見出し画像

日本語のライムタイプ①:完全韻の定義(2021年旧版)

 こんばんは。Sagishiです。

 今回は、日本語の完全韻(パーフェクト・ライム)の定義をまとめたので記事にしました。

 英語のパーフェクト・ライムの定義は『英語のライムタイプ②:『パーフェクト・ライムの条件』について補足』を参照してください。


1 日本語の完全韻(パーフェクト・ライム)

●日本語の完全韻(パーフェクト・ライム)

・単音節の場合

①音節の母音が一致すること
②音節の頭子音が一致しないこと
③重音節の場合は、特殊モーラも一致すること

・多音節の場合
①すべての音節の母音が一致すること
②頭子音がすべての音節に渡って一致しないこと(同音異義語ではない)
③重音節が含まれる場合は、すべての重音節の特殊モーラも一致すること

 まず、単音節の場合の例を見ていきましょう。

・軽音節の場合
 蚊 [カ]
 田 [タ]

・重音節の場合
 缶 [カン]
 単 [タン]

 Car [カー]
 Bar [バー]

 次に、多音節の場合の例です。

・軽音節のみの場合
 肩 [カ・タ] 
 原 [ハ・ラ]
 沢 [サ・ワ]

 身体 [カ・ラ・ダ]
 魚  [サ・カ・ナ]
 中は [ナ・カ・ワ]

・重音節が含まれる場合
 カント [カン・ト]
 マント [マン・ト]
 ハンコ [ハン・コ]

 カット [カッ・ト]
 マット [マッ・ト]

 簡単   [カン・タン]
 ランタン [ラン・タン]
 反感   [ハン・カン]


2 完全韻にならない例

 注意ですが、本定義では次のような例は完全韻に該当しません。

 招待  [ショー・タイ]
 消化器 [ショー・カ・キ]

 解剖   [カイ・ボー]
 抱き込む [ダ・キ・コ・ム]

 なぜならば、ペア同士の「重音節の特殊モーラ要素の一致」がなされていないからです。

 これまでの押韻の評価方法では、上記のような例はパーフェクト・ライムとして理解されてきましたが、音声の構成が異なっており不完全韻です。

 完全韻にするためには、下記のようなペアでなければいけません。

招待 [ショー・タイ]
兄弟 [キョー・ダイ]

消化器 [ショー・カ・キ]
氷河期 [ヒョー・ガ・キ]
両者に [リョー・シャ・ニ]

解剖 [カイ・ボー]
才能 [サイ・ノー]

抱き込む [ダ・キ・コ・ム]
巻き取る [マ・キ・ト・ル]


参考記事

ライムタイプ—押韻の分類 / THE 8 RISE
http://neralt.com/rhyme-type/


関連記事

日本語のライムタイプ②:不完全韻(インパーフェクト・ライム)の定義https://note.com/yasumisha/n/n50a337f787fd?magazine_key=mb737a6b62568

詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/