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8月13日 丹巴→温泉


丹巴を出発

 今日明日が今回の旅行のメインイベントである。2年前に車で訪れたあのすばらしい温泉を自分の脚で訪れ、そこにテントを張って一夜を過ごし、翌日はさらに進んで、その先の景色をこの目で見る。今回の旅行の目的である。でも、温泉はここからどれくらいの距離のところにあるんだろう?標高はここよりどれくらい高いんだろう?一昨年、車で行った感じでは、距離は50~60km、標高はここより900~1,100m 高い2,800~3,000mくらいだろうか。一昨年は道は全て未舗装の悪路だったが、今はおそらく18km先の村「東谷」までは少なくとも舗装してあるだろう。まあ、全て未舗装でも8時間もあれば十分だろう。
 8:00  水を1.5L持って出発。現在標高1,900m。川に沿って上って行くが、傾斜は緩やかなので、時速12kmくらいで進んで行く。しかし、傾斜がちょっときつくなると、自転車を降りて押してしまう。なんでだろう?これくらいの坂は普通に乗って上れるのに・・・。長丁場になるので、本能が体力をセーブさせるのか・・・。それとも歳のせいか・・・。
 9:50  東谷到着。走行距離18km。標高2,100m。順調かな?お店で水を1L購入する。ここまでは完全に舗装されており、この先もしばらくは舗装道路が続くようだ。これなら、15時くらいに温泉に着くかな。
 11:00  走行距離25km。標高2,300m。車で温泉に向かう友人に追い抜かれる。
 13:30  走行距離40km。標高2,700m。道はずっと舗装されている。非常に助かるが、上りなので脚にこたえる。木陰で昼食休憩を取る。昼食は水とソイジョイ2本。川の流れの音を聞きながら、昼寝をする。心地よい。
 14:30  走行距離45km。標高2,900m。脚が重い。あとどれくらいだろう?上りもきつくなった。とても乗って上がれない。自転車を押して行くが、それでもしんどいので、10分おきくらいに休憩を取る。早く温泉に着かないかなあ。でも、川が道路の右側を流れている。温泉は、川が道路の左側になって500mくらいのところだったはず。早く川が左側にならないかなあ。
 15:00  走行距離50km。標高3,000m。もう、温泉に着いてもいい頃だが、まだ川は右側を流れている。すでに1,100m上っている。ぼくの脚はそろそろ限界かも。
 15:30  やっと川が左側になった。あと、もう少しだ。がんばれ~。
 16:00  まだ、着かない。標高はすでに3,200mを超えている。おかしい。でも、進むしかない。
 16:30  げ~~~っ!川がまた右側になった~っ!どーゆーこと~~~?まさか通り過ぎたの~~~。引き返すべきか?う~ん、どうしよう?引き返したら、もう、ここまではもどって来られない。どうしよう?見落とした可能性。川が左側にあったという記憶違い。ただ単純に、まだ着いてないだけ。冷静に考えて、引き返す方が遥かにリスクが高い。うれしい誤算でここまで完全に舗装道路、引き返すのは下りになるので簡単だ。18時になるまで進んで、それから引き返しても、遅くはない。あ~~、しんどすぎる。(T_T)
 17:00  しんどすぎる。10分押して歩いて5分休憩を繰り返す。まだ川は右側にある。温泉はいったいどこにいったんだろう?友人が川でビールを冷やして待ってくれているはず。あ~、早く温泉に浸かってビールを飲みたい。
 17:30  川が左側になった。今度こそ、もうすぐか!でももし、また違ったら、もう、先に進む元気がない。後にもどるのも、たいぎい。ここらでテントを張ろうか?と考えながら自転車を押す。10分ほど進むとタルチョが見えた。古びた汚らしいタルチョと一緒に新しいタルチョも何本か川に架かっている。やった~。あそこが目的の温泉だ~~~。
 17:45  温泉着。温泉には地元のチベタンが2人、浸かっている。友人はテントを張って、中で寝ている。まず、レトルトカレーと水を源泉に浸けて夕食の下準備をする。それから、服を脱いでチベタンと一緒に温泉に浸かる。いいお湯だ。本当にすばらしい温泉だと思う。でも、残念なのは、一昨年以上にゴミが散乱している。本当にもったいない。ゆっくり温泉に浸かった後、夕食の準備をする。準備と言ってもアルファ米にお湯を注いでごはんができるのを待つだけだが。実際に米を炊いた方が美味しいけど、軽くて簡単なので、つい、アルファ米を使ってしまう。でも、やっぱここでは普通の米を炊いた方が良かったな。ちょっと後悔。ごはんができたら、カレーをかけて食べる。美味しい。非常に美味しい。こんなところでキャンプが出来るなんて、なんて幸せなんだろう・・・。ゆっくり夕食を食べた後、テントを張って、もう1度温泉に浸かる。なんて贅沢な時間なんだろう。山に囲まれているので、空は少ししか見えないが、そこに月が見える。ぼく達の他に人はいない。黒豚の親子もどこかに行った。車も通らない。源泉から湯船に流れ込むお湯の音と川の流れの音しか聞こえない。今まで泊まった最高値の温泉は1泊2食1人3万円だが、それはきれいで美味しくて、ぶちぶち満足だった。そことは比べようもないのだが、この温泉はあの3万円の宿に負けない魅力がある。間違いなく多くの人は、3万円を選ぶと思うが、この温泉にはあの3万円にはないものがある。ここは本当にすばらしい。
テントに入って、横になり、眠りについた。
 午前2:30  目が覚めた。また、温泉に浸かった。月が山に隠れたので、星がきれいにたくさん見える。天の川もはっきり見える。うれしいことに流れ星が見えた。ぶちでかい。今まで見た中で1番でかかった。空の端から端まで横切った。その後も大きいのが2つ、小さいのが5つくらい見えた。1つ目のときは世界の平和を願った。2つ目は日本の平和を願った。3つ目で、宝くじが当たるように願った。今日は本当に辛かったが、とてもいい1日だった。ここは標高3,400m。本日の走行距離60km。登坂高度1,500m。


温泉でカレーを温め、
川でビールを冷やして豊かな夕食
全然快適じゃないけど、贅沢な時間

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