建物の外壁に込められた物語
建物の壁には、いろんな素材が使われている。
これらは、福岡で出会った建物の色々な表情
である。数え上げれば、きりがないが、建物
にはそれぞれに、その素材が選ばれた思いが
込められている。出来上がった建物をみて、
その物語を勝手に想像したりするのは楽しい。
建物の前を通りかかる人達に、ほんの少しでも
物語を感じさせ、垣間見せることのできる建物
は人の記憶に刻まれるよい建物であると思う。
①はつりコンクリート
コンクリートの表面を特殊な工具でたたいて
削るはつり加工によるもので、平滑で均一な
壁面に手作業で表情を与える。想像するのも
困難なほどの時間と思いが込められた壁面。
はつりといえば、おなじみのあの方である。
②大理石とステンレス
麦の穂を想起させる「エピ」の模様から発想
されたデザインで、陽光に映える穏やかな
博多湾のさざ波をイメージしデザインされた
とのこと。アルミルーバーのパターンが、
大理石とステンレスの壁面デザインに展開
される。想像を絶する手の込みようである。
③なぐり加工のような外壁パネル
同じ建物には、天神の中心で西日を受けて
想紅色に輝くベルギー製のグラサルボード
が利用されている。これは両妻の黒い壁。
なぐり加工がされたパネルであり、同じ素材
かどうかがわからなかった。1975年にこの
加工ができる技術があったことに驚きである
④45角タイルのパターン貼
博多湾に漕ぎ出す巨大な船をモチーフとして
デザインされた建物に、散りばめられた色
とりどりのパターン貼の数々。大きな壁面に
パターン貼による変化がつけられ、ここまで
やるのかというこだわりが尋常でなはい。
⑤市松模様のコンクリートの壁
細かく市松模様状にテクスチャをもたせた
コンクリートに、黒く塗装がされている。
道路面から見える外壁は、この仕上げに
なっていて建物の前面の植栽が一層映える。
型枠に加工をして、コンクリートを打設した
ものだと思うが、こんなに綺麗にできるもの
なのだろうか。遠目にはなんとなく感じる
テクスチャーも、近くでみると驚愕である。
⑥有機的な形状の外壁ファサード
今年オープンのホテルの前面のファサードに
設置されたオーガニックな雰囲気のキャスト
アルミである。公園からはファサード越しに
上階のテラスが垣間見え、また壁面自体も
緑化されることにより、公園の緑と視覚的に
一体な風景を生み出そうという仕掛けである
さて、上の6つの壁ですが、どの建物かわかり
ますか。この写真で、わかる方は相当の建物
マニアですね。回答は下の方にあります。
ご興味のある方は答え合わせをお願いします
①福岡市立美術館の内壁
設計 前川國男
②レソラ天神 LOUIS VUITTON 福岡店
設計 青木 淳
③西日本渡辺ビル(博多大丸)
設計 竹中工務店九州支店
④ヒルトン福岡シーホーク
設計 シーザーペリ
⑤御菓子處 五島
設計 柿沼守利
⑥レソラ今泉テラス
設計 日建設計
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?