見出し画像

私とピアノの30年:【番外編】音楽高校のあれこれ その①

高校生編に入る前に、音楽高校について解説!
そもそも音楽高校ってどんなところ?何を勉強してるの?と気になる方も多いはず。
設備やカリキュラムなどなど、音楽高校の生活を解説します!
※私の出身校、山形北高の音楽科が基準かつ私がいた当時(10年ちょっと前)なので、大きくは変わらないと思いますが、各学校やカリキュラムの変化によって内容が違います。音楽高校を目指している方やそのご家族の方は参考程度に読んでください。

音楽科の生徒数

定員は1学年1クラスの40人。全学年合わせても120人。
山形北高は普通科は女子高で学区内のみですが、音楽科は共学で学区外からでも受験可能です。
クラスに1人~2人は男子がいます。最近は少し増えているみたいです。(嬉しい!)

私も実際は学区外から電車で1時間ほどかけて通っていました。
他にもバス通学の人や下宿に住んでいる人ら県外から通っている人もいました。

私がいた当時は30人~42人と定員を超えて入学するケースもあったけど、最近じゃ15人くらいまで減ってるみたい…

一般教科のカリキュラム

『音楽高校』といっても、音楽ばかりをするわけではなく、一般教科も最低限の履修科目がちゃんとあります。
とはいえ、ほんっっっっっとに最低限。
今は必修教科もだいぶ変わっているので違っていると思いますが、私がいた頃のカリキュラムは↓

数学→数学Ⅰのみ1年で終了。教科書全部はやらない。
理科→理科総合AとBのみで2年の前半まで。教科書全部はやらない。
それ以降、理数系教科とはさよなら。

社会系教科→世界史、日本史、現代社会だけ。
地理は1年生の時にちょっとだけやった気が…

国語→現代文、古文
英語→英語Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、コミュニケーション、リーディング or ライティング(だった気がする)

情報→1年だけでめちゃくちゃゆるい。
家庭科→1年だけでめちゃくちゃゆるい。
体育→週に1~2回でめちゃくちゃゆるい。

赤点は30点以下で追試や補習はありません。
教育大学や教育学部を目指す人はセンター試験も必須になってくることから、必要な理数系や社会系の科目は放課後や夏休みに補講を受けます。

もちろん定期テストや模試は普通にありますが、この教科の中でのみ。
模試は基本は国語と英語だけ受ければOKですが、一般大学の教育学部とかを目指す人は必須科目を全部受けます。

音楽教科のカリキュラム

音楽科なので、もちろん音楽教科は盛りだくさん。
最近は母校も難易度が低くなったと噂に聞きますが…私がいた頃のカリキュラムは↓

【必修科目】
ピアノ→週1レッスン。テストは年に3~4回。
声楽→週1レッスン。テストは年に3回。
音楽理論
新曲視唱
聴音→週1、全学年ミックスの授業。
音楽史→3年だけ
演奏法→3年だけ
管弦打楽器→専攻生は週1レッスン。

【選択科目】
合唱 or 合奏→週1、全学年ミックスの授業が2時間。
※管弦打楽器の専攻生は選択権なしで合奏

ピアノ・声楽・管弦打楽器(専攻生のみ)の実技テスト、新曲視唱、音楽理論は年3回。
音楽史、演奏法、合唱 or 合奏は年1回のテスト。

聴音は年3回、全学年オープンでテストをして、点数でS~Fまでクラス分けされます。
Sがいちばん上、Fがいちばん下。
私は3年生になってもCとDを行き来してた、ポンコツ音感です…笑

音楽科の校舎&設備

山形北高は音楽科も教室は普通科と同じフロアにありました。
一般教科は教室、理科室、体育館などなどのしかるべき場所で、音楽教科は音楽棟と呼ばれる別校舎で授業を受けます。
音楽棟の設備をここで紹介します!

