見出し画像

読書感想文6■『地獄の楽しみ方』京極夏彦著

好きな作家さんは?と聞かれたら、
まず京極夏彦さんが浮かびます。

初めて読んだのは小学5年生頃だったと思います。
叔母が本を買ってくれるというので、
「姑獲鳥の夏」を持っていったらびっくりされたのを覚えています。
(ご存じの方は分かると思いますが、子供には難解でオマセな内容です)
好きな作家と言っても全部作品を制覇しているわけではなく、
特に京極堂シリーズが好きで長年読んでいます。
読むだけで、文化的背景・民俗学・心理学・妖怪学などの知識がドバッーと
入って来て、なんとも言えない高揚感があり

これぞ読書体験の醍醐味だよなーと実感しきりです。

この副作用として、
このような体験ができる本に出会うことがなかなか難しいという(笑)
最近はビジネス本やマインド本が多いので、また創作としての感動に出会える作品を探してみたい今日この頃。
出会った暁にはこちらで紹介させていただきます。

さてー、前置きが長くなりましたが、
3月末に「地獄の楽しみ方」を読みました。

10代の方限定の特別講座を書籍化した内容です。
新書で発刊されているなーと思いつつ、手に取っていなかったので、
講談社さんで文庫化されることを知り、楽しみにしていました。

余談ですが、最近の本屋さんは真面目ですね。
前日くらいには買えるだろうと2軒梯子しましたが並んでおらず。
最近はきっちり発売日にしか購入できないみたいです。
(子供の頃、ジャンプを発売日前に買う楽しみが懐かしい)

ざっくり話すと、言葉についてお話しされています。
・言葉は不完全なモノだから、どんなに工夫を凝らしても正しく伝わることはない。
・人は言葉の欠けを勝手に埋める。
・小説の面白さは読み手の受け取り方。
読んでいるとSNSをすることが怖くなりました(笑)
が、言葉は不完全である、そのことを意識して楽しく使っていきましょうということでした。

これは読む人が読むと神経を逆撫でするのではないか・・・
この人は発信者の意図を分からずにコメントしているな・・・などなど。
言葉の素人の私でも、広い広いネット社会でヒヤヒヤする場面を散見することがあります。
この認識を持っているだけでも、ネット社会を生き抜く上では素晴らしいチカラになるのではないでしょうか。

最後に驚いたのが、
京極さんが小説を書くことが嫌いだ、という事実(笑)
これについては、本当かな〜と疑いの心を拭えませんでした。

あれだけ分厚く凶器とも言われている小説を出していて(笑)、
単純に嫌いということが解せないのです。
愛が極まって憎い、みたいな。

同じ土俵に乗るのはおこがましいですが、私も自分の仕事は嫌いと答えそうです。
綺麗なところを挙げたら、社会的意義、文化的価値、クリエイティビティなど理由はいくらでも挙げられます。
それはどんな職業であってもそうで、小説家でも、クリエイティビティ、自分の世界を表現できる、時間と場所にとらわれない働き方、文化を作る、ファンビジネス、新しい価値観・感覚の提示とか、色々出てくるかと。

それだけじゃないところを知っているから「嫌い」と言えるのではないか。
当事者として、嫌なこと、辛いことがあることを知っているから出てくる言葉もあるのではないでしょうか。

あくまでわたくしの想像ではありますが。。。


この記事が参加している募集

#読書感想文

188,766件

ありがとうございます!いただいたサポートは、記事のための資料収集と写真撮影の費用に活用させていただきます。