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在宅勤務中にSlackを使うことで見えてきたこと


本校では開校前の準備段階から、教職員のコミュニケーション手段のひとつとして「Slack」を日常的に使っています。

チャンネル数や書き込みが多くなるにつれ、読むタイミングを逃すと投稿が埋もれてしまうこともありますが、かなり使えるツールです。

Searchable Log of All Conversation and Knowledge の頭文字をとった名の通り、会話や提案などを遡ってチェックすることもでき、単に伝達共有のためだけでなく、議論の流れや決めごとのプロセスを確認するのに大いに役立ちます。

メールやチャットとはまた違った、「広がり」と「まとまり」の両極をシンプルかつ手軽に満たせるツールとして、どういう組織であれ重宝するのではないかと思います。


そんなSlackですが、通常時に教職員間で使っていた時と、休校でほとんどの教職員が在宅勤務をしながら使っている今とでは、受け止めるイメージが少し違う気がしています。

ひとことで言うと、リアルに出会って仕事を進めている中では埋もれてしまう会話や行動が文字となって可視化されることで、お互いの言動に対する理解が深まり、安心感が増すと同時に、より協働が進むように思えるのです。

ふだんであれば、その場にいなかったメンバーには見えなかったこと、敢えて共有しない限り全員には伝わらなかったことが、事の大小にかかわらずポストされ、シェアされることで、相手の考えや行動が手に取るようにわかってしまう。

もちろん、出会って意思疎通できない分、Slackが代わりになっているので当たり前のことなのですが、けっこうそれが心地よかったりすることに気づきました。

それは何故か、理由は簡単です。全てをSlackの情報に頼っていれば良いからです。連絡はもちろん議論や判断など、Slackを読んで理解し行動することで事足りてしまうから、安心なのです。

アナタ聞いてなかったの? ○○に書いてあったでしょう・・・などと言われる心配がなく、他の情報ソースを自ら確認することも必要ありません。

それなら、ふだんから全部Slackに書いておけば済むことやん。

そんな反論も聞こえてきそうですが、通常時はそんなふうにはなりません。「いま言ったし、わかるよね」「アナタもいたよね」で終わりです。わざわざSlackに記録しておくなんて、そんな無駄なこと誰もしません。

これって、つまりは手段の数。情報収集・共有・確認の方法がいくつあるかなんですね。通常時にはそれが複数あって、場面によって違ったりする。それが、休校になっている今はSlackただひとつ。

だからわかりやすいし、はっきりする。判断も迅速で、物事がサクサク進むわけです。

でも、ほんとうにSlackだけでそうなっているのだろうか・・・

疑り深いもう一人の自分が囁きます。

ありました、もうひとつ大事なものが。それは、毎日12:40から行っているZoomを使ったスタッフミーティングです。

わずか10〜20分ほど、画面越しに顔が見え、マイクとスピーカーを通して、簡単な連絡共有をしているだけですが、これがSlackの文字情報に生きた感情を与える貴重な機会になっているのです。

読んで理解していたこと、相手はこういうつもりで言ったんだ・・・といった自分の見立てが、このミーティングで確信に変わるのです。

なんと、シンプルで安心できる、無駄のないオペレーションでしょう。


そんなふうに考えると、いかにふだん無駄な情報の中で身を置いているか、その中から必要なものを選び出すのに苦しんでいるかがよくわかります。

結果、ほんとうに狭い範囲でしか世界を見ておらず、有用かつ知っておくべき情報にはほとんどアクセスできていないわけです。

業務を遂行するために必要な情報はクラウドベースで一元管理し、それを確認するためのリアルな場をきちんと用意する。あとはその人に任せ、スキルと人脈を活かして仕事をしてもらう。

個の多様性を認め、尊重し、互いに協働するということは、そういったシステムから生まれてくるのではないでしょうか。

休校になって、新たなカタチが見えてきました。

新型コロナ感染拡大という危機をくぐり抜けていく中で、学校の可能性も大きく広がったように思います。

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