マガジンのカバー画像

遺言

8
自分の半生を書いた文章をまとめました。幼少期から思春期を迎え、自身がゲイであることにきづいてからの葛藤を中心に記事にしました。もしご興味があればご覧ください。
運営しているクリエイター

#カミングアウト

とあるゲイの思春期 - [5] 初めてのカミングアウト

ゲイである事を受け入れた高校2年生の僕が冬を迎える頃。 僕には彼氏ができていた。 今では考えられないが、大阪のゲイタウンである堂山町は、その昔無法地帯そのものだった。 高校生が深夜まで働いているゲイバーもそう珍しくなかったように思う。 季節が秋から冬に変わる頃。 ネットで知り合ったとある知人に堂山のゲイバーに初めて連れられて来られた。 店の従業員は高校生~大学生ぐらいの若者ばかりだった。 当時の僕は今まで見た事のない光景に圧倒された。 週末には満席になり、狭い店内に人がご

とあるゲイの思春期 - [6] 親友とのその後

Ⅰへのカミングアウト後、特に奴との関係性に大きな変化はなかった。 ただⅠとの恋バナの内容は大きく変わった。 僕がありのままの恋愛事情をⅠに話すようになった。 僕の心の性は女性ではない。 しかし「男性と付き合っている人間として、こういうのはどう思う?」というようなⅠからの相談が増えたように思う。 僕は当時、なんだか得意気にⅠにアドバイスしていたように思う。 今振り返ると、僕には女心が何たるかをほとんど分からないというのに。 ゲイは男性の気持ちも分かるし女性の気持ちも分かると

とあるゲイの思春期 - [7] 二度目のカミングアウト

親友Ⅰへのカミングアウトを終えた後、僕の中の“もっとありのまま正直に生きたい”という感情が、さらに加速する。 高校2年生の冬。 僕の中学生からのひとり暮らしは当然のように継続していた。 僕は、以前の記事に書いた、ひと夏の間、ある意味で母親のよう接してくれた父の友人とやり取りをする事はめっきり少なくなっていた。 新しくできた彼氏に夢中になっていたからだ。 僕との接点が希薄になった事で、僕に何らかの変化がある事になんとなく彼女も気づいたのだろう。 ある寒い冬の夜、彼女から僕

とあるゲイの思春期 - [8] 最後に(カミングアウトについて失敗から学んだ事)

前回、カミングアウトについての失敗談を書きました。 とあるゲイの思春期[1]~[7]を、もし全て読んで下った方がいたら、ありがとうございます。 そして、最後まで読んで下さったのにバッドエンドで申し訳ないです…。 カミングアウトの失敗例はなかなか目にする機会がないように思い書きました。 そこから学ぶべき点が幾つかあったように思います。 今回はカミングアウトを考えている人、今後するかどうか迷っている人に参考にしてもらえるよう、僕が思う“カミングアウトについての注意点”をいく