マガジンのカバー画像

建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

213
建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

全身をくまなく銀色の泡で包みます

「これぞ、ラムネの湯だぜ」と言ったのは、 この地を訪れた文豪の大佛次郎であるとのこと。 いかんせん無知な故、推し燃ゆ、ならぬパリ燃ゆ も知らず、この歳を迎えている。まだまだ世界は広い。 ここは竹田市にあるラムネ温泉館という施設。 ロゴは南伸坊氏のデザインがかわいらしい。 長湯温泉が誇るラムネ温泉は、赤瀬川原平先生 との縁から、路上観察仲間の藤森照信先生との 出会いを果たす。そして焼杉の壁と、屋根の 銅板とてっぺんに生える松の木を得るのである。 とても素敵で幸福な出会いだ

楽しさいっぱいの絵本館

射水市絵本館 長谷川逸子 1994 富山県射水市にある絵本館である。 あちらこちらに、いろんな仕掛けが散りばめられ、 色合い、形、やわらかさ、とにかく楽しげである。 館内には、ゆるやかなスロープがあり、 階段を使わずに上下階をいったり来たりもできる。 建物の中を歩いていると、いろんな角度から、 いろんなものが見えてきて、新しい発見がある。 大人も子供も、からだ全体で楽しむことのできる 素敵な建物である。

てざわりのよい愛すべき建物たち

これらは、藤森照信氏の設計した建物である。 どの建物も自然に寄り添い、てざわりがよい。 ざっくりとした質感に、穏やかな気持ちとなる。 特徴的な屋根の上の樹木がひときわ目を引く。 その空間に身をゆだねると温かい気持ちとなる。 建物にこめられた優しさを感じることができる ああ、また訪れたい。その空間でのんびりしたい。 愛すべき建物たち。末永く使い続けて欲しいと思う。 ラムネ温泉館 2006 大分県竹田市  ラコリーナ近江八幡 2015  滋賀県近江八幡市 秋野不矩美術館 

岡山県庁舎に見るこだわりのデザイン

岡山県庁舎 1957年 設計 前川國男 前川國男の仕事という書籍に、 「足元部分に1層を追加する修正に よって、特徴である玄関庇が高めになって プロポーションが損なわれたため、 竣工時には建築雑誌に発表されなかった」 との記載があった。 思い返すと、アプローチの庇を含む 外観の写真をあまり撮っていない。 意図しない形に出来上がってしまった という感じを受けたのかもしれない。 そこに、いろんな葛藤があったことが想像できる。 それでも散りばめられたこだわりのデザインによ