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心理ターゲティングとは:性格特性に基づくアプローチ法

心理ターゲティングは、個人の性格特性に着目し、相手の行動に影響を与えるマーケティング手法のことをいいます。2016年にケンブリッジ・アナリティカが米国大統領選挙でFacebookユーザーの心理プロフィールを作成してターゲット広告を打ったのはこの心理ターゲティングの手法であり、悪い意味で注目を浴びました。消費者目線で考えると性格判断をされた上で広告を見せられるのは気持ち悪いと感じますが、上手にツールとして活用すれば、決して顧客に危害を与えるものではありません。この記事では、心理ターゲティングについて解説します。

デジタルフットプリントの利用

心理ターゲティングは、SNSのプロフィール、検索履歴、購買履歴、ブログ投稿、GPSの位置情報などのデジタルフットプリントを利用します。これにより、個々の性格プロファイルを生成し、それに基づいてパーソナライズされた広告を提供することができます。

サイコグラフィック・ターゲティングとの違い

サイコグラフィック・ターゲティングは消費者の意見、態度、ライフスタイルに基づいて顧客セグメントごとのペルソナを定義します。一方、心理ターゲティングは、人々の考え方や感じ方、振る舞い方の基本的な違いを捉えた実証済みの心理学的構成概念、特にビッグファイブモデルに立脚しています。

ビッグファイブモデル

ビッグファイブモデルは、性格を構成する以下の5つの主要因子で成り立ちます:

  1. 経験への開放性(Openness to Experience)

  2. 誠実性(Conscientiousness)

  3. 外向性(Extroversion)

  4. 協調性(Agreeableness)

  5. 神経症傾向(Neuroticism)

それぞれの頭文字をとって、「OCEANモデル」とも言われています。例えば、誠実性を重んじる人は数字やデータに基づくコミュニケーションを行うといった具合です。逆の場合は、説得力のあるストーリーに惹かれやすいと考えられます。

これらの因子は、消費者の購買行動やマーケティングメッセージに対する反応を予測する上で重要な指標となります。

効果的なマーケティングツールとしての心理ターゲティング

心理ターゲティングは、パーソナライズされた広告が購買意欲をそそり、売上を創出する効果が50%上昇するという実証データがあります。特に、新規顧客に売り込むときや、パーソナライズされたマーケティング素材を設計するときに有効とされています。

倫理的な考慮

心理ターゲティングを利用する際には、消費者のプライバシーと倫理を中心に据えることが重要です。消費者データの取り扱いには慎重を期し、透明性と公正性を保つことが求められます。性格判断の結果を顧客に必ずしも隠す必要はありません。「こんなタイプのあなたに・・・」というメッセージを示すことで顧客に認識され評価されることもあります。

マーケティング上のインサイト

心理ターゲティングは、個々の消費者に合わせたメッセージを送ることで、より効果的にターゲット市場にアプローチできます。企業が行動データを利用して、個々の顧客の性格プロファイルを作成することで、より精緻なマーケティング戦略を展開することができます。

結論

心理ターゲティングは、生成AIなどデジタル技術を活用することによって効果的なマーケティングツールになるとして注目されています。しかし、その利用には倫理的な考慮が不可欠であり、消費者のプライバシーを尊重することが求められます。自社のマーケティングに心理ターゲティングの要素が組み込めないか検討してみる価値はあるでしょう。

参考文献:ダイヤモンド社ハーバードビジネスレビュー2024年1月号「心理ターゲティングを効果的かつ倫理的に実践すル(サンドラ・マッツ)」

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