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運命はどこにでも転がっている

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会社員の藤原誠史はある日、電車で見かけた若い男に目が止まった。何故か心惹かれる見知らぬ彼を通勤のたびに見つめる日々を過ごしていたが、大学の学生証を拾ったことで彼=一ノ瀬翔真と話を…
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記事一覧

運命はどこにでも転がっている 最終話

 凍りついた地面で滑らないようにバスから降りると、冷たい風が吹き付ける。俺はコートに身体…

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運命はどこにでも転がっている 第13話

 イルミネーションが点灯し始めて、商店街がキラキラしている。街を歩く人々の足取りも何だか…

運命はどこにでも転がっている 第12話

 薄暗い店内にジャズが流れる。俺がグラスを傾けると氷が音を立てた。バーテンダーが、こちら…

運命はどこにでも転がっている 第11話

 カップを持った男女の大学生たちが、あちこちで楽しそうに話をしている。テーブルの上にはス…

運命はどこにでも転がっている 第10話

「おっ。浮気者、発見」  声がした方を向くと、そこには悠親が立っていた。後ろには一美も一…

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運命はどこにでも転がっている 第9話

 澄んだ朝の空気が、ほんのり冷たい。もう十月だ。そろそろ冬服を出す時期かもしれない。ジー…

運命はどこにでも転がっている 第8話

 窓から外を見下ろすと、街にはまだ明かりが灯っている。大浴場からのこの風景が好きで、いつもこのホテルを取ってしまう。チャンスがあれば、翔真にも見せてやりたい。  俺は湯に浸かって、ゆっくり身体を伸ばす。今回のミーティング、無事に終わって良かった。わざわざ出張をして、現地まで来た甲斐があったというものだ。  天井から落ちた水滴が音を立てる。浴室内には誰もいなくなっていた。俺はハンドタオルを頭に載せて、肩まで身体を沈める。  二週間前のあのカップル、悠親と一美だったっけ。インパク

運命はどこにでも転がっている 第7話

 喫茶店の中を見渡しながら、歩いていく翔真の後ろに俺は続く。中年女性の集団がいるテーブル…

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運命はどこにでも転がっている 第6話

 電車から吐き出されると、空はすっかり紺色に変わっていた。ベルトコンベアに流されるように…

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運命はどこにでも転がっている 第5話

 パソコンを目の前にして、俺は身体を伸ばす。仕事に集中できない。理由はわかっている。昨日…

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運命はどこにでも転がっている 第4話

 食事を終えると俺たちは電車に乗り、翔真の家へ向かった。彼が普段乗って来る駅で降り、二十…

運命はどこにでも転がっている 第3話

 薄暗くはなってきたが、アスファルトにはまだ熱がこもっている。俺はカバンの中から扇子を取…

運命はどこにでも転がっている 第2話

 電車内は冷房でひんやりしている。線路に並走している道路には、雨で濡れた跡がまだ残ってい…

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運命はどこにでも転がっている 第1話

 瞳がその姿を捉えた瞬間、目が離せなくなった。見慣れたはず世界が、さっきまでとは全く違う彩りに変わる。月曜日のかったるい通勤電車から、突然別世界に放り込まれたかのようだ。俺は自分の目を擦り、再び彼を見つめた。  そこにいたのは大学生くらいの男だった。整ってはいるが、どこにでもいそうなタイプ。なのに、俺の目は何故だか彼を追いかけてしまう。  軽くパーマがかかった髪に長い睫。印象的な瞳はスマートフォンを見つめている。耳にワイヤレスイヤホンを着けているから、音楽でも聞いているのだろ