自営業として生きる、文具デザイナーのリアル
こんにちは、フローティングライフのやすほ(@YasuhoEmori)です。
今日は「自営業として生きる」をテーマに、めちゃくちゃ個人的なお話をしようと思っています!
最近、私が小さな文具メーカーを始めて、ブランドが落ち着くまでのプロセスを聞かれることも増えてきました。そこで、今回は自己紹介も兼ねて、改めて私の仕事や働き方について、包み隠さず語ってみたいと思います……!
▼ 筆者のやすほは、フローティングライフという小さな文具ブランドを運営しています。こちらが当店です!
自営業(フリーランス)で働きたい方、自分で仕事を作りたい方、ハンドメイド作家さんなど、自分で主体的に何か始めたいな〜と思っている方に、一つの事例として読んでいただけると幸いです。(もちろん、当店に興味を持って読んでくださる方も大歓迎です!)
一応、自分の好きなことを生業にさせてもらっていますが、現実は全然キラキラしたものではなく、泥臭くてハードめな生き方だと思います。後述しますが、割と不安との戦いです、、、
なので、好きを仕事にしたい方の夢を壊してしまったら(?)すみません……!大丈夫そうな方だけ読み進めてくださいね!
私は文具デザイナー
私のメインの仕事は、文具デザイナーです。
自営業者として、A FLOATING LIFE(フローティングライフ)という「小さな文具メーカー」をひとりで運営しています(外部スタッフはいます)とても小さな商いなので、文具のデザインやECサイト・ブランドづくり以外にも、メーカーとしてのあらゆる業務をバイ・マイセルフでやっています。
メーカーの領域で具体的にどんな業務をしているかは、後ほど詳しく紹介しますが、文具デザイナーの他にも、グラフィックデザイナーとしてロゴやショップのツール制作、SNSやブランド作りのお手伝いをしたり、手帳術レッスンの企画制作・講師をしたり……と割と色々やっています。
この仕事を始めた理由
「自分で価値を生み出して、それを生業として生きていきたい」
これが大学生の時の私の目標でした。当時は、大学生によるフリーペーパーの全盛期(今のユーチューバーみたいなもの?違うかな?)個人がメディアを持ち、ミッションを掲げて活動することができる!!みたいなことに憧れ、私も学生フリーペーパーを創刊しました。
弱小フリーペーパーの編集長として、仲間と一緒に "今までにないもの" をゼロから生み出すーーーそれをやっていく中で「自分たちで今までにない新しい価値を生み出して、それをお金という対価に変えるのってめちゃくちゃ楽しい……!生きてる感じがする……!」と感じました。これはやばい!!と。
(実際は、ソーシャルなイシューを扱うニッチなテーマのメディアだったので、印刷費用・発送費用などの諸経費を広告営業で捻出することで精一杯の運営状態でした、、今思えば拙い活動でしたが、私の社会的な原体験でした)
なので、私はうっすらと "近い将来、起業みたいなもの" をやりたいな〜〜と考えていました。なので、起業やマーケティング、広告関係の本を読み、関連する講義なども取ってみましたが、リアルっぽい実習をやっても、リアリティがなく現実的に自分に出来そうな感じがしなかったし(そりゃそうだ…授業だから…)だからこそ、まずは社会人としての基本的スキルを身につけた方が良さそうだぞ!と思って、正社員として就職することにしました。
1社目の仕事は、販促・広告系の営業職で、小さな小さなプロジェクトのリーダーとして、仕事での動き方・デザインのディレクションや紙モノの作り方・管理プロセスなどを勉強させてもらいました。でも、会社の風土が肌に合わず、先輩とのウマも合わず、労働時間は長いし家に帰れないし……かなりつらい日々でした……
そんな日々の中で、働けば働くほど「自分で何かやりたい!」という妄想というか、執念のようなものも強くなってきました……なので、会社員になってからもフリーペーパーを3年ほど続け、同時並行で社会問題を扱うチャリティイベントの企画運営などもやっていました。正直、「何かやりたい!というエネルギーを持て余していた」というのは格好付けた言い方で、現実は新入社員の自分の未熟さや実力のなさを正面から受け止めることができず、自分の活動に逃げていたところがあります。
長時間労働のブラックな業界だったのに、よくそこまでやっていたな……とも思いますが、仕事外の「自分で何かやる活動」をせずには生きている心地が全然しなかったのですーーー私は当時、この活動を続けるおかげで、私はなんとか自分を守って、保っていました。
「これをやってると "生きてる感じ" がする…!」という体験をしてしまったがために「自分で何かやる活動」の気持ちよさが忘れられませんでした。そして、自分が心から実現したいと願うことに、自分の時間や努力を最大限投入するとう一貫性にも心地良さを感じていました。そのようにして私は「自分で仕事を作る」ことに強く惹かれていったのでした……
ーーー
