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オランダ教育実践「なぜ公立中学校教員という超安定を捨ててまで、オランダへ行くのか。」

はじめまして。まずは自己紹介。

 1988年1月24日生まれの32歳。二児(長男3歳次男1歳)のパパ。嫁は一人。現在無職。(笑)今は、育児を全力で楽しんでいます。       

 名古屋市で生まれ、高校生までは地元名古屋で過ごし、大学は日本体育大学へ進学。教員1年目から3年目までは地元の私立高校、名古屋市立中学校、京都の私立高校で講師、3年目に採用試験を合格し、名古屋市の公立中学校で7年間勤務。                      

 スポーツ歴は小中高と野球部、大学で総合格闘技をはじめ大学4年時にZSTという総合格闘技団体でプロデビュー。指導者としては、ボクシング部、野球部、バスケットボール部、陸上部、ハンドボール部、ラグビー部を経験。

 知力と能力を、行動力とポジティブさで補いながらなんとかここまでやってきました。ここから更にステップアップするために、家族を巻き込んでオランダ移住をします。まさか辞めるタイミングでこんな時代になるとは思いもよりませんでしたが、ピンチはチャンス。ポジティブさ全開で(能天気すぎるだけ⁈)頑張っていきます。

 教育のこと、子育てのこと、オランダのこと、最近習い始めたエンジニアスクールのこと、語学勉強のことなどを、自分らしい表現で発信していきたいと思います。むしろ、こんなことについて発信してほしいということがあれば是非要望して下さい。読んでくださる方と双方向で記事を創っていけたら理想です。よろしくお願いいたします。


本題:なぜオランダ移住なのか。

「子どもの幸福度世界一」

 日本ユニセフ協会が2013年に子どもの幸福度を31か国を対象に調査した結果、オランダは堂々の1位。2位フィンランド、3位アイスランド、4位ノルウェー、5位スウェーデンと北欧国が続き、日本は6位。(日本意外と高い‼)

 そうなんです。オランダが1位なんです。どうですか?そんなイメージありますかね?TVや雑誌などでは、世界一幸せな国とか、世界一教育力が高い国としてフィンランドがよく紹介されていますが、子どもの幸福度ではオランダがなんと1位なんですね。

 オランダと聞くと、「自転車」「水車」「チューリップ」「ハイネケン」「ミッフィー」のいずれかがイメージされると思いますし、人によっては「大麻合法なんでしょ?」とよく言われます。実際、今回のコロナウイルス問題で日本人がマスクとトイレットペーパーを買うために行列を作っているのが話題になったとき、オランダではコーヒーショップ(大麻の販売をしている店)に行列ができているというニュースが話題になっていました。(笑)

 そんなオランダが、なぜ子どもの幸福度が世界一なのかを、昨年度オランダ視察で学んだことを中心にお伝えしてから、なぜ、公立中学校教員という超安定を捨ててまで、オランダへ移住をするのかをお伝えします。(間違っている情報もあると思いますので、気づいたらご指摘下さい。)


オランダの子どもが幸福度世界一な理由:その1

「学校が自由に選べる」

 オランダにも公立校、私立校とあり、カトリック系、プロテスタント系、イスラム系など様々な学校があります。国が「教育の自由」を保障しているため、条件さえ満たせばだれでも学校を設立することができます。そして、日本とは違い、特に決められた学区はなく、通学可能な範囲で学校を自由に選択することができます。また、やり方が合わないなとか他の学校の方が自分に合っているとなれば、比較的簡単に転校をすることもできます。

 これは、非常に重要なシステムで、日本には現在小中学校合わせると約17万人の不登校生徒がいると言われています。(定義を変えると40万人を超すとも言われている。)不登校になる理由として、「生徒同士の人間関係によるもの」「教師との関係によるもの」「学業不振」「無気力」「家庭環境によるもの」など多岐に渡ります。実際これまで何人か不登校の生徒を担任してきましたが、一度学校から足が遠のいてしまうと、復帰するのには子どもも教師も、そして保護者もかなりのエネルギーを要します。(不登校生徒への対応の仕方など、もし詳しく知りたい方がいれば書きますね。)

