見出し画像

消費税を下げちゃだめな理由

 今日はのんびりと経済などに関する個人的な考えをまとめます。


1 富裕層ほど得をする

 よく「消費税を下げるべきだ」的な議論を目にします、わたしの支持政党である国民民主党も、消費税の時限的な5%への減税を公約に書いています。れいわに至っては「消費税廃止」というぶっ飛んだ主張をしてますね。

 が、わたしは消費税は下げるべきではないという立場です。理由は「コストが異常にかかるわりに、狙っている効果が出ないから」です。

 例えば、消費税を3年間だけ10%から5%に下げるとします。色々なシナリオが考えられますが、ここではシンプルに年200万ほど消費する中間層をターゲットに考えます。3年間600万消費することになり、消費税5%分の減税なので単純計算で30万円ほど得をすることになります。

 30万…まぁ確かにそこそこではありますが、めちゃくちゃインパクトがあるというわけでもない金額です。これならいちいち消費税を下げなくても、30万を直接給付したほうが良いでしょというのがわたしの考えです。

 しかも、消費税減税というのは富裕層ほど得をする政策です。年200万しか使わないひとは5%減税されても10万円しか得をしませんが、2億円のマンションを買うひとは5%減税されると1000万得をします

 「消費税を下げたい」のは富裕層に得をさせたいからではなく、低所得~中間層に得をさせたいからでしょう。低所得~中間層に得をさせるのに、消費税を下げるというのは的確な政策だとわたしには思えません。

 かつ、消費税というのは外国人が日本の製品を買うときにも税がかかります。つまり、観光などで来た外国人が日本のものを買ったりするときにも、Tax Freeの場合を除いて消費税がかかっています。なので、消費税を下げるということは、実質的に日本に入るはずだった歳入が外国に流出しているのと変わらない状態になっているとも考えることができます。

 特に高級家電やマンションなどの高額なものほど影響は大きく、仮に外国資本が不動産や高額品を大量に購入して品薄になれば、物価高騰し、結果的に日本人が損をする可能性すらあります。

 このように、低所得~中間層への恩恵が少ないわりに、デメリットも大きい。なので、わたしは消費税は下げるべきではないという立場です。


2 関連法案の整理が面倒すぎる

 また、消費税はかなり色々な法律と関連していて、下げるためには多数の法案を修正する必要があります。これもめちゃくちゃ大変で、いざ消費税を下げようと決めてもそこから1年くらいは「調整」をしないといけない可能性があります。

 例えば「住宅ローン控除」をどうするか1つとっても難儀です。消費税8%のときに住宅ローンを組んだひとと、消費税10%のときに住宅ローンを組んだひとでは、控除の期間や金額が異なります。いま突然消費税を5%に減額したら、消費税8%および10%のときに住宅ローンを組んだひとはめちゃくちゃ(ひとよっては100万以上)損をする可能性があります。

 このような不公正が起きないように、「消費税」を下げるときには「住宅ローン控除」の政策も修正しないといけません。「消費税」というのはワンイシューな政策ではなく、関連政策が多く、各種政策との整合性をどう取るのかなど、様々な調整をしないといけません。

 消費税を変えるたびにこんなチマチマした議論をしないといけないんですか? こんなことをいちいち考える国家レベルのリソースの浪費はあまりにもアホでしょ。コストが膨大すぎます。なので、わたしは消費税は下げるべきではないという立場です。


3 必要なのは軽減税率を下げること

 確かに、消費税を下げることで多くのひとが消費をし、経済を押し上げる効果も期待できます。しかし、仮に消費税が下がっても、多くのひとの「給料が上がらない」と消費も伸びないし、経済も伸びていきません。

 消費税減税を景気刺激策として使うのは、コストが掛かるし、結局は景気に左右されるので効果がどれほど望めるのかも不透明です。

 それよりも必要なのは、食料品に掛かっている軽減税率を下げることです。消費税全体を下げるよりも、軽減税率を下げるほうがピンポイントな政策なので効果があるかないかはっきり分かり、かつ期待できます。

 現在の食料品への軽減税率は8%ですが、これを5%に減税すると、例えばキャベツ150円が145円になります。微妙な差異に思うでしょうが、これが年間消費にすると数万円程度にはなります。

 食料品の軽減税率を下げて困るのは政府の歳入が減ることくらいで、富裕層ほど得をするということもないですし、外国人に富が流出するということもありません。レジの改修は必要ですが、法律修正に関するコストも少ないです。

 軽減税率の減税が無理なら、直接給付でもいいです。軽減税率を5%にしても、年間だと数万円程度しか効果が出ないので、それならあらかじめ10万円を給付すればいいという話です。

 財務省は直接給付は貯金に回るので効果が出ないと嫌がっているようですが、それならマイナンバー経由でポイントで配布するのはどうでしょうか。紙を書いて申請すると10万の給付だけど、マイナンバー経由で申請すれば11万をポイントで給付するなど、インセンティブを与えます。

 で、ポイントに1年以内に使わないと無効とするなど、利用期限を設ければ、財務省が嫌がる「貯金に回るので効果が出ない」という理由を回避できます。マイナンバーの普及にも役立ちそうですし、経済的にも非常に高効率で効果が期待できます。

 消費税減税よりも、軽減税率の減税あるいは直接給付のほうが、低所得~中間層にとっては恩恵が大きいです。なので、わたしは後者の政策を取ることを支持します。

詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/