【冷暖房&防音完備】
音楽棟は楽器も多く置いてあることもあって、湿度管理のためにも冷暖房完備です。練習室やレッスン室も全室についてます。
防音設備もしっかりしているので、ピアノ練習室やスタジオのような分厚いドアです。
音楽棟ならどこにいても夏は涼しい、冬は暖かい…

【ホール】
演奏会ができるホールです。面談の時くらいしか使わないけど、控え室もあります。笑
実技試験や聴音の試験もここ。すごくよく響くホールです。
客席の収容人数は全学年+先生たちの150人くらいは余裕で入ったような…

画像1

実際のホールです!写真は拾い物なので画質微妙ですが…
ピアノはスタインウェイ・ベーゼンドルファー(インペリアル)・YAMAHA…と、3台のフルコンサートピアノがあります。
左隅にあるのは使われているのを3年間で一度も見たことがないポジティブパイプオルガン。

実技テストは使うピアノは毎回変わってた記憶…
スタインウェイだと「よっしゃー!」
YAMAHAだと「よし!」
ベーゼンだと「お、おう…」
と、心の中でリアクションしてました。笑
※ベーゼンは大好きだけど、当時弾いていた曲やテスト内容に合わないことが多かったw

【レッスン室&アンサンブル室】
レッスン室が7室、アンサンブル室が3室あります。
レッスン室のうち5室は2台ピアノが置いてあって、レッスンも2台ピアノの練習も快適。残り2室はピアノ1台で声楽レッスン向け。

アンサンブル室は1室がクラス全員入るくらいの広さで、主にソルフェージュの授業で使われてました。
残り2室も10人は余裕で入る大きさで、用途は声楽のレッスンや聴音の授業、オーケストラのパート練習やアンサンブルの練習など。
アンサンブル室のピアノが個人的に弾きやすくてお気に入りだったな…

【練習室】
ピアノ練習室が16室、金管練習室が1室、木管練習室が3室あります。
ピアノ練習室はグランドピアノでC2~C3くらいの大きさ。
搬入時期や調律の関係でメーカーも質もバラツキがあったので、朝や放課後は気に入る部屋の争奪戦だったな…

※C◯はYAMAHAのグランドピアノのサイズ表記です!数字が大きいとピアノの奥行きが大きくなります。(KAWAIの場合はGX-〇で、シゲルカワイになるとSK-〇)

金管・木管練習室はアップライトピアノだったりピアノなしだったり。

【音楽室】
音楽室と呼ばれる大教室も2室あります。
作曲家の絵がずらりと並んでいるような定番の音楽室とは違って、音楽科向けの仕様です。
それぞれC5くらいのグランドピアノが置いてあります。
黒板やホワイトボードも5線譜になっていて、音楽科ならでは。
クラス全員で受ける音楽理論や合唱の授業で主に使っていて、普通科も合唱部やマンドリン部が部活で使ったりしていました。

【楽器庫】
オーケストラはピアノや声楽の専攻生の一部が選択授業で取るので、弦楽器は一通り、選択授業で全員に行き渡るくらいの量が楽器庫にありました!
管楽器も予備で置いていたような…多分…

【音楽研究室】
いわゆる音楽科の職員室です。
楽譜がたくさんあるので、声楽の持っていない楽譜や伴奏譜のコピーでよく出入りしていました。
いつも先生や講師たちが優雅にコーヒー飲んで談笑してて、あそこだけ時空が違ったよね。

と、音大出身者に話すと驚かれるくらい贅沢すぎる校舎で、いつも教室に戻るのが憂鬱でしたw

ピアノの実技テスト

年に3回の実技テストは何でも弾いて良いわけではなく、課題曲が↓のように決まっています。

1学期:ソナチネまたは古典派のソナタから任意の1楽章またはそれと同等難易度の任意の1曲(緩徐楽章は除く)
2学期:ハノンNo.39(スケール)から当日指定の調(長調はリピートなし、短調はハーモニックとメロディックの両方)
     指定のエチュードから任意の1曲
     バッハのインベンションとシンフォニア or 平均律から任意の1曲
3学期:ソナチネまたは古典派のソナタから任意の1楽章またはそれと同等難易度の任意の1曲(緩徐楽章は除く)

