オオカミ少年には気をつけよう 正常性バイアス-行動経済学の理解と実践34
イソップ物語で何度も「オオカミが来たぞ〜」って嘘をついて村人を驚かせていたおかげで、本当にオオカミが来た時には誰も少年の話を聞かずに村が襲われてしまったという「オオカミ少年」の話は有名です。
最近、かの国からのミサイル発射警報のJアラートが発せされることがよくあります。こういうことが何度も続くと、良くないことですが慣れになってしまって心の中で「またかどこかの海に落ちるんでしょ。」みたいに感じてしまいそうで怖いです。
今回は、このように徐々に鈍感に感じてしまうようになる正常性バイアスについてです。
正常性バイアスとは?
正常性バイアスとは、災害など何らかの被害が予想される状況に陥っても、正常の範囲内と思いたい気持ちが先行して、事実を軽視し、都合の悪い情報を無視する傾向のことを言います。
胸に手を当てて考えると、私もよく正常を期待する気持ちが先行してしまうことがあります。
先日も季節外れの大雨警報が出ているのに「まさか台風でもないのに電車は止まらないでしょ」って思い、夜の予定をキャンセルせずに帰宅時に大変な思いをしました。
用心はしすぎたほうがいいですね。
マーケティングにはどう生かせる?
正常性バイアスは、誰しもが経験することと言っても過言ではないでしょう。実際に起きてしまってから後悔しても遅いです。
マーケターとして、競合や顧客のちょっとした動向にも注意して適切な対応が取れるように準備しておく必要があります。
例えば、クレーム対応を考えてみましょう。
先日、上海のモーターショーでドイツのBMWのブースでのアイスクリームの配布の件で、騒動が起きていました。
騒動になった際に対応が後手後手になったこともあって、中国国内で不買運動にまで発展したそうです。
アイスクリームで、です。
ニュースだけでしか見てないので詳細は分かりませんが、もしかすると「まさかアイスクリームでそこまで大変なことにはなるまい。」って油断が生じていたからかもしれません。
リカバリー・パラドクスという言葉あります。
不満を持った顧客に対して、適切に対処することで、その顧客のロイヤルティは、特に不満を持たなかった顧客よりも高くなる、というものです。
もし、この時、ドイツ本国の経営陣がすぐに反応して適切な対応をしていたら、逆に評価を上げることになったかもしれません。(中国国内の政治的な思惑等は全くの門外漢ですので悪しからず)
リスクに対する感度を常に磨いておいて、正常性バイアスを排除するように努めておかなくてはなりません。
まとめ
災害などのリスクに対して鈍感になってしまう正常性バイアスについて説明しました。
とはいえ、なんでもかんでも過度に反応すると疲れてしまいます。用心するには越したことはないですが、どこに基準を設けるかが必要かな、と思います。
このレベルのリスクなら必ずこんな反応をとりましょう、みたいな決め事です。
それでもせっかくもうけた基準も正常性バイアスによって徐々に下がってしまうものです。基準がしっかりと守られているのかを社内で相互監視できるようにすることも必要ですね。
最後までお読みいただき有難うございます。
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