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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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2021年10月の記事一覧

建物の外壁に込められた物語

建物の壁には、いろんな素材が使われている。 これらは、福岡で出会った建物の色々な表情 である。数え上げれば、きりがないが、建物 にはそれぞれに、その素材が選ばれた思いが 込められている。出来上がった建物をみて、 その物語を勝手に想像したりするのは楽しい。 建物の前を通りかかる人達に、ほんの少しでも 物語を感じさせ、垣間見せることのできる建物 は人の記憶に刻まれるよい建物であると思う。 ①はつりコンクリート  コンクリートの表面を特殊な工具でたたいて  削るはつり加工による

家のオブジェとオブジェのような家の形

家の形をしたオブジェに惹かれている。 シンプルであるほど愛着が湧いてくる。 いわゆるイエという五角形の切妻の形。 上の黒いものは随分前に購入していた 南部鉄器の家の形のペーパーウェイト。 Holzというブランドで名前はIEKURO。 IEMONOという違う仕上げのものもある。 ずしりと重く手に馴染み、存在感がある。 ペーパーウェイトとしての役割を十分に 果たしてくれる。鉄製なので使うほどに サビによる表情が出て、良い感じである。 下の茶色のものは、木でできたリングケース。

パサージュという名のアパートに広がる空間

PASSAGE-F パサージュエフ 2017 福岡市中央区大宮に1階テナント、2、3階が 集合住宅の建物がある。フランス人デザイナー の手により、築26年の2棟のアパートを一体 でリノベーションされている。床の格子状の パターンや、腰壁や壁の装飾のアンティーク感 により異国情緒が漂う。やわらかな光が差し 込む通路部分の先には、観葉植物がおかれて、 外の樹木と共に、緑ある空間が作られている。 パサージュという名前に、遠い昔に訪れたパリ のパサージュのある空間を懐かしく思い出

福岡銀行本店の圧倒的な公共的空間

福岡銀行本店 1975 黒川紀章  福岡の天神地区の一等地に福岡銀行本店がある 築46年の建物は、古さを感じさせない。むしろ 空間という意味での斬新さが、色あせることは ないと思う。濃灰色に大判の御影石の外壁は、 建物を落ち着いた雰囲気で包み込んでいる。 今まで見てきた建物の中でも、この公共空間の 作られかたは想像を絶している。大きな吹抜け た空間を作ることを前提にしないと、この建物 のデザインにはならないと思う。公共的空間に 充てられた空間のボリュームが圧倒的である。

無垢の木材と向き合うことのできる建物

福岡の薬院大通駅から動植物園までの緩やかな 坂道は浄水通りと呼ばれている。今の植物園の ある場所に、かつて浄水場があったことに由来 している。福岡市内で瀟洒な通りとして名高い エリアであるとのこと。確かに建ち並ぶ個人宅 やマンションには高級感が漂っていて、けやき 並木の緑に包まれ、落ち着いた雰囲気がある。 マルホン福岡ショールーム 2020  その浄水通りを上っていくと楕円形の建物が 見えてくる。外観や外壁の仕上の雰囲気に特徴 があり、何の建物だろうと近づいてみると無垢