午後の授業3時間くらいで、クラス全員+ピアノの担当講師全員+担任の前で演奏する、公開処刑です。
3年間、このテスト内容は変わりませんが、もちろん曲の難易度は上がっていきます。
1学期と3学期の試験はさすがに全員ソナタの楽章(5分〜10分超)をフルで弾いたら相当な時間がかかるので、再現部(主題が再現される部分)で担当講師からストップがかかります。

1年生の2学期のテストでBコースとCコースに分けられます。
(なぜAがないのか後述で分かります!)
基本的には専攻生+経験者はBコース、ピアノ初心者はCコースに分類されます。
意外と吹奏楽部出身の管弦打楽器専攻生や声楽専攻生だと、ピアノ初心者です!って人もわりといます。

スケールは、ピアノ専攻生の場合は1年生では♯と♭が3つくらいまでの14調から、2年生以降は全調(24調)から、当日くじ引きで当たった調を弾きます。
なので、何が当たっても良いように、普段から全調を余裕で弾けるようにしておかないといけません…

定期の実技テスト以外では、ピアノ専攻生はレベルの高い音大を目指す人や成績上位者は担当講師の推薦でAコース認定試験を受けられます。
認定試験は1年生の終わりと2年生の2学期の2回。
合格ラインは課題曲全ての合計点数が80点以上が基準でした。(今は生徒も減っているので下がってるかも)
合格者は平均的にクラスで2〜3名。
Aコースになるとテストの曲数が増えたり難易度も上がりますが、3年生の演奏会(卒業試験的なやつ)でソロ演奏が確定します。
この認定試験の課題は

・スケール全調から当日指定(くじ引き)
・バッハ 平均律から任意のプレリュードとフーガ
・指定のエチュードから2曲
・ソナタまたは任意の1曲

とわりとボリューミー。

私がAコース認定試験を受けたときは
・平均律1巻 6番
・モシュコフスキー 15の練習曲 5番
・ツェルニー 50番 1番
・ラヴェル ソナチネ 2楽章&3楽章
を弾きました。
今思い返すと、エチュードは両方ともすごーく安全な選曲…

ガッチガチに緊張して、スケールのくじ引きでes-moll(♭6つ)を引き当て失敗し、見事に不合格で号泣しました。
10年以上経った今でも高校の師匠からは「スケール失敗しなけりゃ受かってたんだぞ!」と言われます…笑

声楽の実技テスト

こちらも年に3回です。
1年生の最初のテストだけコンコーネから1曲、それ以降はイタリア古典歌曲やオペラのアリアを1曲が課題です。
クラスの大半が声楽以外の専攻なので、イタリア歌曲を歌う人がほとんど。
特に2年生あたりになると、曲が何人も被ることも普通にあります。笑
オペラのアリアは専攻生+副専攻でも先生が厳しい人がわりと歌っていました。

歌のテストもホールでクラス全員+声楽担当講師全員+担任の前で1人ずつ歌います。
伴奏はクラスの誰かに頼む方式なので、わりと伴奏が得意な人に集中しがち。
課題曲が決まると伴奏者探しで毎回あちこちに聞き回るのが定例行事。
テストの前になると、声楽のレッスンを伴奏者と一緒に受けますが、忙しい伴奏者だと他の子のレッスンが長引いて自分のレッスンに間に合わない!なんてこともしばしば。
(私は譜読み苦手なのと自分のテストで精一杯すぎて、伴奏はほぼお断りしてましたw)


音楽科あれこれ、第1弾はこのくらいにしておきます。
なんとなく音楽高校の仕組みが分かりましたかね?
第2弾は演奏会などの年間行事を紹介します!!

じゃーね!

バックナンバーはこちら↓

お読みいただき、ありがとうございます!
私とピアノの30年をはじめ、音楽系の記事はこちらのマガジンに入れています!
音楽高校を受験するご家族がいる方、これから音楽高校や音楽大学の受験を目指す方、ピアノの世界がちょっと気になる方はぜひ読んでみてください💁‍♀️


最後までお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただきました費用は音楽活動や書籍購入など、自分のアップデートに活用させていただきます!