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そこには思索するための場所がある

めぐりめぐらす。そこは思索するための場所として、
古い小学校を改修してつくられた宿。設計したのは
建築家の中村好文氏。世界中を旅する建築家は意中
の建物の空間への想いをその宿に込めているという。

透き通るような半泊湾の浜辺には
長い年月をかけて海で磨かれた大小の丸石

それはめぐりめぐらすのシンボルマークのモチーフに

浜から上がり、防風のために設置された石垣を横を通り
五島つばき蒸留所のすぐそばに建つめぐりめぐらすへ
もと来た道を少し引き返し、建物の入口へと向かう
築50年の廃校がリニューアルされためぐりめぐらすは
2023年3月にオープンしたばかりの新しい宿
せっかくなので建物のまわりだけでもぐるりとめぐる
屋根の軒先によって水平ラインが強調された建物の
各室の窓はル・コルビュジエの水平連続窓が意識されている

中村好文氏はこの宿において、一人ひとりが自分自身
と向き合える空間を形作る。その際に思いをはせたの
は氏の意中の建築のラ・トゥーレット修道院だという

水平窓と建物を眺めながらアプローチを進むと
建物のエントランスへ。正面には
風景を切り取るピクチャーウィンドウ
アプローチの側面に積まれた石垣沿いに
半泊湾とつながるテラスや庭の風景や
ル・コルビュジエの母の家も彷彿させるような建物を眺め
めぐりめぐらすを後にする
そしてまた、もと来た山道を引き返し次の目的地へ

山道を越えてたどりついた風景に佇むめぐりめぐらす

中村好文氏は伊丹十三記念館も手掛けている


めぐりめぐらすで、旅や日常に想いをめぐらす。宿泊
はできなかったが、その建物が建つ風景に身をおいて、
旅に想いを重ねる。九州の様々な場所をめぐってきた。
そしてたどり着いためぐりめぐらす。なぜめぐるのか。
それは旅に出て、何気ない街の角の先に、ずっと続く
坂の上に、その海の向こうに広がる風景に出会うため。


五島の旅を思いついた時、まず最初にめぐりめぐらす
に泊まることを考えたが、急な旅の計画であったので
予約はできなかった。でもこうして訪れて、その建物
が持つ思索をするための空間の一端にふれ、この宿の
建つ場所で、旅への想いをめぐらせることはできた。


また様々な場所をめぐってきた。それは移動すること
により、風景が切り替わり、いろんなものが目に映る。
空や雲は時々によって表情を変え、太陽はその景色に
色合いを与える。緑は風にゆれ花は風景を色づかせる。


九州にきて、この旅で長崎の旅もひとまず終わり。九州
を離れ、また別の所で旅を始めることになると思うが、
九州の地での旅のことをきっと忘れないと思う。なぜ
旅をするのか。その先にある風景を感じ、その風景が、
過去や未来につながっていくと、感じているからかも
しれない。そんな想いをめぐらせつつ、旅を続けよう。

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