あんなに好きだった曲が、今は恐い

新進気鋭のマルチアーティスト、Vaundyさんが好きだ。

特に「東京フラッシュ」が好きで好きで、憂鬱な朝に、ひとり寛ぐ昼に、仕事で疲れた夜に、何度も聞いた。

でも、今は聞きたくない一曲になってしまった。

STAGE4の癌にかかってるみたいかい?

そうなの、両親がSTAGE4の癌なのよ。
やめて。考えさせないで。

1年前の私は、まさかこんな理由でお気に入りの歌が減るとは思いもしなかったでしょう。

大好きだった彼と過ごしていたとき、
眠る時にふと思い出して恥ずかしくなるような体験をしたとき、
トラウマになるほど辛い思いをしたとき、
そんなときにかかっていたBGMは、曲の良し悪しに関係なく、嫌いな歌に変わってしまうことがある。

アーティストの意図に反し、手の届かぬところで、勝手に個人的な記憶と結び付けられて。

そんなふうに考えてたら、学生の頃、脈略もなくわたしを避けるようになったアノコのことを思い出した。
週に一度顔を合わせていたアノコ、ある日突然わたしのことが見えなくなってしまったようだった。

理由がわからず困惑したし、5年以上経った今でも忘れられずに傷いた。

けど、きっとアノコの物語との何らかの関係によって、わたしは「聞きたくない一曲」になってしまった。それだけのことだった。

わるくない わるくない
あぁ、もういいよ


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