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うつわの魅力は眺めることと使うこと。想像力が刺激される

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うつわの世界は限りない。さまざな技法、窯元の個性、一枚一枚の柄や色、そして焼き加減。同じデザインでも器によって違いがある。
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#うつわ

うつわと空間への旅をもう一度

ほしだの森を後にして、今回の旅はさらに南へと進む。 しばらくすれば県境を越え奈良県へ。大阪、奈良、京都 は関西の地にて、きゅっと密集している感じで自転車 でも楽しくめぐることができる。そして次に訪れたの は、九州にいた頃から気になっていたうつわのお店。 九州でふれたうつわの世界。その楽しみをもう一度 ほしだの森を後にして、山を越えて お店の名前は、草々。暮らしの中で、身近なものである うつわを届けるお店。毎日手にとって、その形や感触 を感じるうつわ。場所は生駒市の高山町

JICONに込められた思いを感じて

旅先での出会いを楽しんでいる。思わぬ所で、お気に 入りの猫たちにも、美しい空間にも。次は今村製陶の 町屋を目指す。JICON。それは今村製陶が手がける 有田焼ブランド。有田には伝統と革新が混在している。 今村製陶の立体的な町屋建築。スキップフロアの書斎 コ―ナーが中庭に面している。JICON。仏教用語で 今を表すことば。有田焼の今を作り、伝える今村製陶。 旅もそろそろ終わりが近づく。今この瞬間を楽しもう。

そして小代焼ふもと窯へ

中平窯を後にし、北へと進むと小代焼ふもと窯がある。 ふもと窯の窯元は井上泰秋(たいしゅう)氏。ここに窯 を移されて50年以上経つという。現在は息子の尚之氏 と弟子と共に現役で創作に取り組まれている。現存 する小代焼の窯では、最大級の六袋の登り窯を持ち、 木灰、藁灰、長石等を配合した釉薬が用いられている。 工藝風向で出会った小代焼ふもと窯のうつわ。それは 井上尚之氏によるものであった。小代焼の伝統工法に よるシンプルなデザインのものから、中世ヨーロッパ で生まれた変化に富むデ

かやぶき屋根の民家の中で

小石原から小鹿田の里へ。途中、想像以上の苦難な道 であった分、里の風景に出会った感慨もひとしおだ。 自然とうつわに触れる楽しい旅。小鹿田焼の民陶の 里を後にして、ここからは快調に坂道を下っていく。 自然に囲まれた小鹿田焼のお店。素朴なうつわがより 洗練されて見える。とても素敵な所。ご主人も親切で、 小鹿田焼への愛情を感じる。いつの日かまた訪れよう。 うつわの沼に足を踏み入れそうだ。でも、ふところ 具合もさることながら、小さな折りたたみのリュック もいっぱい。うつわをリュッ

唐臼の音が響く里で

工藝風向で見た一枚の写真。うつわをつくる男性の姿。 ラフな雰囲気に興味が湧く。どんな人なのだろうか。 また、どんな場所でうつわが作られているのだろうか。 購入したうつわを眺める程に小鹿田への思いは募る。 リーチ先生を読んだ。陶器の魅力がつまっている物語。 陶器にかける熱い思いを感じ、小鹿田で刻まれた歴史 を知る。読むほどに、民陶の里への思いを強くする。 ついに小鹿田を訪れる日が来た。どこまでも続くかのような坂を上ると、眼前に民陶の里の風景が広がる。 土に対し、水に対し、