は私以外誰一人おらず、ものすごく目立つのである。近所の悪ガキに悪戯されては困ると考えた私は、愛妻ター坊をカモフラージュすべく、早速オートバックスで車カバーを購入し、乗らないときは常に装着することを心掛けた。

ター坊のリアウイング部にはオイルクーラーだろうか、何かを冷却する部品が裏側に付いていて、その部分が水平になっており、カバーをかけた状態で雨が降るとそこにちょっとした水たまりができてしまうのである。夏場にボウフラがわいても困ると思い、洗面所やトイレ、洗濯機の上に着けるツッパリ棒ラックをDIYショップで買い求めて、リアウィングのへこんでいる部分に乗せてからカバーをつけることにした。これで雨水がたまることはなくなった。我ながら天才!と自画自賛したことは言うまでもない。

ところがところが、この車カバーは風が吹くとボディーに直接触れている部分がこすれてしまい、大切なター坊の体に傷がついてしまうのである。このようなことは断じてあってはならず、早速ネットでスーパーカー用の車カバーを検索した。世の中には私のような境遇の人も多いらしく、アメリカのサイトでスーパーカー用車カバーが販売されているのを見つけたのである。カバーの裏側がムートン地になっていて、多少の風が吹いてもボディーに傷がつかない超豪華仕様であった。早速アメリカから直輸入で手に入れたスーパーカー用ムートンカバーを会社帰りの夜にター坊に着せてあげた。奇しくも、その夜は大気の状態が不安定で、台風並みの暴風雨が直撃するとの予報が出ていたのである。寒がりの新妻になけなしの小遣いをはたいてムートンのコートをプレゼントしたダメ亭主よろしく私は自らの判断が間違っていなかった!と再び自画自賛した。

台風一過の翌朝、ター坊の様子を見に行った私は愕然とした。昨晩装着したはずのスーパーカー用ムートンカバーが強風で吹き飛ばされてしまい、どこにも見当たらないのである。「神様・・・」私はその場に崩れ落ちた・・・

さらに続く・・


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