 ではなぜ、学校を自由に選べることがなぜ重要なシステムなのか。答えは簡単。自分に合う学校を選ぶことができる、選択肢があるというのは、非常に大きいです。

 これは、どなたかが言っていましたが、家から一番近い寿司屋しか行ったらダメというルールがあったら、「まずくてもそのお寿司を食べるか」、「そのお店に行かないか」その選択しかありませんよね。そりゃ、自転車で15分でも20分でもかかってでもおいしいお寿司が食べれれば、そっちのお店に行くだろと。

 学校も同じではないでしょうか。理由は色々あると思いますが、自分に合わない学校へ行くしか選択肢がなければ、そりゃ行かないでしょと。どれだけ先生が一生懸命電話しようが、朝迎えにいこうが、いやなものは嫌でしょと。自由に学校を選択できるシステムがあれば、どれだけの子どもが救われるか。だったら私立に行けばとなるかもしれませんが、家庭によっては難しいですよね。

 その点オランダは学校を自由に選べる上に、公立校も私立校も、学費は国が補償してくれるので、ほぼ無償。これだけでも日本の不登校生徒は大きく減らせられるのではないでしょうか。

 <結論>オランダの子どもが幸福度世界一の理由:その1

自由に学校を選ぶことのできるシステム。

そして、学費が公立でも私立でも無償。



オランダの子どもが幸福度世界一の理由:その2

「自分のやりたいことを、自分のペースできる授業。」

 オランダの学校では、時間割を自分で作ります。(全ての学校ではありませんが。)体育や学活などのクラス全員でやらなくてはいけない時間以外は、自分で時間割を考えます。一週間でここまでは進めましょうという目標はありますが、それぞれの教科にどれくらいの時間を使うかは自分で決めていきます。オランダは4歳から初等教育が始まるので、いきなり4歳からは全部自分で決めることは難しいので、はじめは週の1,2時間を自分で決めて、学年が上がるにつれて1日の1,2時間を、最終的には一週間の時間割を自分で決めていきます。子どもたちは自分たちのことを認めてくれていると、ものすごく自信をもてるようになり、主体的に学習に取り組むようになるそうです。

 ちなみに少し話が逸れますが、午前中にいわゆる教科の勉強をしたら、午後は総合的な学習の時間のみ行う学校が多いそうです。そこでは、自分の興味のあることを、とことん探究、追究できる時間が用意されているため、自分の好きなことや興味のあることをじっくり深めていくことができるようです。日本でも総合的な学習の時間はありますが、どちらかというと多くの学校では、先生たちが用意したテーマや学習に取り組むことが多いのではないかと思います。(もちろんオランダでも大きなテーマは決められていますが。)

 話は戻って…日本では、当たり前ですが全ての時間が先生によって決められて、授業の進度も先生が基本的には決めていきますよね。「自分のやりことを、自分のペースで。」なんてことはありえないと思います。

 でも、よくよく考えてみれば、全員が同じスピードで授業なんて無理ですよね。基本的には、授業は5段階評価の「3」の子たちがついていけるように展開されています。(全ての子どもたちに配慮をして授業をしている先生方もいらっしゃるとは思いますが。)そうすると当然、苦手な子たちはついていけませんし、できる子たちからすると退屈な時間となってしまいます。いわゆる「落ちこぼれ」や「吹きこぼれ」と言われる生徒が出てきてしまうんですね。

