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ヨーロッパのスリのお話(1)

巧妙な手口のスリがますます増えています。ただし、コロナが蔓延し、観光客の減少と共にしばらくスリもなくなりかけていたようですが

いつもは抽象画や絵のことを描いているのですが、今日はスリのお話です。

パリには、延べ10年以上住みましたが、ここ二十年でパリのスリ事情も変わってきているようです。

一時スマートフォンが出だした頃は、
パリのメトロで電車を待っているとき、電話を耳に当てて話していたら、後ろからひょいっと手が伸びて、気が付いたら手のひらにあるはずのスマホがなかった、、、、
等、スマホ狙いのスリが多発していました。特にIPHONEは高く売れたそうで、駅やにぎやかな人通りでは、携帯を使うな、必ずスリに遭うとさえ、言われていました。

パリにいくつかある駅は、スリがすごく多く、よく聞くのが道を聞かれて親切に対応しようとすると、その二秒の間にもう一人がスーツケースを持って行った、などです。チームワークが半端ないです。台湾人の友達や、日本人観光客も本当によく被害に遭っていました。

私自身は、長く住んでいた割には、パリで被害にあったことは殆どありません。なんというか、汚い恰好をしている、化粧っけがない、あんまりきょろきょろしない、ので、住んでいる人間だ、お金持ってないと、わかるのかもしれません。一度フランス人マダムと、結構混んでいるメトロ電車に乗り込んだ時の事。二人で話していたのですが、急にそのマダムが隣の女性に向きなおして、「あなた、やめなさい、私のバッグに手をいれたでしょう?」と大きな声で睨みつけました。そういわれた20代くらいの女性は、は?と両手を上にあげて首を横に振っていたので、私はてっきり濡れ衣かとおもいきや、次の駅でそそくさと降りていきました。一緒にいたマダムはいかにもお金持ちそうな身なりで、バッグもちゃんと閉まるタイプではなかったのです。おそらく東欧からきて、組織に雇われているんでしょう。そうした組織は、パリに来る若い子たちに、それなりの服装も提供しているそうです。なので見るからにジプシーのようなスリは、近頃は見かけなくなりました。

20年くらい前の話になりますが、セネガルからパリに引っ越してきて、まだ数週間だったころ、まだよちよち歩きの幼稚園児の息子二人の手を左手と右手で握り、オルセー美術館の近くのメトロのプラットフォームに来ました。靴の紐がほどけていたので、かがんだ姿勢で靴紐を結んでいると、息子たちの一人が悪ふざけして乗っかかってきて、私の背中のリュックサックをごそごそしています。
やめなさい!やめて!と振り向こうとすると、あれ?子供じゃなくて大きな大人だったんです。 きゃーーー!どろぼう!!かなにか、大きな声で叫んだ、、、、つもりが声になっていません。いや、叫んだとしても、泥棒って日本語で言ってもな、しかも泥棒じゃあないだろ?(笑)

その若者は、リュックに何も好みのものが入ってないと察して、あっという間にメトロの改札口を飛び越えて逃げていきました。

ああ、怖かった!大切なお金などは、ポシェットの中に入っていたので、被害はなかったのですが、いざとなったら声もでないのだなあ!とそのことに少しショックを受けました。

アジア人狙いのひったくりがすごく多く、日本人街のあるオペラ通りなど、観光地でたくさん起こっていました。年配のアジア人は、日本人や台湾人も含めて、現金を持ち歩くことが多く、それがわかっているかのように狙われるんです。聞いた中で一番恐ろしかったケースですが、肩に斜め掛けしていたバックを、バイクで後ろから来た男がひったくり、斜めにかけていたのですぐに取れず、身体ごと数メートル引っ張られてしまった方がいました。幸い回復されましたが、歩けなくなる可能性のあるほどの大けがを負ったそうです。

2000年以降ユーロ統一で、たくさんの外国人が東欧などから入ってきやすくなり、治安がすごく悪くなったと、パリに住むフランス人たちが嘆いていました。そしてそんな外国人、特に未成年たちを利用してスリやひったくりをさせる組織があるのだそうです。

次回は、ロマの子供たちのスリの手口をお話しします。

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