会社員として働けば働くほど、この仕事の社会的意義は何か?誰かの幸せに貢献できているのだろうか?などいうことを考えてしまい自尊心が削られ、もちろん「生きている感じ」も全く感じることができず、、どんどん私の心は抜け殻のようになっていました……
今思うと、とても客観性のない独りよがりな願望だったと思いますが、当時は、自分が取り組んでいるソーシャルイシューに関して本気で社会に問題提議をしたいと思い、仕事で心が削られてクタクタになっている週末もパソコンに向かって黙々と活動する日々でした。
いつ・どうやって独立したか
会社勤め(合計3年ほど)→ 1年の期間限定で自営業をスタート
そうやって心をすり減らしてしまった1社目では最終的に体調を崩し、その後「とりあえず働こう」と思って入った短期の派遣の仕事が延長され続け、そこでしばらく働きました。(当時の私、キャリアに対して無計画すぎて怖い……)
派遣の仕事をしながら、2015年ごろから1年弱 フローティングライフの準備的な活動をしていました。派遣先は、超絶ホワイトな外資系メーカーだったので、仕事が終わって帰宅してから、フリーペーパーやイベントの方の仕事(とはいえ非営利)もすることができました。でも、途中から文具を作るアイデアを思いついて、その時はまだ趣味的な位置付けでしたが、少しずつ作品づくりも始めるようになっていきました。
派遣社員の間も「自分の力で仕事をしてみたい…」という気持ちがどんどん強くなっていき、文具の作品もネット販売するようになり、ほんの少しですが売れるようになってきました。そんな中で、これを仕事にしてみるのも良いんじゃないか……?などという安易なアイデアを思いついてしまったのです……
当時は「ハンドメイド作家」も出始めの頃、副業も解禁前、ユーチューバーもいないし、ブロガーでマネタイズできている人(いわゆる今のインフルエンサー)はほぼ海外にしかいないような時でした。今だったら、割と自分で仕事を作っている人って多いですよね。でも、その時はまだ全然いない黎明期だったので「突拍子もなさすぎなこと考えてる私、大丈夫?上手くいく見込みはあるの?むしろこれはただの現実逃避なのでは……?」と思う自分もいました。だけど、それを「始めないと心が収まらない!やらずには死ねない……!」という強い衝動に駆られていたのも事実でした。
最終的に私はその強い衝動に負けて、会社を辞めて、"文具を作る自営業" の道を模索しはじめました。ちなみに、自分の中でこれを現実逃避にしたくなかったので、会社勤めを合計3年ほど経て「最低限の社会人のスキルを身につけた!」と感じた&評価されたタイミングで辞めました。もちろん、はじめての領域・未知の仕事なので、何のリソースもないままのスタートでした。(かなり無茶なことをしているので、真似しないでください)
当初は「この働き方を1年頑張って、ご飯が食べれなかったら辞める」という期限限定で、フローティングライフを始めました。1年間、我を忘れてがむしゃらにやったら、良くも悪くもその結果が出て自営業を継続するかどうかの判断がつくだろうと。
それからの1年間、右も左もわからない状態で、自分が考えられることをとりあえず全てやってみました。その結果、1年以内に最低限の生活ができるようになったので、2年、3年…と続き……今年で自営業になって6年目になります。
自営業で一番つらかったこと
経済的に安定しないことが一番つらい(リアル)
自営業として「自分の仕事のあらゆる責任と結果を自分が受け入れて仕事をする」ということは、私にとって、とてもシンプルで筋が通っていて、気持ちが良いものだったのですが、数年経っても慣れなかったのは「経済的に安定しないこと」でした……生々しい。。
当たり前のことですが、注文が入らなければ売上はゼロ。イコール収入もゼロということです。私は、貯金があるからいいや〜とか、何とかなるさ〜などと思える性格ではなかったので、毎月の利益がどれくらいになって、私は今月ご飯を食べれるのか……?という生活の問題から、そんな微妙な成果を出した自分で、はたして自尊心保てるのか……?などという自己の尊厳の問題にまで最終的に発展しました、、
会社勤めならば、実際の売上を作らなくても、与えられた仕事をしていればお給料や時給をもらえるという "安定" がある……(もちろん、その限りではない会社勤めの方もたくさんいらっしゃると思いますが)そのシステムに生かされていたんだなぁ、、と改めて思いました。自営業一年目は、沢山やりたいことがあったし、ずっとやってみたいと恋焦がれてきた働き方だったのに、経済面の不安が大きすぎて、、、そわそわして不安に取り憑かれて、仕事に手がつかなくなることも多々ありました……やっぱり、生活できる最低限の収入が安定的にあることって、今まで空気のようで気づかなかったけど、人間らしく安心して生きるために本当に必要だったんだ……!とその時、改めて実感しました。笑