 オランダのように、自分のペースで授業を進めることができれば、「落ちこぼれ」になる子も、「吹きこぼれ」になる子も生まれにくいと思います。また、オランダでは、もう一度同じ学年の学習をすることができる、いわゆる留年も保護者と子どもが相談をして決めれば、当たり前の権利として与えられています。わからまま進級するよりも、しっかり理解し力を付けてから進級する方がよいという考え方が大切にされているため、周りの子どもたちもそれをごくごく自然に受け入れる空気感があるそうです。人と比較してできるできないではなく、自分がどれだけできるようになったかを大切にしているため、どんどん自分に自信がもてるようになっていくんですね。

 日本ではどうしてもまだテストの点数が取れる子が優秀であるという認識が強く、テストで点数を取ることが苦手な子からすると、ものすごく劣等感を感じやすい環境になってしまっていると思います。これを変えるには、企業の採用基準の変革(ここは少しずつ変わってきているのではないでしょうか?)、入試制度を変えないことには変わらないのではないでしょうか。1点や2点で合否が変わるようなシステムではなく、一定の基準を満たしていれば合格とするようなシステムにすれば、小学校、中学校、高校と、人生において非常に貴重な時間を、(テストで良い点をとるための)勉強に多く割くようなことにはならないのでしょう。(塾に通っている子どもが非常に多い!)そのため、いざ就職をしようとしても自分のやりたいことが見つけられなかったり、本来一番勉強をしなくてはいけない大学生の勉強時間は、世界一少ないと言われたりしていますよね。(自分は大学生の時が一番勉強しましたよ。それまでであまりにも勉強をしていなかったこともありますが…)

<結論>オランダの子どもが幸福度世界一の理由:その2

自分のやりたいことを、自分のペースでできる環境があるから。



オランダの子どもが幸福度世界一の理由:その3

「子どもたちを取り巻く環境」

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子どもたちを取り巻く環境「教育環境」

 写真は視察したオランダの学校の写真です。写真の1枚目は、職員室です。「え?!」となるかもしれませんが、職員室です。違う学校でも同じように、机がドンっとあって、あとはお茶ができるようになっているだけでした。日本とは違い、書類の山が積んであるなんてことはありませんでしたよ。保護者が子どもを送り迎えしたときに、ここでお茶をしながら先生たちや他の保護者とおしゃべりするための機能を果たしているそうです。

 2枚目の写真は、教室の様子です。インターネットにつながっている大型のTVタブレットが各教室に1台と、一人一台タブレットが支給されており、子どもたちはそれで基本問題を解いたり、小テストを受けたりして学習を進めていきます。小テストで合格すると、それが先生のパソコンに自動的に集約されるようになっており、誰がどこまで進んでいるのか、習熟度がどの程度なのかを把握できるシステムになっているそうです。先生たちはプリントを作ったり、誰がどこまで進んで、何点とったか名簿にメモする手間もなく、全体に目をやったり、個別での支援に時間を割くことができていましたね。

 3枚目の写真は校舎を外側から撮ったものです。外観からすでにかっこよすぎますが、機能面でも優れており、教室や廊下には吸音素材の壁が使われており、子どもたちが騒いでも音が響かないようになっていたり、空調システムは最先端の地熱システムを導入したりして、エアコンなしでも一年中快適に過ごせるようになっていました。

 また、校舎内に大きな電車のスペースがあったり、(電車好きな子どもが多く、保護者が作ってくれたそう。)屋根裏部屋のようなスペースで、誰にも邪魔されず読書ができるスペースがあったりと、子ども目線に立った造りになっていることがよくわかりました。

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 また、ここは日本と考え方が全く違うなと感じたのは、教室の配置や本棚の場所など、とにかく人が交流するように仕組まれていたことです。日本では、(特に中学校でだと思いますが…)とにかく他学年との接触をしないような導線が組まれています。間違って他学年のエリアに入ろうものなら、指導の対象になります。オランダは移民の数が多く、多様性を認めることがとても大切にされているんですね。

