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ワイズカンパニー 第3章 知識創造と知識実践のモデル

こんにちは。今回は、第3章についてまとめてみます。ここでは、初期のSECIモデル(共同化、表出化、連結化、内面化の4要素のマトリックス)をさらに深く突っ込んで検討しています。そして、どのように知識実践が拡大・発展するのか(SWCIスパイラル)。そのためのベースとなるフロネシス(賢慮)の役割についてエーザイのアルツハイマーへの取り組みを事例として検討しています。では、早速、一つづつみてみます。

新しいSECIモデル

下の図が新しいSECIモデルです。

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引用:ワイズカンパニー

以前のSECIモデルから比較すると各マトリックスでの知識創造の型がより詳細に描かれています。本書では、これまでの認識論をベースとしたモデルそのものには変更はないが、存在論としての相互作用の部分が加わったとしています。要するに、個人間、チーム間、組織内、環境における相互作用が知識創造において重要な役割となることをこのモデルによって強調したということです。
ここで紹介されているのが稲盛和夫氏のJAL再建です。JALフィロソフィ、アメーバ経営、コンパと称する相互理解、、、。稲盛氏のJAL再建において実践したことには多くの相互交流、相互理解への取り組みから見て取れます。

SECIスパイラル

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引用:ワイズカンパニー

この図は最初のSECIモデルが底辺の四角形から起点となり時間軸で上昇することで四角形の面積が拡大=知識ベースが拡大することを意味しています。要するに、SECIモデルを回すことで知識のベースとなるものが成長していくということを表しているのです。ここで取り上げられている事例は自転車メーカーのシマノです。

私は大阪府堺市出身でして、この堺市に本社を置くシマノの事例は非常に誇らしく思います。小学生の時に堺市の伝統的産業の一つとして刃物、線香、そして、自転車と学んだことをよく覚えています。

小さな自転車メーカーから世界の自転車レースで優勝するようなハイエンドのサプライヤーに成長するまでの60年間、計6回のSECIスパイラルにフォーカスしています。

6回のSECIの分析から、①SECIプロセスの持続的繰り返しがスパイラルを生み、②スパイラルを重ねるたびに関与する人が増え、③行動重視の姿勢が明確で、④行動重視が持続的イノベーターを生み、⑤そうして生まれたスパイラルのダイナミックさがシマノの強さの源となった、というまさにスパイラル構造で成長を継続していることがわかります。

では、このスパイラルを向上させる原動力はいったい何なのか?

その答えがフロネシスです。

フロネシス

前章においても3つの知識の定義がされてました。

フロネシスとは、人間にとって良いこと、悪いことの基準に基づいて行動することができる知識と定義されています。

フロネシスがスパイラルの原動力となるのかは、フロネシスの以下の3つの特徴から見て取れます。

①「共通善」自社の存在意義を社会のため価値の提供においていること

②「時宜」 明確なビジョンを持ち「いま、ここ」をベースに未来を描く

③「人」 相互主観性で広くつながったコミュニティが形成できる

ここの点で取り上げられているのが製薬会社のエーザイのアルツハイマー薬アリセプト開発の道のりです。現社長の内藤晴夫氏が研究開発の所長となり開発者の杉本氏を中心としたチームをベースにして、ビジョンとなる「ヒューマンヘルスケア」を軸にして知識創造を拡大していることが見て取れます。杉本氏については、研究開発から人事部に一時期転属になってもプラス思考で大学の研究シーズを探したなどの話を以前からすごいと思っていた人です。本事例でフロネシスがあるべき姿を明確にし、会社としての知識ベースの成長とともに会社の成長の姿が見て取れます。

考察

この章では具体的事例を使って、発展したSECIモデルの特徴、スパイラルの意味、原動力となるフロネシスについての理解が深められます。

私はシンプルな以下の3つのことが本書においてのメッセージであると思います。

相互理解が必要=一人では限界がある

スパイラル=断続的では成果が上がらない

フロネシス=自分のことがだけ考えているだけでは続かない

人生の価値を決める上で知識創造と実践がどれだけできたかにかかってくると言って過言でないでしょう。まずは、原動力となるフロネシスを養い、そして、実践の努力を通してまわりの人との相互理解を深めて、諦めずに続けることでベースを拡大させる。

この3つのことを忘れずにいるだけで、人は成長し続けることができる

これだけ実践すればいいんです。

そうすれば、まだまだスパイラルを上昇させ続けることができます。

一人づつがこの3つの実践を続ければいづれそれは組織や社会の形に昇華していくのだと思います。

次章は「何が善かを判断する」です。

最後までお読みいただき有難うございました。


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