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緊急事態宣言解除 - ソフトランディングと新たな社会へ

緊急事態宣言解除が出された、いつもとちょっと違う朝。東京ではロードマップにより段階的な解除だけれど、それでもギュッとしていた心が和らぐ。

でもあえて、心理の仕事をしているので、今、私の心の中に出てきたものをお伝えしていこうと思う。

コロナ前から今にかけて、私達は世界中で大きな引っ越しの最中にいるような気がする。古い社会から新しい社会への引っ越し。そしてこれから引っ越しの後半戦が始まる。

実は「引っ越し」は心理的には大きな負担のかかるイベントで、引っ越し後、ほっと一息ついた後で「うつ病」になる方も多い。私は新人の心理士の頃、クリニックで「引っ越し後の鬱ってこんなに多いのか」と驚いたことを覚えている。もちろん、引っ越しだけで鬱になるということではなく、引っ越しにまつわる職場の変化とか子供の転校とか、コミュニティが変わることとか、引っ越しには色々と細かい要素がからんでもいるから。今の状態も似ていると思う。

引っ越しに限らずだけれど、人は大きな負荷がかかった状態からふっと一息ついたとき、気持ちが緩む。その段階で「荷下ろしうつ病」になる方も多い。だからこそ、新しい体制、新しい自分への着地は、ソフトランディングを目指してほしい。ここで焦るのはけっこう危険なのだ。

そして、一人一人がこれまでに内面に生じた「あ~もうこれ、気づいちゃったな」という、自分の本心、違和感に少し心を寄せてみてほしい。「もう、在宅でいいんじゃない。」とか、「組織に属してるのもういいな。」とか。反対に「あ~、通勤って大事だったんだな」って思うこともあるかもしれない。必要なこと、大事なこと、不要なことがはっきりした方も多いと思う。

気づき

その気づきは実はとっても大事なもの。だから、それを無かったことにして、心に蓋をして、以前の世界に戻るのではなく、少し自分の中で味わってみたらいいと思う。今後の新しい自分へのヒントがそこに隠れていると思うから。それが自分とつながる第一歩だと思う。

そして、社会や人が変化し方向を変える時、スピードは緩められ、ゆらぐのは当然のこと。バイクだって自転車だって、方向変える時はちょっとぐらつく。人も社会も同じだと思う。グラグラ揺れながらみんなでそれぞれの着地点を見つけよう。

そしてもう一つ、自分が「ヒャッホ―!」ってうれしくなるのもいいけど、色んな立場の人に思いを馳せてほしい。これは「楽しんじゃいけない」ってことではない。人には人生を楽しむ権利がある。だから私も少しずつ楽しみたいと思っている。

でも、今も緊張状態で治療にあたっている医療従事者や、経済的困難からお店閉めた方々とか、コロナで大事な方を亡くされた遺族の方々とか、どういうお気持ちでこの宣言を受け止めているのかなと思う。

引きこもりの方や不登校の子はこれまでみんなが自粛だったから、気持ちが楽だったかもしれない。でもみんなが動き出す時、どんな気持ちでいるのかなとも思う。自分の中のネガティブな感情にうずくまりたくなる人もいるだろう。

私自身は「思いを馳せる」という言葉が昔から好きで、そうすることで視野も心も拡がる感じがしていた。

この期間、コロナやコロナ対応、それに付随するところで、いい話題もあったけど、悲しい話題、見たくないこと、人間の醜さ、社会では色んなものが露呈した。反対に自然がよみがえるという浄化作用もあった。

これだけ大変な思いを世界中でした。だから、コロナとの付き合いはまだ続くけれど、少しずつ現れる新しい世界は、コロナ前よりも自由で、やさしく、美しい社会になってほしい。これは今、私の中にある切実な想いだ。きっと私だけじゃないと思う。

だから、色んな人、こと、そしてそのベースにある自然や地球にも思いを馳せて、その心の拡がりを多くの人が感じたら、何か違うのかもしれないと思う。こういうのが「コンパッション」のスタートなのかも(コンパッションとは、慈悲・慈愛・思いやりと訳される用語で、現在心理学的にとても重要とされている概念です)。

そして、「コロナ前よりも、自由で、やさしく、美しい社会になってほしい。」これは宇宙が地球に対して思っていることなんじゃないかな。と、ちょっと宇宙目線にまで思いを馳せてみる。

少しずつ社会が明るさを取り戻せますように!

みなさんが穏やかさを取り戻せますように!


二匹の犬

今日のまとめ

・これから再び変化の日々。焦らずソフトランディングで。

・コロナ禍で感じた「これまでの自分への違和感」を見つめていくと、新たな自分の生き方やマインドセットが見えてくるかも。

・新しい社会が「自由で、やさしく、美しい社会」になるといい。だから、色んな人、ことに思いを馳せよう。





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