 タブレットや校舎の機能性、教室の配置等、本当に子どもの発育発達に必要なことが何かを理解し、そのために必要な教育環境がしっかり整っているなと感じました。


子どもたちを取り巻く環境「社会環境」

 オランダの子どもが「幸せだ」と感じる理由として、「家族といる時間が多い」ことも挙げられます。しかし,オランダでも共働きの家庭は多いのですが、ではなぜ、子どもたちは親と過ごす時間が長いのでしょうか。

 理由は、ワークシェアリングが基本となっているからです。両親が共働きの場合、多くはパートタイムで働いています。そこで、できるだけ子どもと一緒にいる時間をとるため、夫婦で休みの日をずらすなどして調整をしています。また、自宅勤務の形態をとる会社が増えてきたこともあって、家に両親のどちらかがいることが多くなってきているそうです。


 このような働き方ができるのは、1996年にできた法律「労働時間差差別禁止法」によって、フルタイムで働く人もパートタイムで働く人も、時間あたりの賃金とともに社会保障も含め、待遇が全く同じになり、そのため親たちは、仕事と家庭のバランスを考え、安心して働き方を選べるようになったそうです。親が家にいる時間が長くなったことで、家庭が子どもにとって安心できる居場所になっています。子育てと仕事を両立させること、それが、子どもの育ちにとって大切なことだと考える親が大変多く、子育てするにはこれ以上ない環境だと言えそうです。

 ちなみに、オランダの学校は基本的に水曜日は午前中授業で、午後は休みです。視察に行った日がたまたま水曜日でしたが、お迎えに両親そろってきている家庭やお父さんが迎えに来ている割合が非常に高かったです。

 こういった働き方ができるように社会が支えてくれるシステムがあることにより、子どもはもちろん、大人も幸せなのではないかと思います。大人が幸せなら、きっと子どもたちも幸せですよね。そして、子どもが幸せなら、大人も当然幸せですよ。

<結論>オランダの子どもが幸福度世界一の理由:その3

子どもたちを取り巻く環境が、十分に整っているから。

社会全体で子どもを育てていこうとするのがとても伝わってきます。


<まとめ>オランダの子どもが幸福度世界一の理由           自由に学校を選ぶことのできるシステム。               学費が公立でも私立でも無償。                    自分のやりたいことを、自分のペースでできる環境があるから。     子どもたちを取り巻く環境が、十分に整っているから。         社会全体で子どもを育てていこうとするのがとても伝わってくる。




なぜ、オランダ移住なのか。

 俳優がハリウッドを目指すように、料理人がフランスで腕を磨くようにに、バスケットボーラーがNBAを夢見るように、教師として、世界一の環境で勉強がしたい。働きたい。その空気を吸いたい。それだけですね。多分、日本人でオランダの現地校でバリバリ働いてる人ってあまりいない(知り合いにいたら紹介してください。)と思うので、そこで経験を積み、その経験を日本に伝えられたら、きっと日本の子どもたちも、もっと幸せになれると思うんですよ。時間はかかるかもしれないけれど、一人でも多くの子どもが、「学校楽しいな」「自分はこんな風に生きていきたいな」「大人になったらこんなことしていきたいな」「人生って楽しいな」「幸せだな」と思える世の中にしたいです。

 教師の役割は、世の中がどんな状況になったとしても、適応し自分らしく生きていくために必要な力を身に付けさせることだと思ってやってきました。

 そして、大人の役割として、少しでも多くの人が、気持ちよく生きることのできるシステムや環境を整えていくことだと思っています。

 まだまだ不勉強で、何もできることはありませんが、想いと行動力と、ポジティブさを支えに頑張っていきます。

 ここでの発信が少しでも読んでくださる皆様にとって、価値のある、役に立つものにするためにしたいと思っています。「こんなことについて書いてよ」「オランダのこういう所教えてよ」「子どもの子育てに悩んでるんだけど、どうしてるの?」など、双方向で記事を創っていきたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。


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