結局、この経済的な不安定さに慣れることはありませんでしたが、"不安定な中での安定"を手に入れたことで変わりました。「不安定な中での安定」とは、例えばですが、利益が5〜15万の不安定から、15~25万の不安定にシフトチェンジしたようなイメージです。そうして年々少しずつではありますが、利益のボトムアップが実現でき、徐々につらさも落ち着いてきました。でも、この先もこの不安はゼロになることはない……と思っています。自分で事業をやる限り、ついて回るものだと……
文具デザイナーの仕事内容
企画・デザイン・製造管理・オンラインショップ運営 / メンテ・商品発送(← 外部スタッフとの協業)・商品管理・営業 / 卸対応・撮影・SNS運用・カスタマーサービス・ブランディング・広告管理・PR・売上管理・経理・事務作業 etc・・・
ひとりメーカーなので、大体ひとりで全部やっているという状況です。自分がやる必要がないことは外部に振りたいですが、外注するほど潤沢ではないので、この自給自足スタイルでやっています(一部のパッケージング、発送の準備〜梱包〜郵便局に持っていく作業、在庫管理は、外部スタッフにお願いしています。あと、自分ができない仕事は外部のプロにお願いすることもあります)実際、メーカー・ECサイトとしてのスキルやリソースは本当に未熟なものなので、実際に稼働しながら色々学んでいるという状況です。
文具メーカー以外の領域では、デザイン制作のクライアントワーク・手帳術レッスンの企画制作・インスタライブなどもやっています。
コロナを経て「好きを仕事にする人」「好きを仕事にしたい人」がどんどん増えているように思います。これから、その競争もさらに激しくなっていくと予想しているので、正直、とても険しい道です。
それでも私は、先んじて新しい取り組みにチャレンジして、ユーザーさんに沢山、沢山楽しんでいただいて、当店を細く長く存続させられたらと願っています。この先、もっと業務が増えるかもしれませんし、復業も増えるかもしれません。でも、どんなことも自分の経験になると信じて、あらゆることに楽しくチャレンジしていけたら本当に幸せだと思っています。
やって良かった自営業
自営業になって本当に良かった…!
私は、自営業になって本当に良かったと思っています。
今までで一番長く続いた仕事であり、事業の「責任と結果」を全て自分で受け入れて進んでいくスタイルが、私の性質とマッチしていたのだと思います。
でも自営業は「自由と安定のトレードオフ」だとも思います。
なので、軽々しく超おすすめだよ〜!だなんて言えません。。人生が超ハードモードになりかねない選択肢です。だけど個人的には「自分にしかできない仕事をして、ユーザーさんたちがハッピーになるような何かを生み出すことで対価をいただき、生かされて生きていくことができる」という、かけがえのない最高な体験をさせていただいていると思っています。そして「生きている実感」も感じさせていただいているーーー 私は……自分の仕事にあらゆる形で関わってくださっている人やもの、現象など全て含めて尊いものと感じていて、感謝の念を抱いています。
もし、この記事を読んで「私もそんな生き方がしてみたい」と思う方がいらっしゃったら「ぜひチャレンジしてみてください!」と背中を押したい。その挑戦によって生まれる良いこと・悪いことを含めてまるっと全部楽しめる気がする。そんな予感がする方には特に。
最後に
「自分で価値を生み出して、それを生業として生きていきたい」という独りよがりな目標から始まった私の仕事ではありますが、今では、ユーザーさんやフォロワーさんに喜んでもらうためには…?と日々考えて仕事をしています。(あの頃より、少しだけ成長しました)
「人を癒やしエンパワメントすること」が私の全ての活動のミッションであり原動力です。それを自分の仕事を通して少しでも実現することができたら……こんなに「生きているという実感」がもてることはないと思います。
まだまだ練習中ではありますが、自分のちっぽけな承認欲求を捨てて、利他の気持ちを持って、誤魔化さずに正直に自分の仕事をやっていきたい……そう心から思っていますーーー。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
今日は自分の仕事について、暑苦しく愛を込めてお話しさせてもらいました…! 赤裸々に語ってしまい恥ずかしくもあるのですが、何かのヒントに少しでもなれば幸いです。
以上、フローティングライフのやすほ(@YasuhoEmori)がお届けしました!ありがとうございました!
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A FLOATING LIFE
フローティングライフ「自分らしく、自由に」
新しい自分になれるデザイン文具。システム手帳・カラーリフィル・スケジュール帳・メッセージカードなどを制作しています。小さなお店向けのロゴやデザイン制作も承っています。
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