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島原文化会館にも立ち寄ろう

島原市街を歩いてめぐる旅。島原城から島原武家屋敷
と回り、再び、お城の堀まで戻ってきた。石垣の上に
建っているのは島原市森岳公民館。島原城のデザイン
を意識した建物で、その隣に建つのが島原文化会館だ。

島原文化会館を設計したのは、途中で通りがかった
島原図書館も手掛けた武基雄。四角の形が強調された
モダンなデザインの島原文化会館と、島原城との景観
を意識した勾配屋根の島原図書館。島原城を挟むよう
に建つ二つの対照的なデザインの公共建築が、一人の
建築家により手掛けられている。その違いも楽しもう。

島原城のデザインが意識された島原市森岳公民館
城のお堀は自然が残っていて
島原には街中でホタルも見ることのできる環境もある
お堀を渡って二の丸跡へ。正面には天守閣
石垣の上に建てられた公民館は
右手にそびえる塔と赤い手すりが印象的だ
天守閣から眺めた北側の風景。二の丸跡に建つ島原文化会館
公民館のすぐ隣に島原文化会館がある
回廊にかけられた屋根の下をくぐり
建物の間に設けられた中庭へ
島原文化会館の案内図。しまばらんはしまばらの守護神らしい
中庭は天守閣との位置関係が考慮されている
高低差のある中庭から回廊へと戻り
大ホールのほうへと進む
建物内部はオレンジの壁で、外部の雰囲気とは対照的
立体感のある建物と敷地の関係性も楽しい
中ホールを望む。中央のブリッジの向うに中庭がつながる
回廊を進み、建物の奥側に配置された大ホールの入口へ
大ホールのエントランスの壁もオレンジ一色に
白のチェアのデザインもおもしろい。ガラス越しに楽しんだ
回廊の柱はH型鋼で細くシャープなデザイン。樋も一体に
ぐるりと回り、中ホールの方へ
こちらは青一色。小、中ホールも大胆な色使い
中庭から続く池。当時の水を張った様子を思い浮かべる
水がなくても清掃すれば見違えるはず
内壁の青色は、池の水とつながっている
ガラス越しにみる青い壁に
白いベンチや扉が映える
そして青く塗られた消火栓。初めて見る色合わせ
階段も青。青一色で統一された独特な空間がある
池の上にかかるブリッジ。立体的な構成だ
城側の外壁はガラス張で風景を映し込む
周囲への景観が配慮により、建物の高さ低く抑えるため
大ホールが地下にされた島原文化会館
この高さなら天守閣も見通せる


島原文化会館を後にする。イベントがなく、建物内には
入れなかったが、それでも十分楽しい時間を過ごした。

回廊により分け隔てられた大ホールと小、中ホール。
回遊性のある建物。水が抜かれた水盤を持つ中庭。
景観を意識し、地面に埋め込まれるように建つ建物。
高低差のある中庭と、H鋼の繊細な表情を持つ回廊。

回廊を巡り、階段を下り、また上る。その間に視線は
さまざまに動き、見える風景は変わっていく。建築を
見るということは、動きながらその建築を感じること。
回遊性を持った建物は人の動きを演出する。建物に
使い勝手は必要たが、他にも必要なものがあると思う。

二の丸跡にあり、成人式やコンサート会場などでも
市民に親しまれてきた島原文化会館は、島原市により
2026年に廃止される計画だという。維持費と稼働率
の低さが理由とのこと。慣れ親しんだ建物であること、
二の丸跡に建つことで建て替えも難しいとの理由から
住民グループによる存続を求める活動もあるようだ。

コストをかけて新しく建設される文化会館もあれば、
使用率の低さから廃止となる建物もある。改装すれば、
見違える建物だし、約50年前に建てられた建物でも、
そのデザインは今でも古びず、新しささえも感じる。
この島原文化会館が、市民にとって愛着のあるもの
であれば、なんとか使い続けられ残って欲しいと願う。



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