天才・成田助教授「ネオ江戸時代」は悲観なのか?希望なのか?珍味国・日本
最近、天才・イェール大学助教授の成田悠輔さんが、ゆるく提唱している「ネオ江戸時代」とは何なのだろうか。
悲観的に語っているものの、希望を抱くようなニュアンスもあった。以下、吟味してみよう。
この動画で、まず、今起きている2つの流れを指摘している。
・元々日本に来る外国人が少なかった上に、コロナの影響でより来なくなっている。これが長く続きそう。
・昔は日本はがんがん製品を作って世界に売っていたが、今や家電などを中心にそのプレゼンもなくなりつつある。外に物を売りにいく人たちも減る。さらに、日本において、自動車などのように世界的な規模の産業がなくなりつつある。
成田さんは、この流れが進むと、海外へ行く人と、海外から来る人が減り、実質的にゆるい江戸の鎖国状態になるのではないか?という。
さらに悲しいことに、この今世紀版の鎖国において、日本人は海外に出ることを選べる。金持ちや優秀な人は、どんどん欧米やシンガポールなどに出ていっている。
これがネオ江戸時代ということだ。
こうなれば、日本は基本的に、国内で日本人同士に商品やサービスを売買していくことになる。
また、文具や包丁、どら焼き製造メーカーなど、超ニッチな世界市場を独占することで一部の日本企業が潤っていく可能性もあるという。
珍味としての日本
成田さんは別のメディアで、日本のガラパゴス感を押し出す方向がいいのでは?と言っている。いまだに現金を使っていて手に金属の匂いがつく感じ、大学などの研究機関も欧米とは異なる独自路線である、等。
グローバル資本主義の経済合理性ではありえないような商品やサービスが流通する「珍味」観光立国として外貨を獲得する道もある。
**
以上、が成田さんが動画で述べていた「ネオ江戸時代」についてだが、悲観的な語り口で述べられている。
日本が進むべき戦略的な未来像というよりは、近い将来訪れるやばい予想のような意味合いなのだろうか?
日本の珍味としての道筋は、一種の皮肉として、言われていたようだが、実際日本はこういう道がぴったりなのではないか。
私が思ったことは、
時価総額をベースに成長し続けることを目指す「過度なグローバル資本主義」から離れることは良いことだと思う。
そこで、日本は日本なりに自分たちの社会の「善」を見出していけばいい。それが海外から珍味として価値化されれば尚良いことだ。
ただし、ここで問題は2点ある。
1.経済力が落ちると、今の生活水準はどれくらい落ちるのか?
仮に、国内市場だけでの経済活動になり、外貨を稼ぐことができなくなれば、海外から食料や資源を買えなくなり、今当たり前に、現在の値段で享受している商品やサービスが買えなくなるだろう。
ただ、どの程度の影響なのだろうか?
自動車産業などが外貨を稼いで、外国産の食料や資源を輸入しているが、輸入していたものを国内で作ろうとしたら相当割高になるだろう。
また、独立採算できていない地方の限界集落を維持する余裕もなくなり、都市化するかもしれない。或いは、逆に地方分権が進むかもしれない。
また、社会保障も年金や医療費の給付ができなくなったりもするだろう。
この当たりは、正直、どうシュミレーションするのか詳しい人に聞いてみたい。
もしかしたら、杞憂であり、物価は上がり、提供される品目は減るだろうが、総合的な生活環境は変わるか、向上する可能性もある。(過度な競争というような精神的なマイナスもなくなることも考慮)
2.安全保障、国防はどうなるのか?
2つ目は、安全保障の問題だ。
経済力が落ちれば、国防費や国民の教育に使える予算は減る。そうなれば、今の日本の国防力は下がる。これを懸念する人は多いだろう。
しかし、実際どうなのだろうか?
現在、日本は戦力を持たないことになっているとはいえ、自衛隊を持ち、アメリカと同盟がある。もし、これらがなくなったらどうなるのか?
以前、朝ナマで、ホリエモンが「今の時代、尖閣や沖縄など取りに来る国などはない」と主張していた。その根拠は、そんな国があったら、国際社会が許さないし、そもそも、統治したとして、SNSやネットに繋がる国民を強引にコントロールするコストが高すぎて、リターンがない、というよなことだった。
実際、今、世界を見渡せばほぼ軍事力を持たないような国々が沢山あるが、そこに先進国やその他の国々も攻め込もうとしない。
そんなことをしても得がないからだ。
この辺り、現実的なところどうなんだろう?
**
以上、上記2点について、ソフトランディングできれば、外国人が減り、日本人も減り、国内を中心にほそぼそと経済を回していくというネオ江戸時代となっていく。
鎖国状態となっても、日本が(日本辺境論で言われたように)きょろきょろせず、ムラ社会的な楽しさを追求していければ、みな生活の派手さはないかもしれないが幸せになる可能性を秘めているのではないか。
それが珍味として独自のポジションを世界で築くことができればそれはそれでよいだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?